しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記Ⅱ(第一回)「わわわっと2024年がスタート」
わっ!という間に2024年度がスタート。卒園と入園が同時に交差するのが、保育園という場の特性。よしっと踏ん張って、笑いたい。燃えないゴミを出すのを忘れたり(2週間に1回・・・)、冷蔵庫の野菜をダメにしてしまったりしながら、なんだかんだで、日々が進んでいく。でも、朝早く起きて、子どもたちと会えると思うと、なんだか心がゆっくりと起き上がってくる。
4月の始め。2024年度の保育が始まって2日目。園のホールでライブを開催した。ドラムにくまちゃん、ベースに紘良さん、ピアノに島田さん。アコギは潤くん、ヴォーカルは、葉月ちゃんと上島さん。そして、エレキギターは、卒園児で15歳のハルトくん(息子)。くまちゃんと上島さんは彼の年長児の担任でもあった。
けやき組(年長児)になると、誕生会で「好きなことを発表する」コーナーがある。彼は自作の歌『空飛ぶおつきさま』をウクレレを弾きながら歌ったのだった。
それが10年後、同じステージで担任と一緒に演奏する日が来るなんて。
演奏した曲は『Johnny B. Goode』『I WANT YOU BACK』『ATTA』の3曲。
その演奏する姿を、つばき組(3歳児)のユウくんがじっとみる。彼は、アコギを担当した潤くんと一緒に1年間たくさん歌を歌って、ギターに憧れを持っていた一人だった。すみれ組(2歳児)の時から、自作のギターも作っていた。ちょうど、お母さんがお迎えにきたので、声をかける。
「ユウくん、すごく真剣に見てます。よかったら、お母さんも一緒に見ませんか?」
「ユウ、潤さんと一緒にいてからギターが大好きになったんです」
「そうですよね!憧れになりましたよね。実は・・・あの水色のポロシャツの子、息子なんです。息子も小さい頃からギターが好きだったんですよ。ユウくんもこうやってギター弾く日が来るかも・・・」とそっと内緒話をした。
昨年の「わっしょい日記」にも書かせていただいたように大人も子どもも揺れるこの時期、しぜんの国では「ゆらゆら期」と名付けて、この時を過ごす。今年は、異動や退職もあり、また保育者メンバーの彩りにも変化があるスタートになった。私もなるべく内側に入りながら、子どもたちと一緒に過ごせる時間を大切にしている。そういえば、さっきキッチンの前で、つばき組(年少)クラスに進級したユーちゃんに「あなたは本当におもしろいわね」と言われた。「ありがとう・・・」と答えつつ、ちょっとうれしい気持ちになる。子どもたちには、たくさんの「おもしろい」に出会えるといいな、わたしもそんな「おもしろい」の要素になれたらいいな。子どもたちのことをたくさん知りたい、教えてほしいなと思う、ゆらゆら期の春。わたしはやっぱり保育園が大好き。
ー このコラムは『しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記II』の連載第1回です。
このコラムの連載
しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記(第一回)「ゆらゆら期の私たち」
先日、エントランスで1歳児クラスのお父さんが「絶賛ゆらゆら期っす」と話してくれた。笑顔で話してくれているものの心配だろうな、とも思いを寄せる。子どもの心、保育の心、親心、私はその三つの心をいつも、自分の中で多面的に見つめないといけないと思う。
「自分たちはいい保育をしているんだ」と、独りよがりにならないように。
しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記(第二回)「とるに足らないオシロイバナの種のような」
その中で「子どもとふざけるのが好き」という話をして(そんなこと実は初めて言った)、改めて帰りの電車の中で「ああちょっと本音だったな」と思い返していた。