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子どもたちとミーティングしている?〜柴田愛子さんへのみなさんの回答とせんせいゼミナール『現場の子ども学』のようす〜

雨宮みなみ
掲載日:2023/07/29
子どもたちとミーティングしている?〜柴田愛子さんへのみなさんの回答とせんせいゼミナール『現場の子ども学』のようす〜
連続オンライン講座『現場の子ども学』(せんせいゼミナール)に寄せて、りんごの木子どもクラブ代表、柴田愛子さんからみなさんにさせていただいた質問。

寄せられた回答と、セミナーでの愛子さんのお話の一部をご紹介します。

今回の愛子さんからみなさんへの質問

子どもたちとミーティング(サークルタイム、子ども会議など)していますか?(3歳児以上で)

「している」と答えた方が69.1%と、回答者の約7割の方が、ミーティング(サークルタイム、子ども会議など)をしている、という結果でした。

「している」と答えた人に質問です。していて、どうですか?

・子どもの思いを聞くことができて楽しい。

・色々な考えや思いが出て面白い。

・いろいろな意見や子どもたちの思いを感じることができてとても有意義。

・子どもたちが自分の体験を話したり発案したりする姿が多く良いと感じている。

・子どもの今好きなもの、気持ちなど知れるので距離が縮まり、活動に活かせると感じる?

・初めは、感じていること、気付いている事を言えなかったようですが、生活する中で、個々の思いを出せるようになりました。

・自分の思いを言葉で伝える力や相手の話を聞こうとする力がつくと感じる。色々な意見があることを子どもたちなりに知ることができる。

・ミーティングの場をつくり子どもたちもより多く表現できたり、違った思いがあるということを知る機会が増えたことを感じています。

・楽しいです。自分たちのことを自分たちで決めることで、子どもが主体的に活動する姿が増え、友だちとの関わりが深まったと感じます。

・子どもが自分の思いを出せるようになる。人の話を聞くことができるようになる自分又は自分たちで考えることがうまくなる。人の気持や意見が違い理由があることに気付く。経験が豊かな子どもはどんどんと発想し口に出す。それを聞くと他の子も興味が深まる。回を重ねるごとに子どもたちの考えが深くなり、話したい気持ちが高まる。会議がしたいという。

・自分たちが納得する答えが出れば決めたことをきちんと守る姿がある。 子ども会議は数を重ねるほど話し合いが上手になりお友だちの考えを尊重出来るようになる。子どもだけでなく職員の対話も大切だと改めて感じる。 よって良いことばかり!

・自分は乳児担当なので日常的には関わりませんが、時々様子を見たり参加することがあります。 みんなで輪になって床に座って表情を見ながら話せる雰囲気は、並んで前を向く“朝の会”“お集り”みたいなものより、対話の雰囲気と温かさを感じます。担任が口火を切るので、押しすぎず引きすぎず、良い加減で子どもの輪に入り進行(?)していくのは、難しそうだなと思いました。うっかりすると大人の意図が強く出てしまい誘導にもなりかねないし、こどもの発想が止まる可能性もあり、かといって自分の意志も一人の構成員として伝えることも必要。普段、大人がどんな立場でコミュニケーションをとっているかによっても、全然異なるサークルタイムになっていくのだろうなと思います。 乳児クラスの子と一緒に輪に入れてもらったのですが、いつもは駆け回る子も、一人前の顔で座って、話す人の顔をかわるがわる見ているので、特別な雰囲気なのでしょうね。中には無関係に輪の中で嬉しそうに動き回っている子もいましたが、そんな様子もサークルの一部で受け入れている姿にも、子ども達の寛容さを感じました。 自分がする立場ならと思うと、どうしたらいいんだろうと戸惑いますが、参加しているぶんにはいい時間だなぁと思っています。

難しさを感じている方の意見

・こんなやり方でいいのかな?と、毎回考えさせられる。

・なかなか難しいです。

・活発に意見が出ますが、リーダーシップのある子の意見が強くなってしまう傾向があり、悩みどころです。

・子ども達の意見がまとまらなかったり興味の差があったりと、進めていくことに苦戦しています。答えがなくていいものなのかなと思いつつ、終わり方が難しいです。

・子どもたちの色々な意見が出て、面白さや様々な気づきがある。 ただ、意見をまとめると多数派が有利になってしまうので、少数派意見を尊重するにはどうすればいいかは悩んでいる。

・昨年度、年長児でその日の振り返りとして毎日していました。思わぬ言葉が出てきたりと面白いのですが、正直、自分が進め方をわかっていなかったのもあるので、もっと子どもの気持ちを引き出したり、発展に繋げることもできたのではないかと思います。毎日が慌ただしく過ぎ、振り返りが自分自身で苦痛に感じることもありました。

「したいと思っている」「したいと思わない」と答えた人に質問です。その理由を教えてください。

「したいと思っている」と答えた方の意見

・まだクラスが落ち着かず、できないのが現状。

・まだ、話し合いなどの理解が難しい為。

・3歳児ですが、まだ叩いたり噛みつき行為が多く、言葉でのやり取りが少ないため。

・人前で話す力、話を聞く力を育てたい。が、人手不足のためできていない。

・やり方がわからない。

・園がそこまで成長していない。

「したいと思わない」と答えた方の意見

・その発想がなかった。

***


ミーティングを「している」と答えた方が7割近くいたことから、ミーティングやサークルタイムというような、子どもたち同士で話したり、そこに大人も入って話したりという活動への関心の高さがうかがえる結果でした。一方、あたらしいことに取り組むからこその不安や、これでいいのかな?という課題を抱えている方も。

せんせいゼミナールでは、寄せられた回答を踏まえながら、ミーティングの土台にまつわるお話をお伺いしました。

せんせいゼミナール『現場の子ども学』オンライン講座のようす

今回は、特別ゲストとして元りんごの木子どもクラブの保育者の青山誠(あおやままこと)さんをお迎えしてのせんせいゼミナール。
青山さんがりんごの木の保育者になった頃やミーティングをしてみての感想から始まり…愛子さんと青山さんの対話を通して、よくある質問や陥りがちなこと、たくさんのエピソードに触れながら、ミーティングの技ではなく“土台”にまつわるお話をたっぷりお聞きしました。

ここからは、お二人のお話のやりとりを、少しご紹介したいと思います。

(左)愛子さん(右)青山さん


愛子さん:

すみれちゃんていう子がブランコに並んでてさ、自分の番がこないまま集まる時間になっちゃったことがあったのね。それでミーティングの時に、「すみれちゃん、並んでたのに順番がこなかったね。じゃあどうやったら、並んでいる人は乗れるようになるんだろうね?」という表面上のノウハウで話したのよ。
私が、「30秒で交代するのはどう?」とかみんなに聞いたんだけど、「やだよ!のりたいときは、いっぱいのりたいんだから」とか言われて、どうしても乗りたいんだったら朝早く来いとか、お弁当をさっさと食べればいいとか、色々出てきたのよね。
でもその時に、すみれちゃんの顔はちっとも明るくならなくて。それで結果的に、「すみれちゃん、どうしてブランコに並んでたの?」って聞いたら、「やることがみつからなかった。」って。そうなの?って言ってそこからどんどん辿っていったら、いつも一緒に遊ぶ仲良しの誰ちゃんが他の子と遊んでいたから、自分はどうしたらいいか分からなくてブランコに並んでいたってことがわかった。

これを、言葉抜きに察知するってすごく大変なことよね?
こういう風にたぐり寄せることによって、子どもの見えなかったもの、子どもの芯が、どんどん言葉として引きずり出される。これがミーティングの醍醐味っていうかね。そして子どもも、それを表面化してもらったことで、「わかってもらえた」って。漠然とした寂しさが、みんなが心配したりいろんなことがあったりしているうちに、どんどん自分の中でも見えてくるのよね。
そういうことがすごく楽しいんだけど、最初からなかなかそううまくはいかないのよね。


青山さん:
今のすみれちゃんの話みたいに、ミーティングの場って、子どもがまず自分の気持ちを言うってことと、それがちゃんとその場で言葉に表れて、そして周りの子が聞いていることでその子たちも影響を受けていくんだと思うんですよね。「あ、すみれちゃんって本当は仲良しの子と遊びたかったわけね。知らなかった」っていう空気になってくる。

実際にミーティングをする、という立場で考えると、最初(ミーティングに関わり始めた頃)僕がピンときてなかったのは、“子どもの心に触れる”ということだったのかなと。自分の頭の中だけでパンパンになって、例えば今日はこれを聞いてみよう、あれを聞いてみようって自分に意識が向いちゃっている。だけど、だんだんそれが、「あぁミーティングって、遊んでいるこの流れのなかで、さっきみたいなおしゃべりの続きでもいいのかなぁ」って。そう思い始めると、興味関心の的が子どもになっていくんですよね。
それで、そこにいく足がかりとして色々手探りしながらきたんだけど、ピンときたのはやっぱり、実践のなかで子どもからの発言に出会えた時。今でもよく覚えているエピソードがあって、そこが転換期だったと思います。


愛子さん:
ピンとくるには、ピンとくるまで実践を重ねたってこと?


青山さん:
そう。それから愛子さんが教えてくれたことの一つに、「子どもの心に触れてみんなで話してみよう、というのはどのタイミングですか?」って聞いたら、言葉がこの辺(口元)まできたときだ、というのがあって。胸のところぐらいまでしかきてないのに、「ねぇねぇ」ってきくのはおせっかいだし、“心が溢れて言葉になるんだから”って。


愛子さん:

そうね。心がやわらかくなれば、自然と口がほどけてくるんだよね。

***

お二人の対話のなかで、「子どもと保育者って相棒なんだと思う。横並びになりながら丸くなってそのなかの一人に大人がなっていく。」というお話もあり、共にくらす仲間としての関係性についても考えさせられるような、とても豊かな時間でした。

柴田愛子さんと青山誠さんの共著

子どもたちのミーティング~りんごの木の保育実践から

ミーティングの記録が、子どもたちの言葉そのままにたくさん載っている一冊。

書籍名:子どもたちのミーティング~りんごの木の保育実践から
著者:柴田愛子、青山誠
出版社:りんごの木

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直近の開催のお知らせ

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テーマ:子どもたちの『あるある』どうしてる?

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また「4歳児の夢と現実のギャップ」。ファンタジーの世界で遊べる彼らは、一方で現実の自分の力量が届かず癇癪を起こします。ともかく一番が大好き。
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「現場の子ども学」の実践編を学べる回です。

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