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「人が考え、人がつくる」ほいくる編集部がプレーパークから学んだこと

三輪ひかり
掲載日:2022/10/28
「人が考え、人がつくる」ほいくる編集部がプレーパークから学んだこと

まだ夏の暑さが残る9月中旬。

ほいくる編集部のメンバーで渋谷区にある「渋谷はるのおがわプレーパーク(通称:はるプレ) 」におじゃましてきました。
前編)プレーパークってどんなところ?-フィールドワーク in プレーパーク


はるプレ創立メンバー・小水さんのお話

はるプレは今年で創設18年。

学校週五日制がスタートし子どもたちの生活が大きく変化したことで、社会全体が子育て支援に力を入れ始めた2000年はじめに、小水さんたち地域の大人の「家庭でも学校でもないところに、子どもたちの居場所をつくりたい」「子どもが冒険やチャレンジができる場所を増やしたい」という想いがきっかけとなり、渋谷区の子どもの居場所づくりは始まったといいます。

最初は月に一度、みんなでおやつをつくるイベントからはじまった活動は少しずつ規模や想いを拡大させ、2003年に「せせらぎ冒険遊び場」、2004年に「渋谷はるのおがわプレーパーク」が開設。

ただし、最初からうまくいったわけではありません。はるプレはビルが立ち並び大きな道路が脇を走る都心の街なかにある公園を利用して作られました。はるプレのある地域は、目の前に代々木公園、お隣には児童遊園地、ちょっと先にはポニー公園があり、子どもたちが遊ぶ場所の選択肢があるのは大歓迎!と思いきや、開設当初は「子どもの声がうるさい」「泥で道が汚れる」などの反対や苦情の声も多かったのだそう。

しかし小水さんたちが地域住民とのコミュニケーションを諦めずに続けたことにより、『私たちの子どもたち』として今では一緒に子どもたちを見守り、はるプレの維持のために力を貸してくれる方が増えました。

今年は渋谷区恵比寿に「えびすどろんこ山プレーパーク」が新しく開園し、都心でも子どもたちが自然の中でたっぷりと遊べる環境づくりが続けられています。


はるプレ創立メンバーの小水さん。はるプレの歴史や想いについてお話してくれました。

自由にのびのびと遊ぶ子どもの姿や、そこにほどよい距離感で関わる大人。一人ひとりが自分らしくそこにいることができるプレーパークの軸にあるのは、「人が考え、人がつくる」という想いだと、小水さんは言います。

人がいるということは、直接コミュニケーションが取れるということ。なんでも禁止にしてしまうのではなく、「なんでダメなの?」「どうしたら実現できるかな?」「本当に大事なことはなんだろう?」と子どもも大人も自分たちで考え、対話をすることで、ルールに代わるものをつくり上げていくことができるのだと、話してくれました。


ほいくる編集部が感じた、プレーパークの素敵なところ

・外に本棚を設置する

外に本棚があるので、何か気になることがあったらすぐ調べられたり、外にいるけれどゆっくり過ごしたい子どもは木陰でゆっくりのんびり本を読むことができます。

私たちほいくる編集部が伺った日は、とんぼを捕まえた男の子が虫の図鑑を見ながら名前を調べ、また虫探しへと出かける姿がありました。


・たっぷりと使う

ウォータースライダーや泥遊びなど、水を使う遊びが見られたこの日。ウォータースライダーを滑るためだけではなく、ホースを空にむけてたっぷりの水を降らせるなど、これでもか!というくらいのいろいろな遊びで水と戯れる子どもたちの姿が。

その横で「子どもたちの豊かな育ちのために、遊びの重要な素材として、水が自由に使えるのは本当にありがたいです」とはるプレの山田さん。
たしかに、そんな子どもたちの姿に「水がもったいない」とは感じませんでした。


・場をつくる、場を開く

はるプレでは、毎週火曜日午前(*1)に小さな子ども向けの「どぅんどぅんどぅんプレーパーク」という場を開いています。異年齢で遊ぶのは楽しいし、だからこそ見られる子どもの姿もあるけれど、小さい子には小さい子なりのペースや遊びがあるといいます。お母さんと初めてはるプレを訪れたという2歳くらいの女の子。最初はしゃべるを使って泥遊びをしていましたが、遊ぶ中で少しずつ直接手で泥を触るようになっていく姿がありました。この“時間”が、この子にとっては必要だったんだろうなと感じる瞬間でした。

また、多くのプレーパークは地域に開かれているので、保育園や幼稚園、こども園のお散歩で楽しんでもらうのも大歓迎なのだそう!!この日も近所の幼稚園の年中・年長児の子どもたちが遊びにきていました。楽しそうな子どもたちの姿だけでなく、のびのびした環境の中で子どもたちを見守れるからか、先生たちの表情が柔らかかったのも印象的でした。(勤めている園の近くにプレーパークがある方は、ぜひ遊びに行ってみてくださいね!)

*1:今後曜日が変更になることもあります。詳しくははるプレのSNS等をご確認ください。


・「汚れちゃう」を気にしない

「着替えがないからどろんこや水遊びはやっちゃダメ」…いやいや、はるプレでは大丈夫!!
「おさがり服コーナー」の洋服は、誰でも使えます。遊んだ後はそのまま着て帰ってもOK!洗って返してもいいし、そのまま遊び着にしてもいい。また、次にお下がりを持ってくることで、次の遊びたい子の気持ちにつながります。大人も子どもも汚れることを気にせず遊べるのって大事!


・季節の自然がいっぱい


写真提供:渋谷はるのおがわプレーパーク

プレーパーク内にはどんぐりの木が何本もあるのですが、スダジイは、みんなの大好きな秋のおやつだと教えてもらいました。自然とどんぐりにも詳しくなりそう!


・スタッフで対話する

園のように、毎日子どもが必ず来るとは限らないプレーパーク 。初めて来る子、最近よく来る子、久しぶりに来る子…など、いろんな子どもたちを出迎えます。

だからこそ、「今日、この子はこんな姿だったね」「この遊びから、子どもたちがグッと遊びに入り込んでいったよね」など、プレーリーダー、スタッフ同士で毎日必ずふりかえりをすることを大事にしているのだそう。スタッフの一人・くはっちは「自分をふりかえること、他の人の考え方や目線から気づけることがたくさんあります」とも話してくれました。

***

ほいくる編集部では、これから、いろんなプレーパークへお伺いしたり、プレーリーダーにお話を聞いたりすることもできたらいいな…と企画中です。
またお知らせさせてください!


取材:ほいくる編集部
写真:雨宮 みなみ



この記事の連載

プレーパークってどんなところ?ーフィールドワーク in プレーパーク

プレーパークってどんなところ?ーフィールドワーク in プレーパーク

子どもと関わる仕事をしていたら、きっと一度は耳にしたことはあるだろう「プレーパーク 」という言葉。
でも「プレーパークってなに?どんな場所?」と聞かれても、実はよく知らない…という人も多いのではないでしょうか?

そこで今回、ほいくる編集部は東京都渋谷区にある「渋谷はるのおがわプレーパーク 」へおじゃまして、どんなところなのかたっぷり見て!聞いて!感じて!きました。