保育と遊びのプラットフォーム[ほいくる]by 小学館

 園庭めぐり|遊びは、子どもたちがつくっていく。

三輪ひかり
掲載日:2026/10/30
 園庭めぐり|遊びは、子どもたちがつくっていく。

園庭は、子どもたちにとって、毎日過ごす身近な場所。

けれど、同じ場所で過ごしていても、子どもたちの目に映るものや、そこから生まれる遊びは、一人ひとり違います。

大人が思い描く使い方にとどまらず、子どもたちの発想や、自然との出会いによって、遊びは思いがけない方向へと広がっていくことも。

今回は、ほいくる園投稿企画に寄せられた記事の中から、子どもたちの遊びが広がる園庭をめぐります。

木を置いただけ。でも、遊びは無限。(おへそこども園)

園庭に、大小さまざまな木を置いているおへそこども園。

子どもたちは、木を平均台のように渡ったり、並べ替えたり、囲って家にしたり、座っておしゃべりをしたり。同じ木でも、その日の仲間や発想によって、まったく違う遊びが生まれます。

保育者がしたことは、「木を置いただけ」。

遊び方をあらかじめ決めず、あえて余白を残しておくことで、子どもたちの「こうしてみよう」が見えてくるのだそうです。

遊具を用意するだけでなく、子どもたち自身が遊びを生み出せる素材を置いておく。そんな環境づくりから、園庭の可能性が広がっていきます。

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ほんとに、釣れた!(おへそこども園)

雨の日、水たまりを見つけた子どもたち。
「ここで釣りができるかも!」と、枝とひもを釣り竿に見立てて、魚釣りが始まりました。

もちろん、水たまりに魚はいません。それでも何度もひもを垂らして遊んでいると、なんと偶然、葉っぱが引っかかって本当に“釣れた”!

「釣れたー!」

魚はいないはずの水たまりで、本当に何かが釣れた瞬間。思いがけない出来事に、子どもたちは大喜びだったそうです。

雨や水たまり、枝や葉っぱ。その日に出会った自然を遊びに変え、偶然の発見まで楽しんでしまう子どもたち。
子どもの「やってみたい」の先には、大人にも予想できない出来事が待っている。そんな発見が、遊びをもっと面白くしてくれます。

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どろどろプリンセスよ!(りんごの木こどもクラブ)

園で「はたけ」と呼んでいる原っぱで、彫塑粘土を楽しんだ日のこと。
さらさらの粉に水を混ぜると、ヌルヌルに。板の上には山やトンネルが並びます。
その頃には、手やお腹もどろどろ。

すると、一人の子が板の上に乗って、すってんころりん! その姿を見たみんなの目が一斉にキラ〜ン!
山もトンネルもどこへやら。今度は、子どもたち自身が泥だらけになって遊び始めました。

「そうよ!私たちは、どろどろプリンセスよ!」

板の上でポーズを決めようとするけれど、ヌルヌルすぎて立っていられません。

遊びの始まりにあった山やトンネルから、思いがけない展開へ。素材の感触や身体の動き、友達の姿がきっかけとなって、遊びは変化していきます。

大人が考えた遊びの枠を越えて、子どもたち自身が面白さを見つけていく。そんな姿が伝わってきます。

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生きものをそばに感じる園庭(ゆうゆうのもり幼保園)

ゆうゆうのもりの園庭は、手前から真ん中までは平らで、奥に進むと深い段差があります。その段差を生かして、段々畑として使っています。

あるとき、段々畑をきれいに整地したところ、春に生活していた虫たちがいなくなってしまいました。

そこで今は、あえて雑草を生やしたり、段々畑の土で子どもたちが泥団子をつくれるようにしたりしているそうです。

坂道を上がりきったところには、やまももの木。実を鳥が食べに来たり、子どもたちがやまももの実で色水ジュースをつくったり。

子どもたちが遊び、自然が変化し、また新しい発見が生まれていく。

子どもや自然に委ねることによって、耕されていく園庭。人にとって使いやすいように整えるだけではなく、虫たちの居場所や、子どもたちが自由に手を動かせる土を残しておくことも、園庭の豊かさにつながっているのかもしれません。

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子どもと草むら(風の丘めぐみ保育園)

風の丘めぐみ保育園の森棟、3〜5歳児が過ごす建物の2階にはテラスがあります。

そこにあるわずかな土の場所に、職員たちが道端で摘んできた草花の種をまきました。少しずつ芽が出て、夏には立派な草むらができたそうです。

地面とつながっていない2階のテラス。都市環境の中では、自然を呼び込むことが難しい場面もあります。

それでも、草むらが育つにつれて虫たちがやってくるようになりました。

「きょうはイチモンジセセリがいたよ」 「〇〇さんがまいたシロツメクサがさいたね」

そんな声が聞こえるようになり、子どもたちは今日も草むらで遊んでいます。

広い土の園庭がなくても、自然と出会う場をつくることはできる。小さな環境の工夫が、子どもたちの発見や遊びにつながっています。

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遊びが生まれるタイミング(うみのこ)

「ねえ?いいにおいする?」

雨水の入ったお鍋を見つけた年長児が、園庭に生えているローズマリー、ユーカリ、ミントを摘み、手で混ぜながら声をかけてきました。

保育者が「いいにおい〜」と香りを楽しんでいると、子どもは「こうやって(葉っぱを)ちぎるとね、もっとにおいがするよ」と教えてくれます。

そして、以前、タライで足を洗っていたときに、植物の先生がハーブを入れてくれたこと、そのときにとてもいい匂いがしたことを話してくれたそうです。

以前に経験したことが、自分の遊びになる。

そのタイミングは、いつ訪れるかわかりません。その子の中にある何かがつながって、遊びが生まれるのです。

園庭にある草花との何気ない出会いも、子どもの中に積み重なった経験と結びつくことで、新しい遊びになっていきます。

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遊びを生み出す園庭とは?

木を置いておくこと。水たまりで遊ぶこと。泥に触れること。草むらを残すこと。

今回めぐった園庭には、特別な設備がなくても生まれる遊びや、自然との出会いから広がる発見がありました。

そこには、子どもたちが自分で面白さを見つけられるように、遊び方を決めすぎないことや、自然の変化に目を向けること、子どもたちの姿を見守ることなど、それぞれの保育者の工夫や願いも感じられます。

園庭を豊かにするのは、何をつくるか、何を置くかだけではないのかもしれません。

そこにあるものを子どもたちがどう見つけ、どう関わり、どんな遊びを生み出していくのか。

子どもたちの目に映る園庭には、私たちがまだ気づいていない面白さがあるのかもしれません。

園庭の可能性

園庭の可能性

生きものと園庭。道具や遊具と園庭。季節と園庭。育てる園庭。 園庭という場所を、単なる遊び場としてではなく、子どもが自然や世界と出会う場としてどのように捉えられるのか、その可能性をさぐっていく特集です。

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