第2回「ウイルス性胃腸炎」~医師に聞く 園で気になる子どもの感染症~
かぜなど感染症の流行が心配な季節です。
保育園で感染が広がる恐れのある病気について、主な症状や対応、予防について知っておきましょう。子育て支援にも役立ちます。
この連載「園で気になる子どもの感染症」第2回は「ウイルス性胃腸炎」。
ウイルス感染によっておう吐や下痢が起こります。排泄物などの処理に注意が必要です。
(この記事は、『新 幼児と保育』2019-2020年12/1月号に掲載されたものを元に再構成しました)
監修
澁谷紀子(しぶやのりこ)先生
総合母子保健センター 愛育クリニック 小児科・母子保健科部長
小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。
おもな症状と原因
おう吐や下痢が数日続く
ウイルスに汚染されているものを食べることで感染するほか、感染した人の排泄物や吐いたものにさわった手などを介して体内に入ることによって、人から人へうつります。
おう吐と下痢がおもな症状で、感染したウイルスの種類によっては便が白っぽくなることもあります。脱水症状にならなければ、特に治療をしなくても数日で治ることがほとんどです。
治療の基本
「胃腸炎関連けいれん」に注意
特効薬はないので、受診しても薬は処方されないことがほとんどです。幼児の場合に注意したいのが、胃腸炎に伴って起こるけいれん。すぐに治まりますが、何回か続けて起こるのが特徴です。
まれに見られる「ロタウイルス脳症」などと区別するために、けいれんを起こしたら受診を。なかなかおさまらなければ、救急車を呼んで構いません。
ホームケア
こまめな水分補給で脱水症状を防ぐ
基本は、下痢やおう吐によって失われた水分を補給すること。少量ずつ、こまめに水分補給をします。何も食べられない場合は、塩分や糖分を含む経口補水液を利用します。食事がとれているなら、湯冷ましや麦茶などで構いません。
衣類などが汚れた場合は、ほかのものと分けて洗います。ウイルスは高温に弱いので、アイロンや乾燥機で仕上げておくと安心です。
予防のためにできること
文/野口久美子 イラスト/河合美波
この記事の出典 『新 幼児と保育』について
新 幼児と保育
保育園・幼稚園・認定こども園などの先生向けに、保育をより充実させるためのアイデアを提案する保育専門誌です。
▶公式ページはこちら
この記事の連載
第1回「インフルエンザ」~医師に聞く 園で気になる子どもの感染症~
保育園で感染が広がる恐れのある病気について、主な症状や対応、予防について知っておきましょう。
連載「園で気になる子どもの感染症」第1回は「インフルエンザ」です。
第3回「RSウイルス感染症」~医師に聞く 園で気になる子どもの感染症~
保育園で感染が広がる恐れのある病気について、主な症状や対応、予防について知っておきましょう。
連載「園で気になる子どもの感染症」第3回は「RSウイルス感染症」です。
第4回「気管支ぜんそく」~医師に聞く 園で気になる子どもの感染症~
保育園で感染が広がる恐れのある病気について、主な症状や対応、予防について知っておきましょう。
この連載「園で気になる子どもの感染症」第4回は「気管支ぜんそく」です。
第5回「水痘」~医師に聞く 園で気になる子どもの感染症~
保育園で感染が広がる恐れのある病気について、主な症状や対応、予防について知っておきましょう。
この連載「園で気になる子どもの感染症」第5回は「水痘」(すいとう)、いわゆる「水ぼうそう」です。