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一人ひとりの発達に寄り添いたい ー 発達支援事業を手掛けはじめた保育園の挑戦

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掲載日:2020/01/10
一人ひとりの発達に寄り添いたい ー 発達支援事業を手掛けはじめた保育園の挑戦
保育園や幼稚園で子どもの育ちを見とる保育者にとって、児童発達支援は密接に関わりがあるものの一つ。
しかし、児童発達支援事業所がどんなところで、どんな支援が行われているのか、実は知らないという人も多いのではないでしょうか。

そこで、とある児童発達支援事業所にお伺いすることにしました。

今回訪れたのは、東京都江東区にある“株式会社 グローバルキッズ”が運営する、「グローバルキッズAct 清澄白河」。

“豊かに生きる力を育てる”を保育理念に、保育園を運営し続けてきたグローバルキッズが2019年6月から取り組み始めた「児童発達支援事業所」です。

出迎えてくださったのは、斎藤直之さん。グローバルキッズの施設開発サポート部に所属し、現在グローバルキッズActの施設運営におけるサポートを担当しています。


グローバルキッズActの運営サポート担当・斎藤直之さん

グローバルキッズActは、「個別療育」・「親子療育」・「小集団療育」の3つの授業スタイルで、一人ひとりの子どものありのままを大切に、個性を尊重しながら発達段階に合わせた療育支援を行なっています。

 

今日はその中から「個別療育」の授業を体験させていただきました。

個別療育の流れ

「おはようございます。よくきたね」

温かく出迎えてくれた担当の療育指導員と、まずは挨拶。

ホワイトボードを使って視覚的支援を行いながら「今日はどんなことをするのか」、子どもと一緒に確認をします。

1回の授業の長さは約50分。その中で、個々の発達状態に合わせて考えられた「個別課題プログラム」と呼ばれる活動を2〜3つ行います。

この日まず体験させていただいたのは、「ワニワニぱくぱく」。

トングを使って物を掴んだり、歯ブラシを上下に動かしたりすることで、楽しく手先の微細運動の練習をします。

その中で、「ワニさん、果物が食べたいって」「下の歯を磨いてあげてね」などの言葉がけをしながら、子どもの認知スキルの発達状態を推察していくのだそう。

次に行なったのは「ペグさし」。

この活動も楽しく遊びながら、持つ・刺す・抜くなどの微細運動の練習や、色名・物名・場所などの認知スキルの発達状態を推察していきます。

体験させてもらいながら気づいたのは、どれも手作りの教材だということ。一人ひとりレベルや課題が異なる中で、“その子に合ったものを”と考えた時に、大きさや形の細かい調整のしやすさから、手作りの教材が増えていったのだといいます。



その後、絵本を一冊読んで、保護者へのフィードバック。
フィードバックでは、その日の子どもの様子から「ちゃんと認識ができた」「落ち着いて座れた」など、前回と比べて子どもができるようになったこと、上手になったことなどを中心に伝えています。

子どもが帰ってからは、授業の振り返りをしたり、他の職員に相談しながら、計画の見直しや次回以降の準備をします。


想いをじっくり伺いました!

斎藤さんと、現在グローバルキッズAct清澄白河で児童発達指導員をしている小川さん (仮名)に、事業を立ち上げたきっかけや子どもへの想いなどについて、お話を伺いました。



ー 保育園を運営しているグローバルキッズが、なぜ児童発達支援(療育)という分野に進出したのですか?

斎藤さん(以下:斎藤):
「豊かに生きる力を育てる」を保育理念とし、丁寧な保育を実践していく中で、合理的配慮が必要なお子さんが増えていることを感じていました。

実際、現場の保育士さんからも、集団の中でどのように個を大切にしていけばいいのか悩んだり、葛藤したりしているという声が届いたり、各地域にある発達支援センターとの連携を充分に取れない課題を感じているという声が聞かれていたんです。

どうやったらそのような課題を解決できるのかと考えていた時に、ある一人の保育士から「療育にチャレンジしたいので退職したいです」と相談を受けました。だったら、当社のビジョンである「すべての子ども達の育ちと学びの社会インフラになる」の実現、さらには「保育と療育の融合モデル」のために、自分たちで児童発達支援に取り組むべきなのではと検討し、Actを始めることにしました。



ー 現場の状況と社員の声から始まった挑戦なんですね。「保育と療育の融合モデルを作っていく」というお話、とても興味深いなと感じたのですが、具体的に思い描いているモデルがあれば教えてください。

斎藤:
今すでにある事例ですと、グローバルキッズの保育園に通われているお子さんがActに通所しています。そうすることで、園と児童発達支援施設の両方でお子さんを支援することができるようになりました。

また、どのようにお子さんをサポートすればいいのか悩んでいる保育士や保護者に対して、Actの職員がアドバイスをしたり、勉強会を開いたりするような仕組みも整えています。

ゆくゆくは「Actで療育のプロになった職員が保育の現場に出ていく」、そんな循環も生まれるといいなと考えています。



ー 実際にどんな方々が働いているのですか?

斎藤:
現在は、保育士3名、言語聴覚士1名。もうすぐ高校教員を長年していた方が入られる予定です。保育園に比べて資格要件が広いのが、児童発達支援施設の特徴かもしれません。

小川さんはグローバルキッズの保育園で働いていて、Actに異動をしてきた職員なんですよ。

小川さん(以下:小川):
私は元々、3〜20歳までの子どもたちが生活をする障碍児入所施設で働いていたのですが、その中で3歳〜就学前の子どもたちに関わることが多く、保育園に興味を持ちました。

それでグローバルキッズに転職をし保育園で働き始めたのですが、もっと一人ひとりに適切な支援ができないかと感じるようになり、Actへ異動することにしたんです。


ー Actに異動してみて、保育園との違いは感じますか?

小川:
違うなと感じているのは、とことん子ども一人ひとりのことを考えられること。保育園だと集団の流れや園のスケジュールもあるので、子どもたちを急かすことや、一斉でやらなくちゃいけないこともありましたが、ここでは一人ひとりに寄り添うことができるのが、とても嬉しいです。

斎藤:
Actの方針のひとつに「一人ひとりの子どものありのままを大切に、個性を尊重しながら発達段階に合わせた支援をする」というものがあるのですが、ただ支援するだけでなく、そのお子さんに合っているか、お子さんが楽しんでいるかを常に大切にしながら一人ひとりと関わっているということが、職員からもいつも伝わってきます。


ー お子さんとの関わりの中で、こういうことは積極的にする、逆にこういうことはしないということがあれば教えてください。

小川:
今、私が大事にしていることは「褒める」こと。その中で、ただ褒めるのではなくて、何について褒められたのか、本人が分かりやすいように褒めることを意識しています。例えばさっきやっていただいたペグさしだったら、「上手にさせたね」、「上手に持てたね」というように言葉をかけます。

あと、その行動をした時にすぐ伝えることも大事にしていますね。何について褒められたのか分からないと次に繋がらないので、たとえば椅子に座れたらすぐ「座れてかっこいいね」と伝える。少しでも理解しやすい言葉を、その時にすぐかけられるといいなと思っています。

しないようにしていることは、私はまだまだ勉強中の身なのでうまくできないことが多いのですが、「支援しすぎない・しなさすぎない」こと。その子に合った支援を見極めることが必要なので、ベテランスタッフに学ばせてもらいながらやっています。


ー 難しいことでもありながら、やりがいを感じる部分でもあるのだろうなと思います。

小川:
そうですね。悩むこともありますが、楽しそうに活動に参加してくれたり、「明日もくる?」「明日は何するの?」と言われた時は、明日は来ないんだけどねと思いながら、すごく嬉しい気持ちになります。

保護者の方々も、最初はお子さんの出来ないことばかりに目がいってしまっていたのが、「今日はこんなこと出来ましたね!すごいなと思いました」と、少しずつ出来ることに着目してくれるようになると、ああ、よかったなぁと。

保護者の皆さんと一緒に、お子さんの育ちを見守り、サポートできるのは、児童発達支援ならではのやりがいかもしれません。


ー 最後に、これから挑戦したいなと思っていること、思い描く未来を教えてください。

斎藤:
繰り返しになりますが、「すべての子ども達の育ちと学びの社会インフラになる」ために、保育と療育の融合モデルとして保育園とActの連携を進めていきたいなと思っています。そのためにグローバルキッズの保育園がある地域にActをオープンしていきたいですね。

今年の4月に3つ新しい施設を開所する予定なので、いい支援ができるように、仲間を集められるといいなと思っています。


ー これから新しい施設を開くのですね。療育に興味があるけれど、専門的に学んできたわけじゃないから…と悩む保育士さんもいると思うので、メッセージがあればお願いします。

小川:
ぜひ施設に遊びにきてほしいですね!どんな様子でやっているかが分からないから不安になるのだと思うので、一度見学に来ていただければと思います。

斎藤:
いつでもお待ちしています!


グローバルキッズAct 療育指導員募集中!!

子ども一人ひとりの育ちに寄り添うグローバルキッズActでは、現在、一緒に働く仲間を募集しています。

興味はあるけれど、自分にできるか不安という方は見学を受けることも可能です。少しでも気になった方は、ぜひこちらまでご連絡ください。

https://www.gk-recruit.jp/



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