保育と遊びのプラットフォーム[ほいくる]

第3回「RSウイルス感染症」~医師に聞く 園で気になる子どもの感染症~

新 幼児と保育
掲載日:2020/12/01
第3回「RSウイルス感染症」~医師に聞く 園で気になる子どもの感染症~

かぜなど感染症の流行が心配な季節です。
保育園で感染が広がる恐れのある病気について、主な症状や対応、予防について知っておきましょう。子育て支援にも役立ちます。

この連載「園で気になる子どもの感染症」第3回は「RSウイルス感染症」。
2歳までにほぼ100%が感染するといわれています。かぜのような症状から重症化することがあります。

(この記事は、『新 幼児と保育』2019年10/11月号に掲載されたものを元に再構成しました)

監修

澁谷紀子(しぶやのりこ)先生
総合母子保健センター 愛育クリニック 小児科・母子保健科部長
小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。


おもな症状と原因

重症化すると気管支炎などを起こす

RSウイルスの感染によって起こります。鼻水やせき、発熱といったかぜに似た症状から始まり、軽症の場合はそのまま治まります。ただし年齢が低いほど重症化しやすく、特に初めて感染した生後6か月未満の赤ちゃんは、30%ほどの確率で気管支炎や肺炎を起こします。気管支炎や細気管支炎になると、息を吐くときにゼイゼイと音がするようになります。


治療の基本

吸入薬や飲み薬で呼吸を楽にする

気管が左右の肺へ向けて分かれる部分より先を「気管支」、気管支が細かく枝分かれした部分を「細気管支」といいます。RSウイルスが気管支や細気管支に感染すると症状が悪化するので、病院での治療が必要になります。

病院では、症状に応じて気管を広げる薬の吸入などを行い、飲み薬も処方されます。重症の場合は、入院が必要になることもあります。

ホームケア

苦しそうなときは上体を起こした姿勢に

乾いた空気は気管を刺激するので、室内は適度な湿度を保ちます。激しくせき込んだり呼吸が苦しそうだったりするときは、すわらせて体を支えたり枕などを使って上体を高くしたりします。のどからつながる空気の通り道が乾燥すると、たんが出にくくなって苦しいので、少量ずつ水分補給をして、たんを出しやすくします。

呼吸が浅くて速い、激しくゼイゼイする、水分がとれない、などの場合は、すぐに病院へ行きましょう。

予防のためにできること

ここから先は
『みんなの幼児と保育』サイトで読めます。
『みんなの幼児と保育』サイトで読めます。
続きを読む
※小学館サイトへ移動します


ドクターより

文/野口久美子 イラスト/河合美波

この記事の出典  『新 幼児と保育』について 

新 幼児と保育
保育園・幼稚園・認定こども園などの先生向けに、保育をより充実させるためのアイデアを提案する保育専門誌です。

▶公式ページはこちら

 

この記事の連載

第1回「インフルエンザ」~医師に聞く 園で気になる子どもの感染症~

第1回「インフルエンザ」~医師に聞く 園で気になる子どもの感染症~

かぜやインフルエンザの流行が心配な季節です。
保育園で感染が広がる恐れのある病気について、主な症状や対応、予防について知っておきましょう。
連載「園で気になる子どもの感染症」第1回は「インフルエンザ」です。

第2回「ウイルス性胃腸炎」~医師に聞く 園で気になる子どもの感染症~

第2回「ウイルス性胃腸炎」~医師に聞く 園で気になる子どもの感染症~

かぜなど感染症の流行が心配な季節です。
保育園で感染が広がる恐れのある病気について、主な症状や対応、予防について知っておきましょう。
連載「園で気になる子どもの感染症」第2回は「ウイルス性胃腸炎」です。

第4回「気管支ぜんそく」~医師に聞く 園で気になる子どもの感染症~

第4回「気管支ぜんそく」~医師に聞く 園で気になる子どもの感染症~

かぜなど感染症の流行が心配な季節です。
保育園で感染が広がる恐れのある病気について、主な症状や対応、予防について知っておきましょう。
この連載「園で気になる子どもの感染症」第4回は「気管支ぜんそく」です。

第5回「水痘」~医師に聞く 園で気になる子どもの感染症~

第5回「水痘」~医師に聞く 園で気になる子どもの感染症~

かぜなど感染症の流行が心配な季節です。
保育園で感染が広がる恐れのある病気について、主な症状や対応、予防について知っておきましょう。

この連載「園で気になる子どもの感染症」第5回は「水痘」(すいとう)、いわゆる「水ぼうそう」です。