保育と遊びのプラットフォーム[ほいくる]

第4回 気づかないうちに加害者に?!ハラスメントをしないための自己診断【新 幼児と保育×ほいくるアンケート】

新 幼児と保育
掲載日:2019/11/01
第4回 気づかないうちに加害者に?!ハラスメントをしないための自己診断【新 幼児と保育×ほいくるアンケート】

通称「ハラスメント防止法」が可決され、大企業は2020年4月、中小企業は2022年4月までに防止策を講じることが義務となりました。

そんなつもりはなくとも「ハラスメント」になってしまう習慣や対応があるかもしれません。
まず「自己診断シート」で、チェックしてみませんか?

新 幼児と保育』2019年10/11月号“保育現場に潜むハラスメント”記事とのコラボ企画で4回にわたってお届けする連載、第4回です。

この記事の出典  「新 幼児と保育」について

新 幼児と保育(小学館)

保育園・幼稚園・認定こども園などの先生向けに、保育をより充実するためのアイデアを提案する保育専門誌です。

お話を聞いた人

松好 登紀子(まつよし ときこ)さん

社会保険労務士。グローバル・ビズ・サポート株式会社講師。
外資系企業にて人事部部長として人事全般を経験し、マネジメント、ハラスメント防止などの研修を日本全国の企業・自治体にて行う。


自分がハラスメントをしないための自己診断

職場で慣習になっていることや、自分では平気だと思っていることでも、ハラスメントに該当するものがあるかもしれません。
下の自己診断シートで、まずは点検してみましょう。

自己診断シート1

【パワハラの加害者になっていないか確認!】

・「使えない」「役立たず」「バカじゃないの」「こんなこともできないの、情けない」「給料もらう資格がない」などと、人格を否定するような発言をしている。

・みんなの前で叱っている。

・ミスをした人に対して大きな声で怒鳴っている。

・時間外勤務や休日出勤を強要している。

・年次休暇をとらせないようにしている。

・特定の人の意見を無視している。

・陰で職場の人の悪口をいいふらしている。


【解説】

業務上必要な指導を、相当性を欠くとはいえない範囲内で行うものは、相手がどう受けとめるかにかかわらずパワハラには該当しません。しかしここに挙げた項目は、いずれも相当性を欠いており、問題があります。

自己診断シート2

【セクハラの加害者になっていないか確認!】

・部下・後輩を「ちゃん」づけやあだ名で呼んでいる。

・励ますときや仕事がうまくいったときに、異性の従業員の肩をたたいたり、疲れ気味のときは親切に肩をもんであげたりしている。

・女性従業員には「いつもきれいだね」などとほめている。

・性的な話題を取り上げて宴会の場を盛り上げている。

・受付やセレモニーでの花束贈呈は、いつも若い女性従業員に担当してもらっている。

・来客の際は、いつも女性従業員にお茶出しをお願いしている。

・元気のない男性従業員には、「男のくせに情けない、もっとしっかりしなさい」と叱咤激励している。


【解説】
いずれもセクシャルハラスメント(一部は「ジェンダーハラスメント」)の観点から問題があります。
不快に感じたり、侮辱に感じたり、傷ついている人がいるかもしれないことを自覚する必要があります。

年に1回、園内研修をしよう

ハラスメントが発生する前に、予防の意味で園内研修を行いましょう。
ハラスメントの有無にかかわらず、年に1回と決めて行うのが理想です。
起きてしまってから行う研修には、個人攻撃のようになってしまう怖さがあります。

「これをやったらハラスメント」のような「してはいけないこと」を学ぶだけではなく、安心して働ける職場にするためのルールを、自分たちで決める機会にできるとよいですね。
(下の図「ハラスメント3つの境界線」も参照ください)


「ハラスメント対策」を全面に出すと参加者がつい構えてしまうものです。
コミュニケーション研修とか、管理職向けならば、マネジメント研修という枠組みの中で、互いに気持ちよく働くための関係づくりについて考えるような研修にするとよいでしょう。

厚生労働省のポータルサイト「あかるい職場応援団」には、研修を行うためのパッケージが揃っているのでチェックしてみてください。オンライン研修講座が受けられたり、パワーハラスメント対策導入マニュアルがダウンロードできたりします。

▶厚生労働省のポータルサイト「あかるい職場応援団」

研修用に作られた映像DVDを職場のみんなで見るのも、手軽にできるのでおすすめです。日本経済新聞出版社や21世紀職業財団、PHP研究所などから出版されています。

文/佐藤 暢子  イラスト/上島 愛子



この記事の連載

これって、我慢しなくちゃいけないの?気になる、みんなの職場事情〜新 幼児と保育 × ほいくるコラボアンケート結果より〜

これって、我慢しなくちゃいけないの?気になる、みんなの職場事情〜新 幼児と保育 × ほいくるコラボアンケート結果より〜

人と関わる、保育の仕事。
だからこそのチームワークの楽しさややり甲斐もあれば、反対に人間関係で悩むことも…
人間関係で悩むのであれば、職員間ではなく子どもとの関わりに時間を使いたい…!という方も少なくないかもしれません。
世の中には「ハラスメント」という言葉もありますが、保育の現場のリアルはどうなのでしょう?

ということで、今回は、ズバリ!職場の「人間関係」に関するアンケートを通して、職場関係事情を読み解いていきたいと思います。


第1回 職場に、ハラスメントが潜んでいる…?【新 幼児と保育×ほいくるアンケート】

第1回  職場に、ハラスメントが潜んでいる…?【新 幼児と保育×ほいくるアンケート】

通称「ハラスメント防止法」が可決され、大企業は来年4月、中小企業は2020年4月までに防止策を講じることが義務となりました。
保育園、幼稚園も例外ではありません。

ほいくるで実施した皆さんからのアンケート結果を踏まえ、全国各地で企業や保育者向けにハラスメント防止研修を行う専門家に、現状の問題点や、防止の手立てをうかがいます。

この連載は『新 幼児と保育』2019年10/11月号“保育現場に潜むハラスメント”記事とのコラボ企画で、4回にわたってお届けします。


第2回 ハラスメントが起きてしまったら…どうすれば?【新 幼児と保育×ほいくるアンケート】

第2回 ハラスメントが起きてしまったら…どうすれば?【新 幼児と保育×ほいくるアンケート】

残念ながら、もしハラスメントの被害に遭ってしまったら…?
今回は、そんなときの対処のしかたを、専門家にうかがいます。
この連載は『新 幼児と保育』2019年10/11月号“保育現場に潜むハラスメント”記事とのコラボ企画で、4回にわたってお届けする連載、第2回です。


第3回 「パワハラ」といわれない指導のポイントは…?【新 幼児と保育×ほいくるアンケート】

第3回 「パワハラ」といわれない指導のポイントは…?【新 幼児と保育×ほいくるアンケート】

「後輩のために」と思って伝えた注意が「パワハラだ」と受け止められてしまったら…?
あるモデルケースをもとに、専門家といっしょに考えていきましょう。
『新 幼児と保育』2019年10/11月号“保育現場に潜むハラスメント”記事とのコラボ企画で4回にわたってお届けする連載、第3回です。