遊びを豊かにする「砂場」とは?〜書籍/学びを支える保育環境づくり〜
![遊びを豊かにする「砂場」とは?〜書籍/学びを支える保育環境づくり〜 遊びを豊かにする「砂場」とは?〜書籍/学びを支える保育環境づくり〜](https://d36atwftrcmaqv.cloudfront.net/201709100545211.png)
書籍「学びを支える保育環境づくり 〜幼稚園・保育園・認定こども園の環境構成〜」(著:高山静子)より、全4回にわたり、学びを支える保育環境づくりについてご紹介します。
第3回目は、「砂場」について。
優れている、砂の性質
砂は、遊びの素材として優れた性質を持っています。なぜなら、子どもの働きかけに対する応答性が高いから。
たとえば、砂をスコップでかき出せば穴が掘れ、積み上げれば山になり、手ですぐに崩すこともでき、丸めれば団子になる……。
何度でも作り直すことができ、作ったものはさまざまなものに見立てやすいので、想像力が育ちます。
このような特性がある砂場は、子ども自身が遊び込むことのできる保育に必要不可欠な環境です。
さまざまな「遊び」の展開が広がる
砂場から生まれる遊びは、実に多様。
単純に砂をすくったりこぼしたりする操作遊び、ままごとなどのごっこ遊び、川作りや町作りなどの造形表現遊びにも使えます。
ダイナミックな遊びから繊細な遊びまで、幅広く対応できるのが砂場のいいところ。
ただし、川や町を作ったり大きな山を作ったりして、子どもたちが「やった〜!」と達成感を得るためには、十分な砂の量が必要です。
川和保育園の砂場
紹介する川和保育園の砂場は、立体的になっていて砂の量がたっぷりあるので、子どもたちの遊びがダイナミックです。
さらに、川和保育園には7か所の山砂の砂場があり、夏には海砂を導入し、子どもの経験の幅を広げ、質を高めています。
砂場の数や砂の量をすぐに増やすのは難しいかもしれませんが、道具や素材を準備したり、空間に工夫を凝らすことなら実践しやすいでしょう。
道具はシンプルなものが十分に揃っていて必要なときに自分で取り出せること、素材は水や草花、木の枝など多様性があることなどがポイントです。また、砂場の近くにテーブルや棚を置くだけでも、遊びが広がっていきます。
遊び上手な年長さんがいる園ならば遊びの伝承ができますが、開園間もない園では、保育者が道具を使ってダイナミックに遊びましょう。遊びのきっかけを作れば、その後子どもたちは、自分で遊びを展開していきます。
遊びが広がる4つのポイント
1、砂の量が十分な砂場を数か所に
子どもが達成感を得るためには、十分な砂の量が必要。
また、園庭内に数か所、大きさや砂質が異なる砂場を設置したい。
川和保育園では、0歳児用、1歳児用のための砂場も用意されているので、それ
ぞれの発達に合った遊びに没頭することができる。
2、シンプルな道具をたくさん用意
遊びの道具は、シンプルなものをたくさん用意。
車や魚など決まった形しか作れない型よりも、四角や丸のケーキ型を選ぶこと。
ケーキも作れるし、並べて重ねればお城も作れる。
3、草花、水、枝などの自然素材も必要
子どもたちが自由に摘める草花を園庭に用意しておくと、砂場遊びの素材として活用できる。
カゴを持って草花を摘みながら「お買い物」をし、ケーキやお寿司作りへと発展すれば、砂場でのごっこ遊びが充実。
4、テーブルや棚を砂場空間に取り入れる
砂場の近くにテーブルやいす、作業台を設置するなどの空間づくりにも工夫が必要。たったひとつのテーブルがあるだけで、砂場でのごっこ遊びがどんどん広がっていく。
書籍のご紹介
![学びを支える保育環境づくり](https://d36atwftrcmaqv.cloudfront.net/book/700246340_hoikukankyo.png)
今回の記事は、書籍「学びを支える保育環境づくり 〜幼稚園・保育園・認定こども園の環境構成〜」よりお届けしました。
連載企画のその他の記事はこちら
連載企画1:“工夫次第で、都心の園でも自然豊かに”〜書籍/学びを支える保育環境づくり〜
第1回目は、「まちの保育園の実践」について。
連載企画2:保育環境を構成する「8つの要素」ってなに?〜書籍/学びを支える保育環境づくり〜
第2回目は、「保育環境を構成する要素」について。
<!-- 学び、まなび、保育園、保育施設、保育環境、書籍、砂場 --!>