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自由に工作しよう!〜1年間の製作のまなびを総まとめ!〜

田中 令
掲載日:2024/03/07
自由に工作しよう!〜1年間の製作のまなびを総まとめ!〜
こちらの連載も、いよいよ今年度最終回となりました。
今回は1年間のまとめをかねて、「自由工作」のポイントをご紹介します!
「自由工作」とはその名の通り、何をつくるか、どのようにつくるかはこどもたちの自由。
こどもたちに委ねてみると、一人一人の驚くような個性や成長に出会うことができますよ。

おすすめの材料や道具

資材

・紙(折り紙、コピー用紙、裏紙、再生紙、画用紙など)
・紐(糸、ビニール紐、麻紐、毛糸など)
・ストロー
・段ボール
※たくさんご用意ください。


描画材

・個人がもっているマーカーや鉛筆
・色鉛筆など…人数分用意できないものは、2、3人で共用できる数

使うもの

・はさみ…人数分用意できないものは、2、3人で共用できる数
・セロハンテープ…人数分用意できないものは、2、3人で共用できる数
・両面テープ…人数分用意できないものは、2、3人で共用できる数
・グルーガン…1つ
・ボンド…おとなの人数分

他に足してもいいですし、ないものがあっても大丈夫です。
また、1年間の製作あそびで、こどもたちが扱ったことのある画材を出してあげるのもおすすめです。

準備

・こどもたちがおもいっきり工作できるよう、机や椅子ではなく床で作業するのがおすすめです。必要に応じて、机を並べるなどして制作スペースを仕切ったり、シートを敷いておきましょう。

・みんなで共用するものを置く、資材コーナー、道具コーナーを作ります(バイキング形式)。これは机の上がおすすめです。細かいものは、トレイなどの上に出すと片付ける時にスムーズです。

・ダンボールは、大きいものがあってもよいですが、ハガキ〜A4サイズくらいにカットしておくと、こどもたちが使いやすいです。

・グルーガンを使用する場合は、電源付近に専用コーナーをつくり、担当するおとなを配置するなどして見守るようにします。そのほか、こどもたちに任せるのが不安な道具は、グルーガン同様に専用コーナーをつくることをおすすめします。

・ボンドをこどもに任せるのが不安な場合は、見守るおとなが1人1つ持ち歩き、使いたい子に必要量を出してあげるのがおすすめです。

制作スペースのつくりかた例



あそびかた

1.  導入
今日は、自分の好きなものを作ろう!と伝えます。
その上で、守ってほしいルールを明確に伝えましょう。

【ルールの例】

・制作スペースでは走らない。
・みんなで使う道具は、声をかけあい貸し合おう。
・時間は守ろう。(◯◯時になったら片付ける等)
・人の制作の邪魔をしない。
・出来上がった作品は◆◆に置く。
・完成した人は、△△する。(部屋を移動、読書、などなど)
・グルーガンを使用する場合は、専用コーナーで必ずおとなに声をかける。
・ボンドを使いたい人は、おとなを呼ぶ。
など。

2.  技法を共有
・紙をやぶいて形をつくる方法
やぶいて見立てる「なんのかたち?」〜かたちあそび〜の記事はこちら

・ストローの立て方
つなげて通して作る世界〜ストロー工作〜の記事はこちら

・両面テープの使い方
など、基本的な材料の使い方を伝えます。

3.  使いたい材料をバイキング
共用コーナーに数名ずつ、使いたい材料をとりにいきます。
好きなものを選べるというだけで、わくわくしちゃいます◎

4.  いざ制作!
選んだ材料を使って、好きなものを作ってみよう!
自分の好きな生き物や、場所、構造物ができあがっていきます。
やっぱり必要ないな、と思ったものは共用コーナーに戻し、足りないものはまた取りにいきましょう。

5.  片づけ
自由な制作は、部屋中が散乱します。
制作が終わったら、ゴミはゴミ箱へ、道具は道具コーナーへ、作品は作品置き場へ、などそれぞれ片付けることができるように声をかけます。

見守りのポイント

①活動に積極的なこどもたちの邪魔はしない。

②はさみの扱いなど、心配な子だけをサポートする。

③消極的な子には、提案をする、途中で鑑賞をはさむ、先生と一緒につくる、などがおすすめです。
他の子の制作を観察するだけでも十分な学びの機会になりますので、その子の活動への関わりをおおらかに見守ってあげましょう。

④テーマの設定は、アイディアがなかなか出ない場合に設定してあげると効果的です。
「のりもの」「うみ」「うちゅう」「いきもの」など、抽象的なテーマにすると、個性が広がります。


年齢に応じた活動のデザイン

ここで紹介するのは、主に年度後半の年中さん、年長さんを想定しています。
年度前半の年中さんや年少さんには…
①机の上で、4人程度ずつ座って作業する。
②ハガキサイズ位のダンボールを1人一枚渡し、紙やストローなど好きなものを切って貼る。
(机ごとに、紙に出したボンドを配り、それでくっつける)など。
※この活動を経て、一年後に自由工作を行うと、体感的理解も進みます◎

いろいろあそびかたプラス

その1:みんなで作品を鑑賞しよう

できあがった作品を並べて、みんなで見てみよう!
真似したくなるような技や、おもしろいテーマが見つかるかも◎

その2:できあがった作品を合体してみよう!

個人で制作した作品を、みんなで合体してみるのもおもしろい!
いきものが動物園になったり、のりものが街になったりするかもしれません。
さらに、思いついた登場人物を作り足しても面白いですね。


その3:色付きダンボールを用意

事前に絵の具で色を塗った、ダンボールもおすすめです。
色から着想する子がいたり、はっきりした色味が入ることで作品の世界が立ち上がります。

***

こどもたちは、五感への刺激と自在性があるものに触れているうちに、イメージが生まれ、見立てが始まって、泥遊びやごっこ遊びが始まります。
この遊びという名のクリエイションは、観察力や想像力、工夫する力を自然とのばし、表現することはメンタルヘルスの向上にもつながります。
そこには、正解も不正解も、うまいもへたもありません。おとなの導きがなくても、こどもたちが主体的に探求できる活動です。

お絵描きや工作などの創作活動も、本来この泥遊びのような活動だと私は考えています。頭と体、そして感性は、使うことでどんどん豊かに発達していくもの。だからこそ、こどもたちの創造活動が非日常的なものではなく、日常の中に自然にあるものになったらいいなと思います。

こどもの創作活動となると、おとなはついつい細かな段取りや作品の出来栄えに意識がいきがちです。でも、目の前に現れる作品(結果)だけでなく、まずはこどもの内側に生まれる機微(プロセス)を感じてみてください。そして、泥遊びやごっこ遊び同様、創作活動そのものを一緒に面白がれたら、最高です◎

1年間お読みいただき、本当にありがとうございました。