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しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記II (第2回)「葉っぱを裂く」

齋藤美和(さいとうみわ)
掲載日:2024/05/15
しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記II (第2回)「葉っぱを裂く」

春の園庭。メイさんが長い葉っぱを持ってきてくれた。縦に裂くように切ると、納豆みたいに糸を引くその葉っぱ。「こうやると、こうなる」。目の前で裂いてくれた。「わー知らなかった」。私も一緒に裂いてみる。気持ちよく裂ける。

「ねえ、メイちゃん、なんでこの葉っぱから糸が出るってわかったの?」そうたずねると、「めったんに教えてもらったの」と小さい声で答えた。

めったんは、メイさんと同じチームで今年の3月に卒園した女の子。今頃小学校でどうしているかな、ふとめったんの気配を感じる。「めったん元気かな?」メイさんと話す。ニコニコしながら二人で葉っぱを裂く。すると、ソウちゃんやりっくんが「何やってるの〜?」とやってくる。「うわあ、納豆葉っぱだ、ベトベト〜」私の肩で指を拭く。「みーもやってみたい」みーちゃんがやってくる。みんなで葉っぱを裂く。この葉っぱの名前はなんだろう。私も子どもの頃、ひたすら実を集めて瓶に入れて、水を入れて眺めたり、それこそ葉っぱを裂いて遊んだり、そんな風に過ごしていた。

「うひょー」三輪車に乗った子達がひびき山(園庭の築山)を走る。私たちはそれを眺めながら葉っぱを裂く。めったんは、小さい子たちによく話しかけていたなと思い出す。

まだまだゆらゆら期。日々を重ね、ゆらゆらも小さな波になってきたように感じる。保育者は子どもたちの声やふるまい、ときには涙、あらゆる表現を掬い取ろうとしている。

「あ〜今日もパワフルだった」。現在は上町しぜんの国保育園の保育者である萩原さんが町田に勤務していた頃、保育を終えた後に笑いながら同僚と話していたのを思い出す。「大変だった」じゃなくて「パワフルだった」と話す、萩原さんの心もち。ああ、私もそんな風になりたいなあ、こんな風に話せる園にしていきたいな、と。時は過ぎ、パワフルだった子どもたちは一昨年元気に卒園をした。

大変、をどう語るか。言葉にするか。どう感じるか。新しい年、新しい顔ぶれ。そんな風に考えていると、2年目の保育者のゆりあちゃんが「わ〜今日もお散歩から帰れないかと思った〜あはは〜」と保育者同士、話しているのが聞こえてきた。子どもたちが公園で遊びたい気持ちがいっぱいでごはんを食べに帰ろう、と行ってもイヤダイヤダ、まだ遊びたいという状況だったよう(よくあります)。それでも子どもたちの波長を見定めながら、お互いを知り合っていくうちに「今」ならではのうねりが生まれつつある。

大変さを神妙に、深刻に話す人。集まるとネガティブな話が多くなる人。大変、だけど楽しいに変換できる人。ゆりあちゃんの言葉で、難しく考えていた私の心に風が通った。こんな風なことが起きるから、人と人が集まって保育をするのがたまらなく好きだ。メイさんと裂いた葉っぱの切れ目。みんなで食べた筍ごはん。もうすぐ羊のめえちゃんの毛刈りもある。心を砕きながら日々は続く。

ー このコラムは『しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記II』の連載第2回目です。

このコラムの連載

しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記Ⅱ(第一回)「わわわっと2024年がスタート」

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わっ!という間に2024年度がスタート。卒園と入園が同時に交差するのが、保育園という場の特性。よしっと踏ん張って、笑いたい。燃えないゴミを出すのを忘れたり(2週間に1回・・・)、冷蔵庫の野菜をダメにしてしまったりしながら、なんだかんだで、日々が進んでいく。でも、朝早く起きて、子どもたちと会えると思うと、なんだか心がゆっくりと起き上がってくる。