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第2回 ハラスメントが起きてしまったら…どうすれば?【新 幼児と保育×ほいくるアンケート】

新 幼児と保育
掲載日:2019/10/18
第2回 ハラスメントが起きてしまったら…どうすれば?【新 幼児と保育×ほいくるアンケート】

通称「ハラスメント防止法」が可決され、大企業は2020年4月、中小企業は2022年4月までに防止策を講じることが義務となりました。

残念ながら、もしハラスメントの被害に遭ってしまったら…?
今回は、そんなときの対処のしかたを、専門家にうかがいます。

新 幼児と保育』2019年10/11月号“保育現場に潜むハラスメント”記事とのコラボ企画で4回にわたってお届けする連載、第2回です。

この記事の出典  「新 幼児と保育」について

新 幼児と保育(小学館)

保育園・幼稚園・認定こども園などの先生向けに、保育をより充実するためのアイデアを提案する保育専門誌です。


お話を聞いた人

松好 登紀子(まつよし ときこ)さん

社会保険労務士。グローバル・ビズ・サポート株式会社講師。
外資系企業にて人事部部長として人事全般を経験し、マネジメント、ハラスメント防止などの研修を日本全国の企業・自治体にて行う。


ハラスメントが発生したら、どうする?

ハラスメントの被害に残念ながら遭ってしまったときの、対処のしかたを知っておきましょう。

パワハラを受けたとき

アンケート③_1

信頼のおける同僚、先輩、または会社の人事や相談窓口に速やかに相談しましょう。
ひとりで悩んでいても解決しません。

相手には、やめてほしいという意志を伝えましょう。
そのとき、「そんなのおかしい」と、相手を否定するようないい方をしたら、相手もカチンときます。自分の今の気持ちや状態を「私は」が主語のメッセージ(I(アイ)メッセージ)で伝えます。

「Iメッセージ」の例

・そういわれると非常にきついです。

・どうすればよいかわからなくて不安です。


・頭の中が混乱しています。落ち着いて話を聴きたいので、あとで少し時間をとって教えてもらえますか?

そういわれると自分の存在を否定されているようでつらいです。

・私にはおっしゃっていることがよくわかっていないかもしれません。理解したいので具体的に教えてもらえるとありがたいです。


セクハラを受けたとき

そのような言動は不快であり、やめてほしいという意志を最初に伝える必要があります。
黙ったままや、無視は行動をエスカレートさせます。
また、証拠を確保することも重要です。

証拠の残し方
ハラスメントを受けた証拠を残しておきましょう。

・発生した日時、場所、具体的な状況がわかるように記録する。電話は録音、手紙やメール、SNSの書き込みは保存しておく。

・不快感や拒否の意志を、上司や同僚にメールなどで伝える。

・事実と自分の要望(どうしてほしいのか)を説明できるようにしておく。

「防止法」施行までにやっておくべきこと

対応に当たる管理職はもちろん、一般の保育者もその内容を知っておき、ハラスメントの予防に役立てましょう。

就業規則の改定などが必要

職場でのパワーハラスメント防止を義務づける改正労働施策総合推進法が今年の5月に可決、成立しました。
具体的な防止策として、相談窓口の設置や加害者の懲戒規定の策定、社内調査体制の整備などが求められることになります。
ハラスメント関連事項について就業規則の改定が必要になります。

対策に取り組まない法人や自治体には、厚生労働省が改善を求め、従わない場合には法人名を公表することになります。

相談窓口を機能させる工夫

ハラスメントの相談窓口をつくる第一歩は、まず園内でハラスメント相談担当者を決めることです。担当者は外部研修などを利用して学ぶ機会を作りましょう。
また、ハラスメント問題に詳しい弁護士や社会保険労務士と顧問契約を結ぶなど、外部に相談できる体制を整えておく方法もあります。

文/佐藤 暢子  イラスト/上島 愛子



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保育園、幼稚園も例外ではありません。

ほいくるで実施した皆さんからのアンケート結果を踏まえ、全国各地で企業や保育者向けにハラスメント防止研修を行う専門家に、現状の問題点や、防止の手立てをうかがいます。

この連載は『新 幼児と保育』2019年10/11月号“保育現場に潜むハラスメント”記事とのコラボ企画で、4回にわたってお届けします。


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