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「大人も子どもも、自分で決める練習がもっともっと必要だなと思う」親子に関わり続ける柴田愛子さんからの提案。〜井戸端aiko番外編〜

三輪ひかり
掲載日:2022/03/11
「大人も子どもも、自分で決める練習がもっともっと必要だなと思う」親子に関わり続ける柴田愛子さんからの提案。〜井戸端aiko番外編〜

りんごの木子どもクラブの柴田愛子さんが、子どもの世界の淵(ふち)にいる方とおしゃべりをする新連載「井戸端aiko」。

第2回目のおしゃべりのお相手は、神奈川県横浜市で自然なお産のお手伝いをし続ける「助産院 バースあおば」の助産師、柳澤さん、仲さん、宮岸さん。

盛り上がったおしゃべりの中で、泣く泣く本編からはカットした「愛子さんとバースあおばのみなさんのこぼれ話」を、番外編としてお届けしたいと思います。

井戸端aiko 第2回 柴田愛子さん ✕ 助産院バースあおばのみなさん

前編:「お腹にいる時も産まれる時も、その子の『個性』を大事にしたい。」
後編:「子どもの姿や成長に対して喜べるかどうかは、脇役の人がすごく大事。」

自分で決めて動く力。

愛子さん
助産院でお産をすると決めることは、ある意味大きな決心がいることよね。出産に限らずどんなことでも、やったことがない、初めてのことを選択するのって勇気がいるじゃない。それだけでリスクがあることだから。

それを、出産という大きな節目で、主流ではない助産院で産もうと決めるのは、ものすごく自分と向き合ったり、考えたりしたんだろうなあと思うの。私はこうしたいけど、夫は反対だ、両親が反対だとかもきっといるんじゃない?

宮岸さ
そうですね。でも、そういう方には「じゃあまずは一緒に見学に来てみたら?」と、見に来てもらうようにしています。実際に自分たちでその場を見て、どういうお産をするところなのかを知ると安心できるだろうし、ちゃんと家族で話し合って選択することができると思うので。

もちろんその中には、やっぱり病院にしようと決める方もいますし、助産院で出産しようと思っていたけれど、母子の安全から結果的に助産院では出産できなかったという方もいますけど、自分で決めたことだと納得しているからか、いいスタートをきれる方が多い印象ですね。

愛子さん

そうなのね。最近、私がよく感じているのは、大人も子どもも自分で決めて動く力がないなということ。「じゃあ、どうする?」という場面になったときに、「どうすればいいのか分からない」、「どうすればいいんですか?」と外に答えを求める人がすごく増えているように感じるのよね。私は、「あんたがどうにかするんでしょう」って思うんだけど、専門家や研究者、ネットやテレビの情報から得たものが正解で、私はそれを請け負います、みたいになってしまっているのよね。

柳澤さん
たしかに、自分に自信がないというか、本当にこれでいいのかなと不安になるお母さんが多いような気がします。

愛子さん
子育てをしていると、どうすればいいのか分からなくなることが山のようにでてくる。たとえば、「どんなときに叱ればいいですか?」って聞かれるんだけど、「あんたがイヤだなと感じてそれを子どもに伝えようと思ったとき」なのよ、それって。でもそれが分からないのよね。

なんでそんなことが起きてしまうのかというと、自分のなかの正解や、好きか嫌いかというような自分の気持ちに向き合って育ってきていないからだと思うの。自分で選択するというのは、気持ちに向き合って、どこかでけりをつけて決心して行動するということだと思うんだけど、そういう練習を子どもの頃からしてきていないからなんだろうなと。

学校教育のなかで正解を与えられて、その正解を求めて励んできちゃったのが影響していると思うのよ。子どもの頃から、自分の外に正解を求められることが多過ぎる。

小さな子どもって、ごはん食べている時に「これきらい」とか平気で言うじゃない。そうすると大人は、「これは残しちゃいけない」とか、「きらいって言っちゃいけないよ」とか言うんだけどね、私は「きらいって言えてえらい!」って思っちゃうの。どんどん言えって(笑)!

だから大人も子どもも、自分で決める練習、他の人と違っていても大丈夫という練習がもっともっと必要だなと思うんです。



「井戸端aiko」おしゃべりのお相手は…

バースあおば
1996年青葉区たちばな台に山川助産院(バースあおば)開設。
2006年に現在の鴨志田町に助産院バースあおばとして移転。

<助産師>
柳澤初美さん
1951年生まれ、長野県出身。助産師として神奈川県立母子保健センターで働く。母子保健センターが閉院となる際にカンガルーの会を妊婦さんや産後の母親とともに創設し母子保健センターの存続を訴えた。母子保健センターはその後閉院となり、神奈川県立子ども医療センターへ。カンガルーの会の活動で自然なお産ができるところをと母親たちの活動から、山川助産院(バースあおば)の開設に至った。

仲かよさん
1945年生まれ、群馬県出身。柳澤さんとともに神奈川県立母子保健センターで働く。母子保健センター閉院後、神奈川県立子ども医療センターへ。カンガルーの会の活動を一緒に行い、その後に山川助産院(バースあおば)を開設に至った。バースあおばでは自身の孫3人をとりあげた。

宮岸晴美さん
1971年生まれ、横浜市出身。大学病院で働いた後、病院でのお産に疑問を抱き、バースあおばに就職。自身もバースあおばで2人の子どもを出産した。

柴田愛子さん

1948年、東京生まれ。
私立幼稚園に5年勤務したが多様な教育方法に混乱して退職。OLを体験してみたが、子どもの魅力がすてられず再度別の私立幼稚園に5年勤務。
1982年、「子どもの心に添う」を基本姿勢とした「りんごの木」を発足。保育のかたわら、講演、執筆、絵本作りと様々な子どもの分野で活動中。テレビ、ラジオなどのメディアにも出演。
子どもたちが生み出すさまざまなドラマをおとなに伝えながら、‘子どもとおとなの気持ちのいい関係づくり’をめざしている。
著書 
「子育てを楽しむ本」「親と子のいい関係」りんごの木、「こどものみかた」福音館、「それって保育の常識ですか?」鈴木出版、「今日からしつけをやめてみた」主婦の友社、「とことんあそんで でっかく育て」世界文化社、「保育のコミュ力」ひかりのくに、「あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます」小学館、絵本「けんかのきもち」絵本大賞受賞、「わたしのくつ」その他多数。



取材・撮影:雨宮 みなみ

この記事の連載

「お腹にいる時も産まれる時も、その子の『個性』を大事にしたい。」柴田愛子さん×助産院バースあおばのみなさん<前編>

「お腹にいる時も産まれる時も、その子の『個性』を大事にしたい。」柴田愛子さん×助産院バースあおばのみなさん<前編>

りんごの木子どもクラブの柴田愛子さんが、子どもの世界の淵(ふち)にいる方とおしゃべりをする連載「井戸端aiko」。
第2回目のおしゃべりのお相手は、神奈川県横浜市で自然なお産のお手伝いをしている「助産院 バースあおば」の助産師、柳澤さん、仲さん、宮岸さん。

りんごの木には、バースあおばで産まれた子どもたちがたくさんいます。愛子さんとバースあおばのみなさんは直接会ったことはなかったけれど、そんな子どもや家族を通して、互いに強いつながりを感じていたといいます。


「子どもの姿や成長に対して喜べるかどうかは、脇役の人がすごく大事。」柴田愛子さん×助産院バースあおば<後編>

「子どもの姿や成長に対して喜べるかどうかは、脇役の人がすごく大事。」柴田愛子さん×助産院バースあおば<後編>

連載「井戸端aiko」第2回目のおしゃべりのお相手は、神奈川県横浜市で自然なお産のお手伝いをし続ける「助産院 バースあおば」の助産師、柳澤さん、仲さん、宮岸さん。

前編では、バースあおばの成り立ちから移り変わってきたお産事情、そこから垣間見えた家族の姿まで、多岐に渡りお話が広がっていきました。
後編は、対談に同席したライターであり保育士でもある三輪が、取材前からぜひ伺いたいと思っていた質問からはじまります。