絵本で伝えよう。「戦争」と「平和」〜幼児に読みたい8冊〜
2024年に、終戦から79年目を迎える日本。
いつもと変わらない夏を過ごす私たちとは裏腹に、遠くウクライナでは2022年2月より未だにロシアによる侵攻が続いています。
ニュースで流れる戦場の様子や人々の叫びは、子どもたちの目にどのように映っているのでしょうか。
戦争、そして平和って、なんだろう。
子どもたちと一緒に目を向け、心を寄せてみるきっかけとなるような絵本をご紹介します。
<いきなり戦争の話をするのは不安…という方に>
以下のアドバイスを参考になさってみてください。
・セーブ・ザ・チルドレン
専門家がすすめる、子どもと戦争について話すときの5つのポイント
せんそうって、なあに?どうして起きるの?
「戦争(せんそう)」ってなあに?
そう問いかけられたとき、私たちはどんなことばで、どんなふうに伝えられるでしょうか。
人々の穏やかで優しい日常が、一瞬にして、奪われること。
人々の笑顔が、怒りに、涙に変わっていくこと。
子どもたちにも理解しやすいシンプルなことばと絵から、そのそら恐ろしい戦争の本質が見えてきます。
『へいわとせんそう』
『へいわとせんそう』
文:たにかわしゅんたろう
絵:Noritake
出版社:ブロンズ新社
<出版社の内容紹介>
「へいわのボク」と「せんそうのボク」では、なにが変わるのだろう。
同じ人やもの、場所を見開きごとに比べると違いが見えてくる。
いま、子どもにも大人にも伝えたいメッセージ。
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『せんそうしない』
『せんそうしない』
文:谷川 俊太郎
絵:江頭 路子
出版社:講談社
<出版社の内容紹介>
ちょうちょと ちょうちょは せんそうしない
きんぎょと きんぎょも せんそうしない
くじらと くじらは せんそうしない
まつのき かしのき せんそうしない
谷川俊太郎の言葉で語られる戦争への思い、江頭路子の絵の透明な生命力が融合して、ひとつの世界観を作り出しています。
人間の知恵はどこにあるのかを、静かに問いかける絵本。
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戦争は、なんで起きてしまうの?
始まりはきっと、けんか。
でも、子ども同士はちゃんと仲直りができるのに、大人はどうしてできないのでしょうか。
おひさまとおつきさまのけんか
『おひさまとおつきさまのけんか』
作・絵:せなけいこ
出版社:ポプラ社
<出版社の内容紹介>
ある日、けんかをしたおひさまと、おつきさま。ふたりの仲はどんどんわるくなあり…。
戦争について、ストレートに問いかける絵本。
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「へいわ」ってなあに?
「いつも」の毎日は、 あたりまえじゃない。
平和って、どんなこと?
戦争の、対極にあるの?
丁寧にひもといていくと、戦争と平和はむしろ背中合わせであることに気づきます。
「戦争しない」ためにできること。
相手を思いやること。
かけがえのない日々を、大切にすること。
『へいわって どんなこと?』
『へいわって どんなこと?』
作:浜田 桂子
出版社:童心社
<出版社の内容紹介>
へいわってどんなこと?
「きっとね、へいわってこんなこと。せんそうをしない。ばくだんなんかおとさない。いえやまちをはかいしない……」
いろいろな視点から平和を考え、平和の意味を問い返します。
本シリーズは、日本の絵本作家が中国と韓国の絵本作家に呼びかけ、三か国12人の協力で実現した平和を訴える絵本です。三年以上の歳月をかけ、国を越えた意見交換を積み重ね、各国の歴史を踏まえて実現した画期的な取り組み。
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『へいわってすてきだね』
『へいわってすてきだね』
詩:安里 有生
画:長谷川 義史
出版社:ブロンズ新社
<出版社の内容紹介>
へいわってなにかな。ぼくは、かんがえたよ。
ねこがわらう。おなかがいっぱい。やぎがのんびりあるいてる。
ちょうめいそうがたくさんはえ、よなぐにうまが、ヒヒーンとなく。
みんなのこころから、へいわがうまれるんだね。
これからも、ずっとへいわがつづくように、ぼくも、ぼくのできることからがんばるよ。
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戦争が残す傷あと。
戦争が人々に残した傷あと、今も決して消えることのない悲しみ。
絵本なら、心の世界を通して、じっくりと子どもたちに伝えていくことができると思います。
4〜5歳ぐらいの子どもたちにも理解しやすく、恐怖心を感じる描写が少ない絵本を選んでみました。
それでも目を背けたくなる戦争の現実は、幼い子どもたちの心に思わぬショックを与えてしまうことがあるかもしれません。
まずは大人のみなさんが手にとって、読んでみてください。
そして読み聞かせをするときは、聞き手の子どもたちの様子を最優先に、無理をせず、読み終わった後には対話したり触れ合ったり安心して大人に心を委ねられる環境を整えてください。
『せんそうをはしりぬけた『かば』でんしゃ』
『せんそうをはしりぬけた『かば』でんしゃ』
作・絵:間瀬なおかた
出版社:ひさかたチャイルド
<出版社の内容紹介>
『かば』電車は、東海道線の特急列車としてたくさんの乗客を運んでいました。
しかし、1937年に日本は戦争に突入。やがて兵隊や兵器を運ぶようになります。
戦争が続くなか、『かば』電車は砲火をあび、被弾。やがて終戦。平和と希望をとりもどした時代、『かば』電車はまた走り出します。そして今…
『かば』と呼ばれた、実在する電気機関車の物語。
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『だっこの木』
『だっこの木』
作:宮川 ひろ
絵:渡辺 洋二
出版社:文溪堂
<出版社の内容紹介>
浅草寺のいちょうの木は幼いカズヤとなかよしだった。しかし大空襲の日…。
太平洋戦争末期、浅草寺のいちょうの木は、幼いカズヤとなかよしだった。しかし大空襲の日、木はカズヤとの再会を夢見て頑張るが…。
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『くつがいく』
『くつがいく』
作:和歌山 静子
出版社:童心社
<出版社の内容紹介>
70年前、日本の兵隊たちはアジアの国ぐにで何をしたのか。幼いころ、何もわからず戦争を体験した作家が、あらためて戦争とは何かを問いただす。
兵隊たちに履かれて海をわたり、戦場に行った靴たち。その運命をとおして、ほんとうの戦争のすがたを描き、平和を守ることの大切さをうったえる。
そして、少女はいま、はっきりと自分の意志を伝える。「わたしはわたしの未来を生きていく。わたしの未来に戦争はいらない」と。
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遠い過去の歴史と捉えていた戦争の理不尽さ、むごさ。
揺れる世界の中で今、他国のことと見過ごすことのできない現実が私たちに突きつけられています。
戦争についてくわしく理解するには、まだ難しい年齢の幼児の子どもたち。
それでも絵本を通して、「決して戦争を起こさない」という強い意志のバトンをつないでいけたら、と思います。
この記事の連載
終戦記念日とは?(8月15日)〜子どもに伝えやすい行事の意味や由来、過ごし方アイデア〜
子どもたちに伝えるには色々と難しさを感じるけれど、きちんと伝えたい「終戦記念日」。
子どもたちといっしょに考えたり、伝える際の手がかりになりそうな情報をご紹介します。