しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記II (第八回)「たのしいことを知っている」
お昼寝のとき。しゅんちゃんのタオルの柄がせなけいこさんの『めがねうさぎ』で、あ、この絵本、好きだったな、と、トントンしながら思っていた。
せなけいこさんの絵本はいつも、教訓めいていなくて、ちょっとよくわからないけど、わからないまま終わる感じも好きで、私自身の子育て中によく読んでいたし、子育てひろばでもよく読んだ。そんなことをふと思い出していた。その次の日の昼礼で(しぜんの国保育園では、朝礼、終礼、など色々試していて、今は昼礼に落ち着いています)、理事長の紘良さんからの話で、せなけいこさんが亡くなったことを知った。
せなけいこさんの代表作の一つ『ねないこだれだ』。
夜になっても寝ない子をおばけの世界に連れていってしまうというストーリー。
初めて読んだ時、あはは、と思わず笑ってしまったが、これを「しつけの絵本」と思う人もいるようだ。こどもはまったくそんなことは思わないと思うけれど・・・。
せなけいこさんのインタビューを読むと、せなさんのお子さんはラストのおばけの世界に連れていかれる「おばけに なって とんでいけ」のシーンで「いいよ、とんでいくよ」と言ったと話されていた。こんなおばけと一緒にいたら楽しそうだもの。こどもは楽しいことをよく知っている。
追悼コーナーを作ろうと、図書館司書の資格をもつ、しほさんとお話をする。
園内のせなさんの絵本を集めてみると、10冊ほどの作品があった。『ねこふんじゃった』など、私もまだ読んだことのない絵本もあり、心が踊る。こどもたちも「みわさん、なんの絵本を持っているの?」と寄ってくる。そんな中、しほさんが気が付いた。『ねないこだれだ』のラストのページがない!
思わず、またあはは、と笑ってしまう。本を大切に、というのは重々承知の上。
誰かが切り取ったのか、めくり過ぎて、取れてしまったのか。
そのページはいったいどこにいったのか。おばけと一緒にとんでいった?
ー このコラムは『しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記II』の連載第八回です。
このコラムの連載
しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記Ⅱ(第一回)「わわわっと2024年がスタート」
しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記II (第二回)「葉っぱを裂く」
「ねえ、メイちゃん、なんでこの葉っぱから糸が出るってわかったの?」そうたずねると、「めったんに教えてもらったの」と小さい声で答えた。
しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記 II(第三回)「今日も子どもの傍に」
しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記 II(第四回)「一緒に迎える、越えていく、渡る」
しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記II (第五回)「遠く離れて」
モンテネグロからボスニアに渡るバスの中で母から教えられたことを思い出した。この夏、バックパックを背負って、トルコ、モンテネグロ、ボスニアヘルツェコビナ、クロアチアの4カ国を渡る旅をした。飛行機、長距離バス、夫が運転するレンタカーで移動した旅。毎日足の裏がジンジンするまでとにかく歩いた。トルコではピーマンに米と玉ねぎ、そして牛ひき肉を入れたドルマ、クロアチアのザグレブではハムとチーズが何層にもなったカツレツ、その土地の食事をすることもあれば、現地のスーパーで買い物をし簡単な料理をすることもあった。その土地に流れる風を感じ、人と人の間にある表情を感じる。同じ地域に連泊したのは一度だけ。今まででいちばん一度の旅行の中で国境を越えた。
しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記II (第六回)「平気な顔してサンドイッチ」
そんな風な会話をご近所さんや、保育者と話しながら9月が始まった。
以前、保育者を経て行政の仕事をされている方とお話しているときに「最近では、節分などの季節の行事をコンビニで感じることが多くて・・・。子どもたちと一緒にいた時には、暮らしの中で感じていたんですけどね」という言葉を聞いた。
しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記II (第七回)「私もマサコちゃんも」
このところ、気温の変化のせいか体調不良の子が多い。