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「子どもたちは、自分探しの旅をしている」— 汐見稔幸さんが考える本当の“保育の質”とは

三輪ひかり
掲載日:2018/04/18

本物の文化に出会う「環境づくり」と保育現場の「葛藤」

子どもが遊んでいる様子


—汐見先生のお話を聞いていて、保育者の大事な役割のひとつは、子どもたち一人ひとりが自分にとっての「本物の文化」に出会う機会や環境を作っていくことだと感じたのですが、同時に保育の現場の中で、そこをどううまく担保していくのかは結構チャレンジなことなのではないか、とも感じました。

その通りで、実際の保育の場では保育者が1人で子どもたち10人、20人を見なくてはいけないということがあるよね。
そのなかで、一人ひとりの自分探しを上手にサポートしようと思うと、20人いたら20通りの子どもたちの活動をサポートしなくてはいけないことになります。

でも、子どもたちがそれぞれ同じタイミングでビビビと響くものに出会うとは限らないから、一人の子はやることが分からなくてふらふらしている。
でも、ある子はこれをやり始めたらもう離れない。という状態になることもあるわけです。

そうすると何が起きるか。

汐見先生の写真


場の秩序が保てなくなり保育者の不安が強くなって、保育の仕方が、こちらの言い分を初めからしっかり聞いてくれる子どもたちにしておく方が楽だってなっていくんだよね。

「はい、みんな集まって」とか「今日はこれやるよ」って、ある程度こちらが子どもたちのためだと思うことを考えて、それに子どもたちを従わせていくわけです。

—わたし自身、身に覚えのあることがあって、耳が痛いです…。

現場の保育者が、葛藤する部分だと思います。

でも子ども達は、やりたいことを一生懸命探すことを繰り返しながら、“自分探し”を日々しているわけです。
そう捉えると、保育というものは、子ども一人ひとりの自分探しを応援する場であって、一斉に同じことをするのはあまり意味がないってことに気付くと思います。

「僕、今こんなことやりたい」って思っている子がたくさんいるのに、「ここでは、そんな自分勝手なことをすることは許されません」、「ここでは、みんなで同じことをやることが大事なんです」って言われたら…。

子どもは自分ひとりでは生きていけない弱さを持っているから、大人の期待に応えて、従ってしまうことがあるんです。

汐見先生の写真


そうすると、ここは自分探しをするところではなくて、先生から言われたことを上手にやることがテーマなんだって思ってしまってね、大人の期待に応えて従う生き方をしていってしまう。

きっと、一斉に同じことをするような保育のなかでもいろんなものは育ちますよ。
「こんなおもちゃで遊んでみたかった」、「こんな面白い世界もあるんだな」ってなるかもしれない。

でも僕は、自分探しをできる場で育つものが10だとしたら、そういうところで育つものは5か6ぐらいなんじゃないかなと思うわけです。

そして、そこにある種の“保育の質”のヒントがあると思うんです。


保育の質のヒントとは何なのか。
後編では、保育の質に繋がる「本物の文化」と出会う環境を、保育のなかでどうやって作り、育つものを5〜6から10にしていくのかについて具体的なお話を聞かせていただきます。

イラスト



(後編はこちら)
汐見稔幸さんが提案する、「保育の質」に繋がる5つのヒント


取材・執筆:三輪ひかり / 取材・編集:雨宮みなみ

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今回の「保育所保育指針」「幼稚園教育要領」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」の改定にかかわった汐見稔幸先生が、それらに込めた思いを、わかりやすく解説したエッセイです。

書籍:さあ、子どもたちの「未来」を話しませんか
著:汐見稔幸 / イラスト:おおえだけいこ
出版:小学館



この記事の連載

汐見稔幸さんが提案する、「保育の質」に繋がる5つのヒント

汐見稔幸さんが提案する、「保育の質」に繋がる5つのヒント

前編で、子どもたちは日々、心にビビビと響いてくる出会いを通して「こういうことを私もしてみたい」と気づく「自分探しの旅」をしているということ。そして、そのために、一人ひとりがその子にとっての「本物の文化」に出会っていくことが大切なのではないか、という考えをお話してくださった、汐見先生。

後編では、保育の質に繋がる「本物の文化」と出会う環境を保育の中でどのように作っていくのか、そのヒントについてお伺いしました。


汐見稔幸先生へのインタビュー記事

「保育者や環境が変わると、子どもが変わる。」指針・要録改定から3年。汐見先生の感じた変化と今。

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改定時にもインタビューをさせていただいた、保育・幼児教育の第一人者でもある汐見稔幸さんに、この3年間での保育現場の変化についてお話を伺うことにしました。


「そもそもなぜ?を議論しよう」ー 汐見稔幸さんと考える、これからの時代に大切になること

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後編では、園や保育者はここからどう歩んでいくとよいのか、未来へ目を向けてお話を伺います。

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