保育の勉強会のときの雑談です〜『エデュカーレ』2025年7月号より〜#09

2025年度より、その一部をHoiClueにてご紹介しています。
今回お届けするのは、『エデュカーレ』2025年7月号より「保育の勉強会のときの雑談です」です。
『エデュカーレ』
東京大学名誉教授の汐見稔幸先生が責任編集を務める、保育者と親のための学び&交流誌。
「保育のことをもっと勉強したい!」「悩みについてみんなの意見を聞きたい!」「自分の思いを発信したい!」そんな人たちのための雑誌です。
https://ikuji-hoiku.jp/
『エデュカーレ』2025年7月号「Shiomi’s eyes「保育のスピリット」」 第26回より
保育の勉強会のときの雑談です
「この間、幼稚園の卒園児たちが小学校に来てくれたのよ。私、今、小学校の教員しているから訪ねてきてくれたのね」
「そのとき聞いてみたの。『幼稚園時代の思い出で、今も記憶に残っていることってなあに?』って。そしたらさあ、私たちがこれは大事と思って取り組んだようなことは誰も覚えていないのよ」
「覚えているのはね、『〇〇ちゃんの靴がなくなってみんなで探したら、おもちゃ入れの箱の底にあったことあったよね。あのとき不思議だねえとみんなであれこれ想像したこと、よく覚えているなあ』とか『先生が北海道旅行をしてきたことあったでしょう。その後、そのことを私たちに話してくれたときのこと、一番覚えてる!』とか、そんなことあったつけ?って、こっちが忘れてしまったことばっかりなのよ」
「私、驚いちゃった。覚えていることって、どういう内容が多いのかしらね?」
似たような経験、みなさんにもありませんか?
子どもたちが保育園や幼稚園時代のことで覚えていること、つまりあとで何度も思い出して反芻して、記憶にしっかり残っていることは、どうも、これは大事な取り組みだから、力を入れて保育しようとした事柄とはあまり関係がないようなのです。覚えているのは、我々の予想を超えて子どもたちなりに真剣に探求したことや、先生の人柄がにじんでいる言葉、先生がうれしそうに語っていた言葉だとか。
私は、これはもっと子どもに聞かねばならないな、と思いました。どうして覚えているのか、その理由です。それがもっとわかれば、子どもたちの人間形成に深く影響を与える事柄とか体験にはどういうものが多いか、示唆が得られる可能性があるからです。
保育者は、そういうデータを集めることで、研究者とは異なる方法で、子どもの研究ができるのです。しかも実際的で大事な研究です。
みなさんも保育の経験知を集めて規則性を探るような研究をしてみませんか?
文:『エデュカーレ』編集長、白梅学園大学名誉学長 汐見稔幸
もっと知りたい方へ
今回ご紹介した記事は、 『エデュカーレ』2025年7月号に掲載されています。

【特集】
「楽しまなければ」という葛藤。
「楽しむだけじゃダメ」というプレッシャー
「保育を楽しむ」を問い直す
エデュカーレ『保育のスピリット』

エデュカーレの汐見稔幸編集長の連載、「保育のスピリット」。 2025年度より、その一部をHoiClueにてご紹介しています。

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