保育と遊びのプラットフォーム[ほいくる]by 小学館

暮らしの保育 異年齢保育の先に見えてきたもう一つの保育論/ほいくる編集部の本棚より

水岡香
掲載日:2026/04/17
暮らしの保育  異年齢保育の先に見えてきたもう一つの保育論/ほいくる編集部の本棚より

ほいくる編集部が保育者のみなさんにおすすめしたい一冊。
今回は『暮らしの保育 異年齢保育の先に見えてきたもう一つの保育論』をご紹介します。

学校をモデルとした年齢別保育とはひと味違う、おうち(家庭)をモデルとした1〜5歳の子どもたちが共に過ごす異年齢の暮らしの保育には、“見よう見まねで子どもが自ら育とうとする姿や、互いに助け合ったり育ち合ったりする姿”が日常の風景となってあらわれてきます。その日常のようすが園の安心感に繋がり、思ったことをありのまま表現できる場になっていきます。

さまざまな暮らしの保育の実践のようすから、子どもが安心して自分らしく過ごすためのヒントが得られそうな一冊です。

この書籍について

暮らしの保育 異年齢保育の先に見えてきたもう一つの保育論
著・編:宮里六郎
出版社:ひとなる書房



こんな人におすすめ

  • 子どもたちが安心できる場を作りたいと思っている人
  • 異年齢の中での子どもの育ちについて知りたい人
  • 子どもの自分らしさを大切にしたいと思っている人


ほいくる編集部のおすすめポイント

暮らしの風景の真ん中に台所と食卓を

暮らしの保育の書籍の中では、いろいろな小規模異年齢保育の実践のようすが書かれています。

大皿盛りー自分で決めて他者と分かち合う
“大きい子(主に4、5歳児)にお皿に取り分けたり、おつゆやごはんをよそったり、「どのくらい食べられる?」「大きいの?小さいの?」と丁寧に聞きながら量や具を調整します。
大皿盛りのよさは、一人ひとりが自分の好みやその日の気分・体調・腹具合に合わせて自分で量を決めて食べることができることです…
…「大皿盛り」は毎日が「ミニバイキング」のようなものかもしれません。”
(Ⅰ「暮らしの保育」の風景より)

食べることは生きること。体を作る大切なことだからこそ、大人はバランスよく食べることにこだわってしまうのかもしれません。でも大切なことだからこそ、子どもたち自身が何をどれくらい食べられそうか、自分の体と心の声と相談しながら決めていき、その選択の過程に、いろいろな年齢の子が交わり合うことで、食の好みの広がりや喜びに出会うことができるのだろうと思いました。

「子どもはいつも手持ちの精一杯の力で生きている」という考えを根底に

保育の中で重視されがちな「年齢別発達論」。でも異年齢保育では年齢幅の広い子たちが混じり、出来事が複雑に絡み合い育っていく。そのため年齢別の育ちではなく、まず“子どもはいつも手持ちの精一杯の力で生きている”という考えを根底に置き、そこに広がるさまざまな人間模様から育ちを考えていくことの大切さを、この書籍から感じられるかもしれません。

“子どものことをわかろうと思ったら子どもに聞いてみること。子どもをまるごと(すべて)わからなくてもいいのです。…
子どものことをもっと知りたければ、素直に子どもに教えてもらえばいいのです。
子どもを「ちょっと知っている」ためには「気にかける」ことです。子どもを「わかる」ことは簡単ではありませんが、いつも「気にかけておく」ことはできます。…”
(終章「暮らしの保育」_まとめ検討課題)

子どもたちは手持ちの力で精一杯生きて、暮らしながら互いに絡み合い、影響を受け合って育っている。そのことを大切に思いながら、分からないことは子どもに聞いてみよう——そんなふうに、肩の力を少し抜くことができるような気づきを得ました。

自然体の子どもの暮らしとつながる地域

この本では、さまざまな異年齢保育の実践に加え、過疎地域での子どもたちの暮らしやそこに暮らす人々の営みについても触れられています。

その中には、近所のおじいちゃんおばあちゃんの家が子どもたちの散歩コースや休憩場所となっていたり、保育園が主催して月一で地域の方を招くレストランが開催されたりしているようすが描かれています。

暮らしの保育の中で生活する子どもと、地域の人たちとのふれあいのようすを思い浮かべると、なんだか懐かしくあたたかな気持ちになり、暮らしの保育を大切にするとは、地域の人々の暮らしも大切に思うことにもつながってくることを考えさせられます。
この本を読み進めていくうちに、自分の目の前にいる子どもたちとのあたりまえの毎日の中に、育ちにまつわるたくさんの大切なことを見つけることができそうです。


出版社からの内容紹介

「学校」モデルの年齢別保育とは違う、1歳~5歳の異年齢保育に取り組むと、保育の風景が一変します。見よう見まねで子どもが自ら育とうとする姿や、互いに助け合い育ち合う姿が、あたりまえになります。保育者の子どもを捉える視点や振る舞いも、大きく変わっていきます。何より、園に安心感が満ち、誰にとっても居心地のよい場になります。そこに生まれた保育を、私たちは「暮らしの保育」と名付けました。

・保育通信2025年2月号に書評掲載(執筆:諏訪保育園園長・島本一男)。くわしくはこちら!
・著者を交えたちいさな読書会の様子はこちら。
・2025年5月から2026年3月までオンライン読書会毎月開催!くわしくはこちら。

書籍名:暮らしの保育 異年齢保育の先に見えてきたもう一つの保育論
著・編:宮里六郎
出版社:ひとなる書房
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