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しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記II (第九回)「生き続ける『こども美術館』」

齋藤美和(さいとうみわ)
掲載日:2024/12/10
しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記II (第九回)「生き続ける『こども美術館』」

しぜんの国が大事にしている祭典「こども美術館」が先週の土曜日に開催された。この美術館は、こども一人一人の表現を大切に分かち合う日。こどもの作品の傍らに、こどもたちとその近くにいる保育者の心の機微を描いた「スケッチ」とよばれるドキュメントを展示する。

どの作品にも文脈があり、物語がある。その小さな日々の積み重ね、一人一人の持ち味を丁寧にキュレーションをして展示していく。その作品に応じた飾り方や見せ方を真剣に考える。こどもの大切にしていることを私たちも大切にしたいと強く願う。そんなこども美術館の展示、エントランスにステートメントを設えた。なんども書き直し、こどもたちや保育者の思いを汲みながら、私も言葉を書いた。

ふりかえれば物語 Looking back, there are so many stories
smallvillage 10周年 「こども美術館」


生きることっておもしろいんだ、と思えたのは、しぜんの国で子どもたちと保育者とそして家族の皆さんと場を共にすることから生まれた感覚でした。この感覚は日に日に色が濃くなり、子どもから影響を受けて、自分の生き方や物事の捉え方などに変化をもたらしました。

四季のうつろいと、美味しいごはん。伸びやかな絵の具の線や、思いがけない物作り。ただただのんびりとひなたぼっこする時間。「すみません、じゃなくて『ありがとう』がいいよ」という言葉も子どもから教えてもらいました。

smallvillageという名前の白い園舎がスタートをして10年目となる本年。創立当初からある

「すベてこども中心」「いきいき」という園の理念の本質を手繰るように保育をしてきました。

ふりかえると、後ろに道ができていました。寄り道が大好きな0歳児の女の子は、寄り道が「彼女の表現」としてスケッチに描かれています。まちあるきで出会ったご近所の渡辺さんからは「ゴースがたくさんあるんだけど、これで何か作れない?」とゴースをいただきました。この時「ゴース」(着物の裏打ち用の布)の存在を初めて知りました。「書くのが苦手」と言っていた保育者も、こどもの姿を残したい、伝えたいという思いから子どもの心の機微をスケッチできるようになっていき、子どもと一緒に歌いたい、とギターを弾くようになった保育者もいます。

「美しさ」とは? 「好き」の気持ちはどこから生まれてくる? 「文脈」とは?「創造性」って? たくさんの問いと解を、こどものエピソードをベースに、保育者と共にセッションをしました。この地道な日々が、営みが、今日の「今」につながっていると思います。

「教える」「与える」から、子どもと大人が影響を受けあいながら、笑いながら「共に生きていく保育」へ。

そう、園の理念である「いきいき」は、「生きる・生きる」から生まれた言葉なのだと、実感しています。生命の喜び、表現する美しい心地よさ。泥、土、巡る記憶。エントランスは、そんな積み重なる「物語の層」をイメージして保育者が設えました。

 
しぜんの国保育園 齋藤 美和

当日、ほとんどのご家庭が参加をしてくれて、こどもの表現を中心にこどもの、そして家族の、保育者のほころぶ顔が見られた。

誰かが幸せそうにしている雰囲気を見るのが心底好きだ。

恥ずかしがる子、お父さんやお母さんを引っ張って、自分の作品を一生懸命説明する子。喜び方は様々だ。そんな中で印象深かったのが、「お母さん、●●くんのこれ、すごいんだ!みて!」と自分の作品はもちろん友達の作品を紹介する姿や、ご家族が自分のこどもだけではなく、他のこどもたちの作品をじっくり見てくれたこと。

私が「そんな風になったらいいな」と思い描いてた風景がたくさんあった。そしてアンケートには「こどもが卒園しても見に来たい」と言ってくれるご家庭が複数いたことも、こどもの世界がご家庭に伝わっているように感じられた、愛に包まれた「こども美術館」だった。

ー このコラムは『しぜんの国保育園 園長美和さんのわっしょい日記II』の連載第九回です。

園長美和さんのわっしょい日記

園長美和さんのわっしょい日記

しぜんの国保育園の暮らしについて、園長という視点から綴られているコラム連載。“タイトルの「わっしょい」はさまざまあるようですが、語源である「和を背負う」という意味と、なんだか口に出すとうれしい気持ちになるところから名付けました。悩み揺れながら感じる日々の小さなあれこれを綴っていきたいです。”(園長美和さんより)

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