プレーパークってどんなところ?ーフィールドワーク in プレーパーク
子どもと関わる仕事をしていたら、きっと一度は耳にしたことはあるだろう「プレーパーク」という言葉。でも「プレーパークってなに?どんな場所?」と聞かれても、実はよく知らない…という人も多いのではないでしょうか?
そこで今回、ほいくる編集部がみなさんに代わって、東京都渋谷区にある「渋谷はるのおがわプレーパーク」へおじゃまして、どんなところなのかたっぷり見て!聞いて!感じて!きました。
プレーパークってどんなところ?
全国にあるプレーパーク(*)は、「子どもは自由に遊ぶことで自ら育つ」ことを信じ、子ども一人ひとりの「やってみたい」「挑戦したい」気持ちを大切にして活動しています。地域の人々が参加して運営されている「開かれた場」であることも特徴です。
*プレーパーク
全国にあるプレーパークのうち、346箇所のプレーパークは日本冒険遊び場づくり協会に所属しており、プレーパークではなく、「冒険遊び場」「冒険ひろば」などの名称で活動しているところもあります。
みなさんの住んでいる地域にプレーパークはあるかな?ぜひ、日本冒険遊び場づくり協会のホームページから検索してみてください!
https://bouken-asobiba.org/play/
渋谷はるのおがわプレーパークもその一つ。
「おはようございます!来てくださって嬉しいです!!」と、私たちのことも温かく出迎えてくれました。
左から、山田さん・水町さん・小水さん・さんちゃん・くはっち。みなさん笑顔が素敵!
子どもたちを迎える準備をしながら、運営スタッフの山田さんがプレーパークを案内してくれました。
HARUPURE MAP。はるプレの地図だけではなく、歴史や大事にしていることも書いてある。初めて訪れる人に配布しているそう。
1:渋谷はるのおがわプレーパークの看板
まず案内されたのは入り口にあり、来園者が必ず目にする、渋谷はるのおがわプレーパーク(通称:はるプレ)の看板。
そこにはよく見かける公園のように「禁止事項」が書いてあるのではなく、『ここは自分の責任で自由に遊ぶ公園です。子どもたちが「やってみたい!」を最大限カタチにするチャンスのある遊び場です』という文言が。
「18年前の創設メンバーが、何度も何度も話し合って決めた文言です。時代によって少しずつ変わっていますが、基本的な想いは変わっていません」と山田さん。
2:プレーリーダー
「子どもたちが自由に遊べる場」をつくるために欠かせないのが、スタッフの存在。遊び場づくりの専門職「プレーリーダー」をはじめ、事務職兼任のスタッフや地域のお母さんたちも場に立って子ども達を見守っています。
スタッフのくはっちとプレーリーダーのさんちゃん。はるプレのスタッフはそれぞれが得意・好きを活かしながら、自分らしく子どもと関わっている。
この日も、どうしたら子どもたちのやりたいを引き出せるのか、一人ひとりの今の気持ちを大事にしながら過ごせるのかを考えながら、環境をデザインしたり、絶妙な距離感で子どもたちと関わる姿がとても印象的でした。
スタッフの一人・くはっちが、「子どもとの距離感」について話してくれました。
「遊びこんでいる子には、むやみに声をかけたりはしないし、こちらから遊びに誘うようなことはしないですね。ちょっと危ないかもなーという姿があった時も、すぐには声をかけない。でも、少し距離を取りながら見ていないようでちゃんと見守るようにしてます。多分これは、どのプレーリーダーもスタッフもやってるんじゃないかな。もちろん一緒になってめちゃめちゃ遊ぶときもありますよ!なんか元気なさそうだなとか、この子は今、遊びを見つけられていないかもと思うときは、声をかけたり、私たちの仕事をちょっと手伝ってもらったりして、関わりを持つようにしています。」
「ちょっと手伝ってくれるー?」と自然に遊びをつくる一員へと子どもを誘う。
子どもと同じ目線で驚いたり、考えたり、わくわくしたり。
3:土俵
相撲をとるだけでなく、定期的に開催している「ベークギ大会(ベーゴマとクギさしの大会)」の会場にもなる。
ほいくる編集部のスタッフは知らなかったのですが、クギさしはめんこ遊びの釘バージョンのような遊びで、約15センチの太い釘(5寸釘)を地面に勢いよく投げて刺し、ほかの人が刺した釘を倒して勝負をするのだそう!
写真提供:渋谷はるのおがわプレーパーク
4:自分たちで居場所をつくる
はるプレハウス(スタッフがいる小屋)も、机も、デッキも、水道も…ぜーんぶ手作り!
自分たちでつくるのに大事な木材を入れておく倉庫。上にも乗れるし、滑り台にもなります。
「水があるともっと遊びが面白くなるよね!」と、自分たちで水道まで作ります!
開園当初、たまたまプレーパークの近くを通った棟梁が気にかけてくれるようになり、ウッドデッキもプレーリーダーと一緒に作ってくれたのだそう。このデッキで子どもを連れて来たお母さんお父さんがちょっと一息ついたり、赤ちゃんを寝かせてのんびりしたり、おしゃべりをして仲良くなったりするのだとか。
5:たらい舟
近所の魚屋さんからもらったたらい舟を遊具として活用。新潟県の佐渡で海女さんが実際に使っていたのだそう。
はるプレでは、夏はプール、秋は落ち葉プールとして大人気です。
6:手作りの遊具
日々、子どもたち、プレーリーダーの手で、いろんな遊び、遊具が誕生します。
「ウォータースライダー」常連の子は、勢いよく滑るコツも知っています。
「ころころくん」。どんぐりでも、ミニカーでも、水でも、好きなものをなんでも転がしたり走らせたりしてみよう!
「の基地」。この基地以外にも、いくつか基地があり、現在進行形で作っているものも。
7:木工コーナー
のこぎり、とんかちを自由につかえる木工コーナー。
落ちた釘などでほかで遊んでいる子どもが怪我をしないように、一段高い場所に独立した形で設置されています。
編集部竹原も挑戦!奥にある「こどもそうこ」には、子どもたちが自由に使える木材が入っています。
利用中の道具を把握しやすい「こうぐのおへや」。
8:いつでも泥遊び
少しでこぼこしている土の地面。水たまりでは、自然とどろんこ遊びが始まります。
この日も可愛い作品が…!
つい立てで簡単に「着替えコーナー」がつくれる。これは園でも真似できそう!
案内の最後に山田さんがお話してくれたことが、とても印象に残っています。
「一人ひとりのやりたいを大事にしている場所なので、最初は「あれやっていい?」「これしてもいいの?」と大人に聞いてくる子どもたちに、同じ目線で「何をやってみたい?」「好きなことをやっていいんだよ!」と声をかけると目をキラキラさせて何があるか探しに行きます。そして自分の気持ちの赴くまま夢中で遊び始めます。
子どもの発想力ってすごいですよね!」
やりたいことをしていい場所だから、何を選んで遊ぶかはその子次第。その選択をより自分らしいものにしてくれる力がプレーパークにはあるんだなということを感じました。
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次の記事では、ここでは載せきれなかったプレーパークのお話と編集部スタッフの心に残ったことをお届けします!
取材:ほいくる編集部
写真:雨宮 みなみ
この記事の連載
「人が考え、人がつくる」ほいくる編集部がプレーパークから学んだこと
ほいくる編集部のメンバーで渋谷区にある「渋谷はるのおがわプレーパーク(通称:はるプレ) 」におじゃましてきました。