しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記(第二回)「とるに足らないオシロイバナの種のような」
先日、婦人之友社と東京すくすく(東京新聞)が企画した「子育てスクスクフェス」に呼んでいただき、認定特定非営利活動法人こまちぷらすの理事長・森裕美子さんとお話をさせて頂いた。
その中で「子どもとふざけるのが好き」という話をして(そんなこと実は初めて言った)、改めて帰りの電車の中で「ああちょっと本音だったな」と思い返していた。
しぜんの国で子どもたちとどんなことをして来ただろうと振り返ってみた。(ちなみにトークでお話したのは子育て中の事で、息子が2、3歳の頃、お風呂の中で親子でチューペットを食べた話でした)
また、それは「ふざけていた」という括りでもなく、なんというか子どものアイデアにのって行ったら楽しい方に連れて行ってもらったような感じが大きい。
しぜんの国が大切にしている「セッション」。保育者の葵さんと実践と研究をしようということで私もトライさせてもらっていた時期があった。
そんな中で、子どもたちと「何しよう」とセッションした時にしぜんの国で共に暮らしている羊の「めえちゃんの小屋に入りたい」というアイデアが子どもたちから出た。えっと思ったが鮮度が大事だと思って、その日のうちに必死の思いで(何名かの保育者に助けてもらい)小屋の中に入ったこと。
全員で遠足に行けなかった代わりに、子どもたちのアイデアでTくんとCちゃんの家まで(何名かの保護者に助けてもらい)遊びに行ったこと。
マネージャーとチンドン屋さんをやろうと言って、やる直前になって私が恥ずかしくなってしまい、動物のお面を被って登場したら子どもたちが嫌がって(怖かったとのこと)あとで、怒られたこと(女の子たちが事務所に抗議をしに来た)。
フジロックがオンライン配信になったので、みんなでホールでフジロックを観たこともあったし、近所のおばあちゃんのSさんが家に遊びに来ていいとおっしゃったので、本当に家まで遊びに行ったこともあった。
そういえば、去年の誕生日には、Cちゃんが「家に遊びに来ていいよ」というので本当に家の方まで一緒に歩いて帰って(近所です)CちゃんとCちゃんのお母さんが大事にしているお花を見せてもらったこともあった。
子どもと暮らしていると思いがけないことや「やってみたい」というアイデアに出会ってしまう。出会ってしまった時に自分がどんな振る舞いをするかで、開く扉が変わる。
そしてそれを保育者と思い返して話す時、なんだかうふふという気持ちになるのだった。
心温まるエピソードでもないし、プロジェクトが成功した話でもない。成長の記録でもないし、保育の実践と呼べるようなものでもない。でも、子どもと私たち保育者の中でうまれたちょっとした・・・小さな小さな、米粒くらいな、おしろい花の種くらいな、そんな小さな出来事が日々勃発していて、それをおもしろいおもしろいと思っていたら、今になってしまったような気がします。
ー このコラムは『しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記』の連載第2回です。
このコラムの連載
しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記(第一回)「ゆらゆら期の私たち」
先日、エントランスで1歳児クラスのお父さんが「絶賛ゆらゆら期っす」と話してくれた。笑顔で話してくれているものの心配だろうな、とも思いを寄せる。子どもの心、保育の心、親心、私はその三つの心をいつも、自分の中で多面的に見つめないといけないと思う。
「自分たちはいい保育をしているんだ」と、独りよがりにならないように。