しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記Ⅲ (第七回)「もも・かわ・はつ・ぼんじり・ねぎま」

10月。衣替えも進まない中、柘榴が身をつけ、ミツバチがやってきた。黒いアゲハが踊るように飛び、山を潜り抜けてきた風が私の頬をなぞる。
先日、子どもたちと作るお祭りが行われた。
れもんチームの子どもたちは、セッションの中で「焼鳥屋さん」をやりたいというアイデアがでたそうで、粘土で作った焼き鳥をせっせと焼いて売っている。(長蛇の列)滑り込みで私も買うことが出来た、れもんチームの「焼き鳥」。「ありがとう、とても美味しいです!」と言ったら「お金ください!」と言われて「確かに!」と笑う。
その後、園では余韻を楽しむためにすぐに片付けをするのではなく、子どもたちが続きを楽しんでいる。保育室に、焼き鳥のメニュー表が貼ってある。「もも」「かわ」「はつ」「ぼんじり」「ねぎま」。
あの日の子どもたちの楽しそうな姿が目に浮かぶ、保育者のひかるさんの姿も。大人と子どもがイキイキしさを交わし合いながら、「楽しい」を作っていく。まず、子どもの輪の中で、そして子どもと横並びで世界を見ること。一緒に楽しんで笑い合えること。
そんな中、見学にいらした方がそれを見て「しぜんの国ではお習字もされるのですね」と質問をして下さった。「いえいえ、これは習字じゃなくて、メニュー表で・・・よく見てください、書いてある文字・・・」というと、その方も「あっ、焼き鳥ですね・・・」と笑っていた。
いきいきしいこどもの心。そして、子どもの心のそばにいる保育者もいきいきしくいられる場所を。
ー このコラムは『しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記Ⅲ』の連載第七回です。
園長美和さんのわっしょい日記

しぜんの国保育園の暮らしについて、園長という視点から綴られているコラム連載。“タイトルの「わっしょい」はさまざまあるようですが、語源である「和を背負う」という意味と、なんだか口に出すとうれしい気持ちになるところから名付けました。悩み揺れながら感じる日々の小さなあれこれを綴っていきたいです。”(園長美和さんより)

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