しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記 (第十一回)「今、今、今、その今の美しさを」
「みわさ〜ん、今日のおやつはミルクくずもち!」
さっちゃんが事務所に教えに来てくれた。私がミルクくずもちを好きなこと知っていたんだ、と思いつつ「うれしい〜ありがとう!」と返事をする。さっちゃんは、いくたびも「みわさ〜ん、一緒にごはん食べよ〜」と誘ってくれる。そんなさっちゃんたちも、けやき組。来週は卒園式を迎える。
今年度から、心も身体もゆらゆらする季節を越え、自分たちの安心できる場を知り、グンと関係性が深まる安心期くらいから、子どもたちが好きなタイミングでごはんを食べるようになった。
1番ランチは、一番最初にお腹がすいた子がくる。そのあと、2番ランチ、3番ランチが続く。さっちゃん曰く「1番ランチは、一番最初に食べられて、その後いっぱいお部屋で遊べる。2番ランチは、外でも遊べて、ごはんを食べて、次はお部屋でも遊べる。外と中、両方同じくらい遊べる。3番ランチは、いっぱい外で遊んで、ごはんを食べて、セッションして寝るんだ」と言っていた。
確かに!と思う。さっちゃんに「いつも何番ランチに行くの?」と聞くと「その時によって違うよ〜」と笑いながら教えてくれた。(当たり前だけど)ちゃんと考えて、ごはんを食べているんだなあ、スケジュールを考えているのだなあ、と感心する。
しぜんの国のお昼ごはんはとても色が美しくて、美味しい。愛情がこもっていて思いやりがある。キッチンのメンバーも朗らかで、おおらかで、でも職人気質でかっこいい。三木さん、まゆこさん、ルーキーのあすかちゃんに、ぬのちゃんも、うめちゃんも、金子さんも、本当に美味しいものをたくさん作ってくれる。三木さんはいつも、全体を見てくれていて保育者の食欲や、調子も見てくれている。「ただ、みんなで美味しいものを食べたいだけ」と微笑むけれど、このキッチンメンバーのコミュニティや、チームワークは私も見習うところがたくさんある。同じ釜の飯、とよく言うけれど、子どもたちと私たち保育者は、この美味しいごはんにたくさん救われていると思う。3月はリクエストメニューということで、大人も子どもも好きなメニューをキッチンに提案することができる。その中で、私がリクエストしたのが「ミルクくずもち」だったのだ。
さっちゃんはなんで私がミルクくずもちを好きなことを知ってたんだろう?と莫大な年度末の書類や決定事項、イベントの準備に追われながらも考える。年末の職員との忘年会のクイズで(そんなものがあるのです)好きな給食は「ミルクくずもち」と言ったのを、誰か大人が伝えたのかしら。そんなことを考えると、ふふふ、となんだか楽しい気持ちになる。そんな小さな日常が好きだ。どんなことがあっても、握っておきたいと心から思う。忙しい時こそ、そんな風に強く思う。もちろん、行事や祭典などの節目でのまばゆい思い出もたくさんある。だけど、さっちゃんが「みわさ〜ん」と呼んでくれる、その朗らかな声や、発光した頰、みんなで食べたジャージャー麺の味。今、今、今、その今の美しさを、子どもたちと思い思われ暮らした小さな暮らしを、はぐくみ続けたい。
みなさん、1年間ありがとうございました。読んでくださったみなさん、併走してくださった雨宮さん、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。なんと!来年度も継続して書かせていただけることになりました。「わっしょい日記Ⅱ」もどうぞよろしくお願いします。
ー このコラムは『しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記』の連載第11回です。
園長美和さんのわっしょい日記
しぜんの国保育園の暮らしについて、園長という視点から綴られているコラム連載。“タイトルの「わっしょい」はさまざまあるようですが、語源である「和を背負う」という意味と、なんだか口に出すとうれしい気持ちになるところから名付けました。悩み揺れながら感じる日々の小さなあれこれを綴っていきたいです。”(園長美和さんより)
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齋藤美和(さいとうみわ)