「保育士の社会的地位を確立したい」グローバルキッズ代表 中正雄一さんの想いと一歩先を見据える視点
インタビュー編では、グローバルキッズが生まれたきっかけや保育の特徴、そこに込められた想いなどについて、代表の中正雄一さんにたっぷりお話を伺ってきました。
(保育の様子編はこちら)
保育士ってすごい。
ーーそもそも、保育園を運営しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
保育の現場に足を踏み入れたきっかけはまったくの偶然で、この業界のことは実は全然知りませんでした。
尊敬している上司が独立し、保育園経営をするのをきっかけにこの世界に入ったんです。
30歳のおっちゃんが、いきなり現場に入らされて(笑)。子どもは好きでしたが、自分が保育に携わるなんて、それまで想像もしていませんでした。
僕のスタートは「保育士ってすごい!」というところから。
おむつの替え方から始まり、真っ白なところから本当にいろんなことを教えてもらいました。
それから「保育士はすごい仕事をしているのに給料が低い」ということに気づいて、自分だったらこうしたい、という思いの元に起業しました。
経営者としてなら、自分が気づいたことを改善していけるのではないかと。
「経営者になりたい」と思って人生を歩んできたわけでなく、たまたまそういうきっかけをいただいただけ。でも、「天職だ」と思えるくらい自然にのめりこめたのは、ラッキーだったなと思っています。
保育士の社会的地位の確立
ーーそんな中正さんが、保育園を運営していく上で大切にされていることは、なんですか?
最も気をつけているのは、保育士が社会的地位を確立すること、です。
子どもはもちろんですが、それ以前に、保育をする人が幸せじゃないと、子どもたちをきちんとケアできないと思っています。
保育士という仕事に、プロとしての誇りをもってやってもらえるようにしたいなと。
なので、海外研修を取り入れて、人としての成長につながることを率先して取り入れたりしています。
現場をどう守るか、現場をどう高めていくかは、ブレずにやってきたつもりです。理念はきっちりと守っていこうと。
“保育士”という存在について
保育士には、輝いている大人を子どもたちに見せ続けていく存在であってほしいと思っているんです。
保育の現場を通して、「大人ってすごいな」と子どもたちに感じてもらえるように、楽しんでいる姿を見せてもらえるようにしたいなと。
大人も憧れる存在の人って、前向きで明るくて、感謝の気持ちがありますよね。
そういう人に接することで、子どもたち自身の視野も広がって「ああいう人になりたいな。大人っていいな」と思える環境につながるでしょう?
保育士だけでなくて、園長先生や調理の人、パートさんにいたるまでそういう大人が多ければ、例え家でどんなにお父さんお母さんが疲れていても(笑)、「大人って楽しい」と子どもに思ってもらえる。
そんな現場に賭けたいし、そうすれば保育士自身も成長できるのではないかと思っています。
グローバルキッズらしい保育
ーーグローバルキッズの保育の特徴を教えてください。
特徴、といわれると答えにくいんですが…それが特徴かもしれません(笑)。
保育には正解がないと思っています。
「◯◯式」とか「◯◯保育」といった手法や形式にとらわれず、ひとりの人間として、生活者として、問題解決能力や人を思いやれる心、感謝する心を持って、そして夢に向かって頑張れる自分でいられることを大切にしています。
大人から見て、特に親の立場からなんですが、保育において「こうしてほしい」というのは、それは全部スキームや技術だけの話。
子どもは、土台さえしっかりしていればいいのであって、人生において一番大事な時期にそれをあえてやる必要はないんじゃないかな、と。
少子化が進む中で、保育園もやがては淘汰されるかもしれませんが、時代の変化にもゆるがない、普遍的な理念は持ち続けていたいと思っています。
ちなみに、グローバルキッズは今複数の保育園を運営していますが、園によって特色は違います。
それぞれの園で子どもも保護者も違いますから、オフィスから指示してどうこう、というものではないんですよね。
保育士を信頼して、地域や保護者の声に耳をかたむけながら、ひとつの園をつくり上げるという「チーム保育」のスタンスをとっているのは、特徴のひとつといえるかもしれませんね。
今は「グローバルキッズらしさ」を築く途中でもあります。
子どもや保育にかける思い
ーーグローバルキッズにとって、ずばり「保育」とはなんでしょうか。
子どもや保育にかける思いについても合わせて、聞かせてください。
保育って、「大人になるための基礎」の部分だと思うんです。
あるべき大人の姿を見せつつも、保育のプロとして子どもたちの発達を保証してあげる。
子どもの自立にどう貢献していくか、というところですね。難しいし、奥が深いと思います。
僕が考える「子ども像」というのは、自己肯定感が強いということ。
自分のことが好きで「自分は生まれてきて良かったんだ」と思える気持ちがないと、生きていても楽しくないでしょう?
親に感謝できて、受けた恩を次の世代につなげていく。それが願いですね。
重たいものを連鎖するのではなく、かといって断ち切るのも難しいでしょうが、やがては「自分は意味があって生まれてきたんだ」と思えるようにしてあげたい。
そういう人には世界に対しても貢献したい、という思いが生まれると思うんです。
世界に出て通用できるような子どもを育てる、これが「グローバルキッズ」という社名の由来です。
ただ優秀なだけでなくて、他人に貢献したり、世界で活躍できるような人の育成につなげていきたいと思っています。
子どもたちが「生まれてきて良かった」と思えるようにしてあげたいですね。
ーーさいごに、グローバルキッズを通して、実現していきたいことを教えてください。
2つあります。
ひとつは、保育園だけでなくて大学まで運営したい、ということ。
今は、ひとりひとりをケアする環境がなく、逆に進学していくたびに子どもを弾き飛ばしていくような状態がありますよね。
保育園から運営している会社なら、子どもたち全員の良いところを育てていけるんじゃないかと思っています。「自分には可能性があるんだ」と思ってもらいながら社会に送り出したい。
その子たちが感謝の気持ちをもって社会に貢献して、将来子どもができたらグローバルキッズに入れてもらって…自然とそういう流れにしていきたいです。
いずれは世界に出て、同じようにやっていきたいですね。そうすればグローバルキッズに関わってくれる人も楽しいでしょうし。それが夢です。
もうひとつは、やはり原点は「保育士」なので、保育士の地位向上を目指しています。
今、世の中のニーズに合わせるために、現場をおざなりにした決め事が増えている。現場が、理想の大人像を目指しながら、どう保育をしていくのか?
グローバルキッズとしても、人材育成をしていかなければならないと思っています。「あこがれられる保育士」が出てくれば、キャリアとしても保育士を志す人が増えてくるんじゃないかな、と思います。
保育の現場としてやれる限り頑張っていって、新しい風を入れていきたいです。
ほかの職種と比較して、保育士さん自身が自分の価値を低く見積もりすぎている、というのもありますね。
海外だと大学院まで入ってから保育士になっている人もいる。日本だと、大学や短大を経て、とりあえず資格をとって保育士になって、指示どおりに働く、というケースが多い気がします。
世間も保育士のことを「子どもと親を結ぶ大切な存在」として、もっと関心を持ってほしいと思っています。
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