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【書籍紹介】「遊び」の本質(ちいさい・おおきい・よわい・つよい)

雨宮みなみ
掲載日:2024/07/22
【書籍紹介】「遊び」の本質(ちいさい・おおきい・よわい・つよい)

ほいくる編集部が保育者のみなさんにおすすめしたい一冊。
今回は『「遊び」の本質(ちいさい・おおきい・よわい・つよい)』をご紹介します。

“いま、こどもに「遊び」が必要な理由”からはじまり、「遊び」ってなんだろう?育ちにどう影響するんだろう?、それらを踏まえて「遊び」の環境をどうつくっていけばいいんだろう?ということを考えていくための学びやヒントがぎゅっと詰まっている書籍です。

この書籍について

『「遊び」の本質(ちいさい・おおきい・よわい・つよい)』

著:天野秀昭
出版社:ジャパンマシニスト社


こんな人におすすめ

  • 子どもの遊び、子どもが育つ環境に興味がある方
  • 子どもに関わる(子どもに関わらなくても)すべての大人 

ほいくる編集部のおすすめポイント

遊びにまつわる自分の思考に向き合うきっかけを与えてくれる

書籍を通して、ふと問われるような、遊びにまつわる自分の思考に向き合うような場面がいくつか登場します。
例えば、1章『「遊び」って、なんだろう?』では、こんな質問が出てきます。

簡単な質問をひとつします。「鬼ごっこ」は、「遊び」でしょうか?そう聞かれたら、ほとんどの人は手を挙げると思います。
では、ここに一人のこどもがいると仮定します。この子は、いま一人でいたい気分です。絵を描くとか、本を読むとか、そういうことをして静かに過ごしたいと思っています。
でも、その子はそばにいる大人にこういわれます。「みんなでやることに意味があるから、いまから30分、鬼ごっこをやりなさい」。大人は、「みんなと遊ぶことができるこども」が大好きです。そのためにいっしょに遊ばせようとします。
そのときにする「鬼ごっこ」は、その子にとって「遊び」になるでしょうか?

こう聞くと手を挙げる人はほぼいないそうですが、ではその違いは何なのか…、書籍に続きが綴られています。

子どもにとっての「遊び」そのものについて、携わる自分の役割や在り方について、ハッと気付かされたりドキッとしたり、うーんと唸ったり、なるほど!と腑に落ちたり、頭だけでなく心を通して得られる学びがありそうです。

多角的に捉えることができる

大人の価値観、社会✕こども✕子育ての関係、脳・体との関係、人と自然との関係、生涯を見据えて、など、さまざまな面から「遊び」を捉え考えられる内容になっていることで、俯瞰しつつ立体的に理解を深めることができます。

読みやすく、わかりやすい

ところどころで子どもの姿が出てくるので、身近な子どもの姿を思い浮かべたり、これまで出会った子どもたちや自分の幼少期を思い出したりと、綴られている内容と実体験を紐づけ、身近なこととして捉えやすいように感じます。

細かく見出しがついているのも、この書籍の特徴の一つ。わかりやすく、思考を整理しながら読み進めることができます。
(移動中、休憩中、就寝前…少しずつ読み進めるにももってこいの一冊なのでは、と思います!)

出版社からの内容紹介

「遊び」が大切。
こどもと遊びは、食べること、眠ること、と同じくらい、時にはそれ以上に大切なこと。欠かせないこと。自然なこと。それが、守られなくなって、ずいぶん長い間「問題だ」といわれるままになっていました。

筆者の天野秀昭さんは、日本初の「冒険遊び場」(東京都世田谷区羽根木)の開設に関わり「プレーリーダー」として、こどもたちの遊びの現場に居続けた人。近年いよいよ「遊びこそすべての問題を解決する希望」とあちこちから声があがり、あらためて「遊び」が注目されています。

近年、脳の発育にとっても、土や水や火や自然に助けられる自然な遊びが重要と言われています。それは、天野さんの経験や実感とも結びつき、外遊びの経験のない人にも伝わり、親もこどもと共に遊び直すことで緩やかに成長していく姿を目の当たりにしたのです。

すでに、祖父母世代でさえ遊びを知らない。でも、命を人間の魂を育むその行為を環境を守りたい。筆者・天野秀昭さんの熱い熱い思いが多くの人に届くよう、編集・製作スタッフも力を込めたおススメの132号です。

書籍名:「遊び」の本質 (ちいさい・おおきい・よわい・つよい No.132)
著:天野秀昭
出版社:ジャパンマシニスト社
判型/頁:四六判/192頁

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