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心をほっとさせる、とって食う園生活のはじまり。:うみのこのとって食ってつながる暮らしVol.2

認可外保育施設うみのこ
掲載日:2025/05/09
心をほっとさせる、とって食う園生活のはじまり。:うみのこのとって食ってつながる暮らしVol.2

連載「うみのこのとって食ってつながる暮らし」。

この連載の舞台になる「うみのこ」は、神奈川県逗子市にある認可外保育施設。逗子の山と海に囲まれた小さな古民家で、3歳〜6歳までの28人の子どもたちが暮らしています。

そんなうみのこの暮らしに欠かせないのが、食べること。

海山の恵みをいただき、畑で野菜を育て、自分たちで料理する。
生産者、料理人、食べることに欠かせない人々とつながり、本物と出会う。
どんなふうにうみのこで“食べる”ことが起きているのか、一年を通してお届けしていければと思っています。

おいしい朝からはじまる、春の一日。

4月。新年度のはじまりであるこの季節は、毎年バタバタざわざわします。
新入園の子どもたちにとっては、新しい環境、新しい友だちや大人たちとの出会い。年中・年長の子どもたちにとっても、学年があがり、新しい友だちを受け入れることは、“いつもと同じ”ではない、心が揺れる大きな変化です。

そんな春、うみのこはおいしい朝からはじめます。
デッキにコンロと鍋、油、小麦粉、塩を用意して、庭に自生する野草や畑で育てている野菜をとって、揚げて、その場で食べるんです。


おいしい音と匂いに誘われて、デッキに集まってくる子どもたち。


そのとき、最初にスタッフが摘んで用意しておくのは少しだけ。
「もうなくなっちゃったね。庭に生えているんだけど、どこにあるか知ってる?」

そう言って、子どもたちを自然とつくり手に誘い入れると、1年、2年とこの庭で過ごしてきた年中・年長の子どもたちは「ここにあるよ!」とはりきって摘みにいきます。


「ここだよ」と、新しく入った仲間に声をかける姿も。自分が知っていることで役に立てると嬉しいよね。


この日摘んだのは、たんぽぽ、ヨモギ、蕗、スナップエンドウ。


食べるとお腹が満たされて、お腹が満たされると心と身体がほぐれてくる。

さっきまでお母さんやお父さんをぎゅっと握っていたはずの手がいつのまにか解けて、おいしい方へとのびていく。
涙でいっぱいだった瞳が、おいしい方に釘付けになっていく。

「おいしい」には人をほっとさせる力があると、毎年この季節は春の恵みに感謝します。


ヨモギの天ぷらを片手に朝の支度。


「おいしい」はみんなで共有すると、もっとおいしい!


保護者にも一緒に味わってもらいます。忙しい朝、大人もほっと一息つけますように。


いただきます!

 

連載『うみのこのとって食ってつながる暮らし』これまでの記事

「食べること、それを作ること、遊ぶこと。そこだけは外注しちゃいけない」:うみのこのとって食ってつながる暮らしVol.1(前編)

「食べること、それを作ること、遊ぶこと。そこだけは外注しちゃいけない」:うみのこのとって食ってつながる暮らしVol.1(前編)

新連載「うみのこのとって食ってつながる暮らし」。

この連載の舞台になる「うみのこ」は、神奈川県逗子市にある認可外保育施設。逗子の山と海に囲まれた小さな古民家で、3歳〜6歳までの28人の子どもたちが暮らしています。

そんなうみのこの暮らしに欠かせないのが、食べること。

海山の恵みをいただき、畑で野菜を育て、自分たちで料理する。
生産者、料理人、食べることに欠かせない人々とつながり、本物と出会う。
どんなふうにうみのこで“食べる”ことが起きているのか、一年を通してお届けしていければと思っています。

「“とって食べる”の先に残るもの」子どもたちの心に根づく、手と感覚の記憶:うみのこのとって食ってつながる暮らしVol.1(後編)

「“とって食べる”の先に残るもの」子どもたちの心に根づく、手と感覚の記憶:うみのこのとって食ってつながる暮らしVol.1(後編)

新連載「うみのこのとって食ってつながる暮らし」。
うみのこを運営する一般社団法人そっかの共同代表であり、日本スローフード協会理事、エディブル・スクールヤード・ジャパンのアンバサダーも務める小野寺 愛(おのでら あい)さんへのインタビューから連載をスタートしました。

インタビュー前編で、「食べることも、それを作ること、そして遊ぶこと。そこだけは、外注しちゃいけない。子どもたちには、”ありがとう”に溢れる豊かなつながりの中で生きていてほしいなと思うんです。」と語った愛さん。

どんなふうに食べることや作ることを手元に持ち続けるのか。
後編では、一年を通してうみのこでどんな「食べること」にまつわる出来事が起きているのか、そこからお話をお聞きします。。

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