保育の世界の「精神主義」〜『エデュカーレ』2025年5月号より〜#08

今年度より、その一部をHoiClueにてご紹介しています。
今回お届けするのは、『エデュカーレ』2025年5月号より『保育の世界の「精神主義」 ー もっと具体的な言葉で表現し直したら』です。
『エデュカーレ』
東京大学名誉教授の汐見稔幸先生が責任編集を務める、保育者と親のための学び&交流誌。
「保育のことをもっと勉強したい!」「悩みについてみんなの意見を聞きたい!」「自分の思いを発信したい!」そんな人たちのための雑誌です。
https://ikuji-hoiku.jp/
『エデュカーレ』2025年5月号「Shiomi's eyes「保育のスピリット」」 第25回より
保育の世界の精神主義 ー もっと具体的な言葉で表現し直したら
かつて、わたしは小児科医や脳科学者といっしょに乳児保育研究会を立ち上げて研究したことがあります。
そのとき、小児科医や脳科学者らが私によく言ったのは、「保育の世界って精神主義なんですね」ということでした。
精神主義?
何のことかなと思ったら、保育の世界ではよく「もっと子どもに寄り添って」とか「子どもの幸せのために」とか「ていねいな保育を」とか言うけれど、それらが具体的に何をさすのかは、必ずしもはっきりしない、ということでした。人によって受け止め方もちがう。
医学や看護学の世界では、仮に幼い子に熱があるとすると、そのときのその子の熱や心拍数、あるいは表情、その日に食べたもの、その前日の様子、親子関係などをしっかりと把握した上で、どういう病気の可能性があるのかを判断しなければならない。そのために正確な知識とか症状について厳しく学ぶことが求められる。それがベースになって医療などが行われる。
でも、保育ではそういうことよりも「もっとていねいに、もっと寄り添って」という保育者の側の気持ちや態度を強調する。わからないでもないけれども、本当にそれでいいのか。そんな気がする、ということでした。
確かに、とくに乳幼児の保育はいのちに関わるわけですから、医師や看護師が、保育士は保育士なりにしっかり学んでいるのですね、と言われる知識とかスキルが必要なのかもしれないという気がします。
でも、寄り添うとかていねいに、ということもまちがいなく大事なことと思うのです。
ですから、私は、それらをもっと具体的な言葉で表現し直したらいいのではないか、と思うのです。
たとえば「寄り添う」というのは、「子どものいのちをどの子も、わが子のように大事に扱うということ」、「子どもの幸せのために」というのは「その子の気持ちを深く理解して、その気持ちにきちんと応答すること」などのようにです。どうでしょうか。
文:『エデュカーレ』編集長、白梅学園大学名誉学長 汐見稔幸
もっと知りたい方へ
今回ご紹介した記事は、『エデュカーレ』2025年5月号に掲載されています。
【特集】
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エデュカーレ『保育のスピリット』
エデュカーレの汐見稔幸編集長の連載、「保育のスピリット」。2025年度より、その一部をHoiClueにてご紹介しています。
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