しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記Ⅲ(第四回)「私の現場」

このところ、会議や委員会が多く、なかなかどっしりと園にいられない日々が続いた。園にいられない不安と、自分の仕事の手際、勘の悪さがのしかかる瞬間が重なり、深呼吸なのかため息なのかわからないものが出てしまう。いつの間にか吹き出物と、口内炎が出来ていて、トホホとなる。それでも、こういった会議が運営や福祉を支えている側面もあるし、役員会もとても大切な仕事でもある。
「事件は会議室で起きてるんじゃない」という映画のセリフがあったけれど、保育はどこで起きているんだろう。立ち止まって考えてみると、さまざまな「現場」が保育園の中にはあるような気がする。
現場の声とか、現場からの意見とか、現場という言葉の中で、何が私の「現場」なのかなと思うところがある。子どもと一緒にいるのは「保育現場」。この「保育現場」からしかわからないこともあるし、見えてこないものもある。「事務現場」なんて言葉は聞いたことがないけれど、事務も労務も用務もキッチンもどれもかけがえのない「現場」だ。
だからこそ、それぞれの「現場」に違いや興味を持ったり、知ったり、理解しようとする姿勢が大事だし、私自身も真剣に知りたいと思う。だけど、その中で見落としたくないことは「それは今、子どもを中心に考えているか?」ということだ。
会議中、いろいろと議題や課題が練られていく中で判断に迷った時、「それって子ども中心に考えているかな?」と立ち返る言葉になっている。気持ちがぐらぐらする時ほど、立ち返ることができる、この言葉の奥行きを感じる。
7月。水遊びが本格的に始まる。まぶしい光、吹いてくる風、美味しいごはん、冷たい水。内側に入って子どもと一緒に「今、この時」を共に感じられる私でいたい。自分の心の手綱をしっかり持って、私の現場をさぼらずに。
ー このコラムは『しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記Ⅲ』の連載第四回です。
園長美和さんのわっしょい日記

しぜんの国保育園の暮らしについて、園長という視点から綴られているコラム連載。“タイトルの「わっしょい」はさまざまあるようですが、語源である「和を背負う」という意味と、なんだか口に出すとうれしい気持ちになるところから名付けました。悩み揺れながら感じる日々の小さなあれこれを綴っていきたいです。”(園長美和さんより)