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幼稚園教諭・保育士になるまえに知っておきたいこと Vol.1

ほいくる編集部
掲載日:2014/08/04

多用な種類の保育施設が増えている今、みなさんはそれぞれの園の特徴を知っていますか?



まず知っておきたいこと

幼稚園と保育園の違い

幼稚園と保育園の違い

主な保育施設の種類と特徴


幼稚園

義務教育及びその後の基礎を培うものとして、幼児を保育し適当な環境を与えてその心身の発達を助長することを目的としている。
幼稚園教育要領に定められている保育内容に沿って保育・教育を行う。
公立園と私立(民間)園があるが、公立園がない地域もある。

特徴

特徴は様々で、園児数、バス送迎の有無、給食の有無、教育理念、園方針、保育内容など、園によって異なる。

職場環境のこと

春休みや夏休みなどのお休みがある(出勤日も有り)。
また、保育園に比べて行事や保護者会などを通して保護者と深く関わる園が多い。
園によるが、若い先生の割合が多い。


公立保育園

地方自治体(市区町村)が運営する保育園。
正規職員として働く場合、地方公務員として採用試験に合格しなければならない(倍率は高く、地域によっては10倍になる場合も)。

特徴

園によるが、ベテランの保育士が多い(年齢層も高め)。
最近では、公設公営だった園が公設民営になるケースが増えている。
※公設民営…国や地方公共団体が施設を設置し、その運営を民間の企業・団体に代行すること。

職場環境のこと

市区町村内での転勤・異動があるが(特定の保育園に務めるのではなく、その地方の保育園に務めるという認識)、希望が通らないことも多い。


私立保育園(民間保育園)

社会福祉法人を中心に、学校法人、株式会社、宗教法人、財団法人、NPOなどが運営する保育園。

特徴

運営団体(法人)により、施設の大きさから保育方針、クラス編成、職員の服装、保育時間まで、様々な違いがある。

職場環境のこと

系列園がある団体(法人)などでは、異動や法人(企業)内での合同研修などを行う場合もある。


認可保育園

国が定めた設置基準(施設の大きさ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理等)をクリアして都道府県知事に認可された保育園。

特徴

公的資金補助があるため、保育料は比較的安い。

職場環境のこと

運営団体により施設の大きさや保育方針、クラス編成、職員の服装なども様々。


認証保育園

東京都独自の制度により、保育基準をクリアした認可外保育園。

特徴

東京都認証保育園には「A型」「B型」の2種類がある。
大きな違いは、A型は「0~5歳児が対象で、20~120人」、B型は「0~2歳児が対象で、6~29人」。
A型は「屋外遊技場(園庭)」を設置するか、近所に代替場所(公園など)があることが必須条件。低年齢児のみのB型では特に規定がない。
また、A型の経営主体のほとんどは民間企業で、B型の経営主体は、個人もしくはNPO法人。

職場環境のこと

「開所時間11時間」を基本にしている認可保育園に比べ、認証保育園の開所時間は13時間であるため、シフトの幅も広い。
施設形態や保育時間、預かる子どもの年齡、保育方針、保育内容は運営団体により様々。


認定こども園

保育所対象児である「保育に欠ける子」と、幼稚園対象の「保育に欠けない子」とを同時に保育することに加えて、子育て支援事業を実施する施設を指す(都道府県が定めた条例に規定を達成し認定を受けた園)。 

特徴

短時間から長時間まで保育時間は様々で、下記の4種類がある。
1. 幼保連携型(認可幼稚園と認可保育所とが連携して、一体的な運営を行うことにより、認定こども園としての機能を果たすタイプ)
2. 幼稚園型(認可幼稚園が、保育に欠ける子どものための保育時間を確保するなど、保育所的な機能を備えて認定こども園としての機能を果たすタイプ)
3. 保育所型(認可保育所が、保育に欠ける子ども以外の子どもも受け入れるなど、幼稚園的な機能を備えることで認定こども園としての機能を果たすタイプ)
4. 地方裁量型(幼稚園・保育所いずれの認可もない地域の教育・保育施設が、認定こども園として必要な機能を果たすタイプ)

職場環境のこと

特徴にもあるように、様々なタイプがあるため職場環境も様々。
幼稚園教諭免許と保育士資格の併有が望ましく、学級担任には幼稚園教諭免許の保有者、長時間利用児への対応については保育士資格の保有者が原則とされているが、片方の資格しかない者を排除しないよう配慮されている。


その他の保育施設

認定保育園 開設後1年以上経過した私設保育施設(認可外保育施設)のうち、市区町村が定めた一定の基準を満たしている良好な施設。
横浜保育室 横浜市が独自に設けた一定の基準(保育料・保育環境・保育時間)を満たす施設。
事業内託児所 企業内または事業所の近辺に用意された、育児中の従業員向けの託児施設。小さなお子様を育てながら働く従業員が安心して働けるようにすることを目的とし、今様々な企業での導入が検討されている。
企業運営保育所 企業が運営する保育施設。認可保育園や認証保育園、認可外保育園など、施設によって形態は様々(系列園がある分、異動も多い)。
病児(後)保育施設 保育所に通っている子どもが病気になり親が仕事を休めない時に、親に代わって病気の子どもの世話や保育を行う施設。病児後保育は、病気は治っているが、まだ本来の状態に戻っていない回復期の子どもを親に代わって世話(保育)をするという意味。

保育士になるということ

子どもの笑顔の写真

ちょっとイメージしてみてください。
もし今あなたが、病気やケガをしたとします。
そして、自分では対処ができない時…あなたはどうしますか?

きっと、病院に行く人が多いのではないかと思います。
そしてそれは、「病院に行けば安心」という、医療のプロであるお医者さんへの信頼が前提としてあるからではないでしょうか。

実は、これは保育にも共通することです。
保護者の方は、「自保育園に預けていれば安心!」という、保育士への信頼が前提としてあります。“子育てのプロ”である保育士が、保護者に代わり大切なお子さんをお預かりするのが保育園なのです。

「プロ」というと、なんだかちょっとハードルが高いように感じられますね。まだ子育て経験もないし、1年目でわからないことも多いし…と不安に思う方もいるかもしれません。もちろん、最初はできないこと、わからないことがあって当たり前です。


子どもの笑顔の写真

でも、ちょっと考えてみてください。
自分が信頼し、助けを求めて尋ねた病院のお医者さんに、「まだ医者になったばかりなので…」という理由で責任逃れをされたら、あなたはどう思いますか?

保育の現場も同じように、自分の都合は、子どもたちや保護者には関係ありません。
ちょっと厳しいようですが、現場に出たら自分の都合は言い訳でしかなく、全く通用しないことなのです。

じゃあやっぱり、新卒だからって「できない」「わからない」ことがあってはいけないの!?

いいえ、そんなことはありません。
先ほどもお伝えしたように、わからないことがあって当たり前。できないことがあって当たり前です。
でも、そんな中でもプロとして大切なことが一つ。
それは、例えできないことがあっても、それを「〜だからできない」と言い訳をするのではなく、「できないからどうするか」と向き合う姿勢です。人生の土台ともいえる大事な乳幼児期のお子さんをお預かりする以上、現場に出たらプロとしての意識と責任をきちんと持つという心構えが大切なのです。

“経験が豊富なベテランで、保育には慣れているけれど、プロ意識がなく自分の想いばかり優先している保育士”と、
“新卒でまだわからないことやできないことがあるけれど、責任を持ち、子どもの成長を考え一つずつ向き合っていく保育士”。
あなたがもし自分の子どもを預けるとしたら、どちらの保育士に預けたいですか?

大事なのは、できることやこなすことではなく、一つひとつに真摯に向き合うことです。
できないこと、わからないことは、経験を重ねていくうちに学び、自然と身についていくから大丈夫。子どもたちの成長を、心から考えることができれば、きっと行動にも自然とプロとしての意識と責任が伴ってくると思います。

どうか、プロとしての自覚と心構えを忘れずに。目の前にいる子どもたちの姿を大切に。
そんなことを頭の片隅に置きながら、保育士になる準備期間を大切に過ごしてほしいと思っています。

実習前

事前準備は大丈夫?

子どもの笑顔の写真

持ち物、登園時間、オリエンテーションで説明された準備に抜けがないか、もう一度しっかり確認してみましょう!

実習に不安はつき物ですが、不安になるのは「わからない」ことが多いから。
「どんな先生がいるのだろう。」「どんなことを任せられるのだろう。」「私にできるかな…。」
そんな不安を少しでも和らげるために、実習前に最低限できることは、“言われたこと、決まりをきちんと守ること”。




わからないこと、できないことがあって当たり前です。
でも、「あいさつ」など、できることはきちんとできるようにしておきましょう。体調管理を含め「休まない」こと、遅刻や早退をしないことも基本中の基本。また、できることを書き出して、その準備をきちんとするだけでも、ずいぶんと心構えができるようになります。


気をつけたい言動

  • 遅刻、早退、欠席 → 電車の遅延など、やむを得ない時は早めに連絡をしましょう。
  • 質問や報告、相談をせずに自己解決してしまう →細かいことでもホウ(報告)・レン(連絡)・ソウ(相談)を忘れずに!
  • あいさつ → 大きな声でげんきよく!(子どもたちにも、保護者にも、職員に対しても)
  • 何をしていいかわからない → わからないなら聞く。気になることを書き出して質問する。
  • 日々慌ただしい保育生活の中で、待っているだけでは何も始まらないので積極的に行動を(例えできないことが多くても、一生懸命さが伝われば、先生も力になってくれるはずです。)。





実習中

辛い!大変!いっぱいいっぱい!そんな時。

子どもの写真

慣れない環境と気疲れで、精神的にも身体的にもちょっと辛いなぁ…というそんな時。
担当の先生と合わない、思っていたよりも大変なことを任されてしまった…というそんな時。
「どうしよう!」という毎日に、疲れてしまった…というそんな時。

大丈夫。
だからこそ、「実習」があるのです。
先輩たちもそうして、保育士になりました。




もし、困ったことがあったり、「どうしていいかわからない」ということがあったら、紙に書き出してみるといいかもしれません。

そして、それぞれに対して、「じゃぁどうしたら解決できる?」ということを考えてみます。
できるかできないかは置いておいて、とりあえず書き出してみるのです。

書き出した解決策ができそうになかったら、解決策を実行できるようにするためにはどうしたらいいかを、またさらに書き出してみます。そうして細分化していくうちに、問題が整理されて、今何をしたらいいかがだんだん見えてきます。
「辛い、大変」と愚痴を言って実習期間が終わるのを待つこともできるけれど、それでは実習の意味がありません。

大変なことも含めて、それを乗り越えた経験が社会に出て役立ちます。
せっかくだったら、今しかないこの実習期間、やれるだけやってみましょう!

実習後

実習最終日

  • 一緒に過ごした子どもたちへ、御礼とお別れのあいさつをしましょう。
  • お世話になった施設の方に、きちんと御礼のあいさつ忘れずに。


御礼状の書き方

基本

  • 御礼状は、実習終了後、1週間〜10日以内には必ず届くようにしましょう。
  • 封書ものを用意し、手書きで書きましょう。(修正ペンや二重線などで訂正をしないのが一般的。間違えずに書くためには時間もかかるので、余裕を持って準備を。)
  • 住所や氏名に間違いがないか、よく確認してから出すこと。

書き方

縦書きの場合の構成

1 前文

 「拝啓」という語頭と、時候のあいさつ。

2 主文

 実習をさせていただいた御礼と、どんな学びがあり、今後にどうつなげていくかなどの感想。感謝の気持ち等。

3 末文

 結びのあいさつ。

4 後付

 日付、差出人、宛名



文章例

文章の写真

時候のあいさつの例

新緑が香る季節になってまいりました。
五月晴れの空の下、さわやかな風が気持ちよい季節となりました。
初夏の風の中、紫陽花の鮮やかな色がひときわ美しい季節となってまいりました。
日差しの強さに本格的な夏の訪れを感じる季節になってまいりました。
初夏の風の中、紫陽花の鮮やかな色がひときわ美しい季節となってまいりました。
日差しの強さに本格的な夏の訪れを感じる季節になってまいりました。
色とりどりに彩られていた木々の葉もいつの間にか散り、ひましに寒さが厳しくなる季節になってまいりました。
冷たい風の中、少しずつ春の足音が聞こえる季節となってまいりました。

封筒の書き方

宛名 ○○保育園 ○○○○園長先生「様」ではなく、「先生」でよい。
裏面に、自分の住所氏名を記入し、封をしたら封じ目「×」を書く。

お礼状の詳しい書き方はこちら

お礼状の写真


実習が終わったら、実習先の園にお礼状で感謝の気持ちを伝えますが、どのような形式で書けばいいのか、宛名はどうすればいいのかなど、分からないことばかりで、なかなか筆が進まない人も多いのではないでしょうか。

今回は、そんなお礼状の書き方について一緒に学んでいきましょう!
実習後の「お礼状」ってどうやって書けばいいの?【実習後-Vol.1-】




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