まざる色、うつる色〜ちいさなえのぐあそび〜
おとなにとっては、道具が多く準備や片付けが大変で、ちょっと気合いが必要な画材ですよね。
そんなえのぐの汚れを最小限におさえつつ、色の混ざりを楽しめる、なんと洗い物もナシ!の、ちいさなえのぐ遊びをご紹介します。
材料
・ハガキサイズの白画用紙(1人3枚くらい)
・ラップ
・マスキングテープ
使うもの
・えのぐ(水彩、アクリルなど)
・雑巾や濡れティッシュ(各テーブルに置いておくと便利です。)
・きりふき(いろいろあそびかたプラス!で登場するので、後出ししましょう。)
えのぐの種類について
一般的な児童用水彩えのぐは、濡れ雑巾やタオルで拭き取れます。
アクリルえのぐは彩度が高く、色彩を楽しむのにおすすめですが、乾くと落ちません。
最近は落ちやすいえのぐが、たくさん販売されているので調べてみてくださいね。
準備
・ビニールのシートで机を養生しておく。新聞紙の養生は、マスキングテープを剥がしにくいので、ビニールのシートがおすすめです。
・3、4人程度のグループごとに、机で行うのがおすすめです。
・画用紙の裏面に、こどもの名前を書いておきます。
・えのぐは各机においておくか、保育士さんが持ってテーブルを回ります。こどもたち自身で、チューブから適量のえのぐを出すのは難しいので「えのぐを出すのは保育士さん」とルールを決めましょう。
あそびかた
1. こどもたちの目の前に、A4サイズ程度のラップを広げ、上2箇所をマスキングテープで留めます。
(写真では構図の都合上、ラップを小さめにしています。)
2. ラップの中央に、えのぐ(5mmくらいの大きさ)をチューブから直接出します。
その近くにさらに2色、合計3色出します。
余裕があれば、こどもたちに色を選ばせてあげてください。
難しい場合は、赤、黄、青、白(原色)から3つ選ぶのがおすすめです。
3. 出したえのぐを挟むように、下端を上端に合わせてラップを二つ折りにします。
4. ラップごしに、えのぐを指でふにふに!
だんだんと色が混ざっていきます。
この時、あまり強く触るとラップが破れてしまうので、「優しくさわってみよう!」と声がけしてくださいね。
5. 折り曲げていたラップをひらき、えのぐの上にハガキサイズの画用紙を載せます。
そしてアイロンをかけるように、上から手で押したりさすったりします。
6. 画用紙をはずすと...
不思議な絵のできあがり!
物干しや洗濯ばさみなどで、1日しっかり乾かしてください。
いろいろあそびかたプラス!
その1:ラップはそのまま、新しい色を加えてみよう!
最初に選ばなかった色を、広げたラップにさらに加え、同じ工程をやってみよう!
1枚目の進化版ができるかも!?
その2:ラップを交換して、お水をかけてみよう!
新しいラップに交換し、工程2でえのぐを出したら最後に霧吹きを1プッシュ!
工程3で、えのぐとお水が混ざりあい、さらに新しい色が生まれます。
その3:みんなの色とかたち、見せ合いっこしよう!
できあがった絵を、壁にならべて見せ合いっこしてみよう。
同じ色のえのぐでも、混じりかたやかたち、生まれた色もちがうかも!?
抽象的な形を、「何に見える?」と意見交換してもいいね。
その4:できあがった絵で、さらに工作!
不思議な絵がたくさんできあがったら、乾燥後にハサミでちょきちょき。
それを、新しい画用紙にノリで貼り、切り絵に使ってみよう!
色を切り取ることで、新しい発見があるかもしれません。
具体的な何かを作ってもいいし、思うままはさみを動かして生まれたかたちを楽しむこともできます。
片付け
手に絵の具がついてしまった子は、濡れ雑巾で一度拭いたあと、お湯で洗うとするりと落ちます。ラップはえのぐがついた面を内側にくるみ、ポイ!
シートは濡れ雑巾で拭きます。
***
これまでご紹介してきた「かたち」の世界に、いよいよ「いろ」の登場です。
えのぐは、その自在性から、こどもたちが大好きな画材です。
一方で、おとなの準備や片付けが大変な上、どこまでもダイナミックになるこどもたちを一体どこまで制御したら...と、なかなか難しい画材でもあります。
そんな中、考えたのがこちらのあそび。
「デカルコマニー」と「モノタイプ」という、転写を扱う二つの絵画技法を組み合わせました。
こどもたちがえのぐを直接触ることなく、色の混ざりを楽しめます。えのぐの色はもちろん、ラップに置く位置、ふにふにする力加減、お水加減...いろいろな偶然が重なって、本当にさまざまなバリエーションの作品が生まれます。
技術も要らず、偶然できあがる形や色を楽しめるので、おとなも一緒にやってみてくださいね◎
また、モノタイプという技法は、スイミーでおなじみのレオ=レオーニさんが好んだ技法。
えのぐで描いた絵を切り貼りするのは、みんなが大好きな「はらぺこあおむし」の作者エリック=カールさんの得意技です。
この活動後、絵本を読み聞かせながら「どんなふうに描いたんだろう?」と、こどもたちと想いを馳せてみてくださいね。