保育と遊びのプラットフォーム[ほいくる]by 小学館

『お茶の水女子大学こども園の春・夏・秋・冬』/ほいくる編集部の本棚より

水岡香
掲載日:2025/10/17
『お茶の水女子大学こども園の春・夏・秋・冬』/ほいくる編集部の本棚より

ほいくる編集部が保育者のみなさんにおすすめしたい一冊。
今回は『お茶の水女子大学こども園の春・夏・秋・冬』をご紹介します。

はじめましての春から、ぐっと成長を感じる冬まで、一日一日を子どもたちと楽しみたいと思えるきっかけとなる子どもの姿や、エピソードがたくさん詰まった一冊です。

この書籍について

書籍タイトル お茶の水女子大学こども園の春・夏・秋・冬 子どもも大人もワクワクする保育の提案
監修:宮里暁美 /レポート:文京区立お茶の水女子大学こども園職員
出版社:小学館


こんな人におすすめ

  • 子どもたちの姿や、子どもたちの声を大切にしながら活動の幅を広げていきたいと思っている人。
  • 子どもも大人も楽しめる保育についてじっくり考えたい人。


ほいくる編集部のおすすめポイント

写真とエピソードで紡がれた、子どもたちの暮らしと成長のようす

この書籍では、お茶の水女子大学こども園で過ごす、子どもたちの一年の日々の姿を見ることができます。

そこには、あそびや活動にどんなプロセスがあるか、どんな楽しさを子どもたちが経験したのかがよく伝わってくるエピソードがたくさん収められています。
また、子どもたちの小さな心の動きも丁寧に記録され、子どもたちのそばにいる保育者が、小さな子どもたちの発見や、そこから広がる心の動きをどれほど大切にしているかが伝わってきます。



本から溢れ出すたくさんの子どもたちの声

本の中の写真やエピソードには、数え切れないほどの子どもたちの言葉が載せられています。3、4、5歳の子どもたちの豊かなイメージや、止まらない「不思議」への発見の様子が生き生きと伝わってきます。
また、0歳の子どもたちの楽しさから溢れる「あーあーうーう」という声や、1歳の子どもの「もう一回」という一言に込められた、まだ言葉では表現しきれない心の動きを、保育者が丁寧に受け止めている温かさも感じられます。 

子どもも大人もワクワクする保育について考えるヒントがたくさん載っている 

書籍の最後部分で、監修をされた宮里先生と西隆太朗先生(お茶の水女子大学教授)の対談の中で、こども園の職員の皆さんがどんな風に子どもたちの姿を捉えているのか、少し垣間見ることができる、言葉がありました。

“園内研ではみんなが1〜2枚ずつ写真を持ち寄るんだけど、これが結構ツボなんだと思うんです。子どもの姿にまなざしを向け始めると、「そんな子どもの姿があったんだね」「目の付けどころがおもしろいね」って感じになって...そこを見つけようとする意識とか動きとか、気づきとか、そして語り合うこととか。その一連の行為にすごく大事な意味があると思うんですよね。”ー 宮里暁美

また、宮里先生が子どもたちが遊んだ後の2枚の写真について光をあて、"子どもが遊んだ後を見ながら、そこで何が行われたかを想像することは、とても楽しいことです"とお話しされていて、子どものそばにいるからこその豊かさや保育の魅力とは…?と少し立ち止まれる機会になるかもしれません。(保育の経験がある方なら、きっとその2枚の写真を見て、いろいろな子どもの姿を想像して楽しくなるのではと思います。)

この書籍の中の写真とエピソード、宮里先生の言葉から、「子どものワクワク」と「大人のワクワク」の両方を感じることができ、今一緒に過ごしている子どもたちの心の動きや保育について、一層大切にしていきたいと考える機会になりそうです。

子どもたちの言葉にならない言葉や、見えるか見えないかの成長の瞬間をキャッチして、一緒に心を寄せたり見守ったりすることの大切さを改めて感じられる一冊です。読み進めるうちに心がほぐされ、多くのことを学べるのではと思います。

(HoiClue編集部 ミズオカ)




出版社からの内容紹介

注目園の保育実践例を「見る」「読む」
お茶大こども園の現場の保育者が自分で撮った写真(計約400点)とエピソードで日々の保育をレポートしています。0歳児から5歳児クラスの子どもの思い・成長、保育者の子どもへの思い、かかわりなどが伝わってくる1冊。
四季ごとの自然との触れ合い、日常の遊び、保育環境の設定、行事の進め方などまねしたくなる実践例が盛りだくさんです。
ぜひ、お茶大こども園の子ども、保育者の様子を「見て」「読んで」いただきたいです。
監修の宮里暁美先生(お茶大こども園前園長、現運営アドバイザー)からのメッセージをご紹介します。
「保育する日々の中に大事な意味があります。それを、保育する自分自身が自覚すること。それにより、保育は、さらに輝きを増していきます。子どもたちと保育者たちの声がたくさん聞こえてくるように思うこの本が、そのような動きのきっかけになることを願ってやみません」(本書「はじめに」より)
巻末の宮里先生と西隆太朗先生(お茶の水女子大学教授)の対談「子どもの姿に気づき合えると保育はもっとおもしろい!」は、おふたりの保育についての思いがあふれていて、見逃せません。

 
編集者からのおすすめ情報

本書の中で、西隆太朗先生が次のようにおっしゃっています。
「この本の全体から、お茶大こども園がどんな場所なのか、それからその楽しい雰囲気が伝わってくるようです。私は読んでみて、こども園では特に、子どもたちの『発見』を大事にしているんだなと改めて感じました。
子どもたちはいつも何かを発見しているし、新鮮な感動を分かち合ってくれます。0歳児から5歳児クラスまで、その春夏秋冬を通して、先生方が日々子どもたちの発見を大事にして、心に留めてきた――その積み重ねが、この本なんですね」(巻末の宮里先生との対談より)
子どもたちのどんな「発見」があったのか、それを目の当たりにした保育者の感動とあわせてぜひご一読ください。

書籍名:お茶の水女子大学こども園の春・夏・秋・冬 子どもも大人もワクワクする保育の提案
監修:宮里暁美 / レポート:文京区立お茶の水女子大学こども園職員
出版社:小学館
判型/頁:A5判/176頁

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