すべての問題に「10の姿」の解説がついている、幼児ドリル「まなぼうワークブック」とは?
保育園や幼稚園での使い勝手を追求して作られた幼児ドリル「まなぼうワークブック」(3・4歳/4・5歳/5・6歳)には、2018年に改定された保育所保育指針や幼稚園教育要領などに示された「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」(10の姿)に照らした解説が、すべてのページに掲載されているので、指導計画・保育記録の作成にも役立ちます。
実際にどのように園で取り入れられているのか、このワークブックを導入している2つの園を紹介します。
「まなぼうワークブック 5・6歳」
5歳児クラスの楽しい遊びのひとつ! ~あきつやまゆり保育園
0~4歳児がお昼寝をしている時間は、5歳児にとっては「おべんきょう」の時間です。
みんなで取り組んでいるのは「いくつといくつで4になる?」のページ。4匹のメダカがいる水槽で、見えているメダカが1匹なら、水草の影に隠れているのは何匹かを考えます。「10の姿」のうち、「思考力の芽生え」「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」を養います。
1匹を残して残りのメダカを手で隠したり、手をどかしたりしながら考えています。
答えが書けたら先生のところに持っていって見てもらいます。先生は答えに応じて「よくできたね!」とスタンプを押したり、子どもがどんなふうに考えたのかを聞いてヒントを伝えたりしていました。子どもにとっては、先生が自分だけに向き合ってくれる時間です。
列に並んでいる間にも考えたり、友達同士話し合ったり、真剣な表情。間違いに気づいて、席に戻って書き直す姿も見られました。
次は「おてつだいについてはなそう」のページ。「10の姿」の「言葉による伝え合い」「社会生活との関わり」につながるワークです。
先生がみんなに、自分がしたことのあるお手伝いを尋ねました。
「洗濯物を一人で全部たたんだことがある」
「みんな洋服たたむの、上手だものね」
「肩たたき!」
「だれの肩たたきをしたの?」
「ママの肩たたき」
「みんな、お母さんやお父さんを大事にしているから、お手伝いをするんだね。じゃあ『こんなお手伝いはしたことがないから、してみたいな』というのを教えて」
先生からの問いかけに、次々に手が上がりました。
現場の先生たちの声
「勉強は『させられるもの』という雰囲気は作らないように、担任の先生には『子どもと一緒に楽しんでね』と最初に言いました」
と園長の神山さん。子どもたちからは「おべんきょうしたい!」という声がよく聞かれるそうです。
「まなぼうワークブック」を導入する前は、子どもの様子を見てその都度オリジナルのなぞりがきプリントを作ったり、家庭用ドリルをダウンロードしたりしていたという5歳児担任の太齊さんからは
「発達や興味関心に合った素材が一年分、すべて揃っているので、教材準備の手間が大幅に軽減されました!」
という声が聞かれました。
取材協力/社会福祉法人栄光会 あきつやまゆり保育園(埼玉県所沢市) 神山幸恵さん(園長)、太齊 志さん
年少・年中から意識して反復し、積み上げていく「10の姿」~なかよしこども園
次はなかよしこども園でひらがな学習に取り組む年中児クラスの様子をリポートします。今回取り組むのは「ひらがなをなぞろう」。
字形が似ている「ち」と「ら」を見比べ、それぞれなぞり書きに挑戦します。「10の姿」のうち「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」と「自立心」につながるワークです。
「まなぼうワークブック」に「くち」「そら」など、該当のひらがなを含む言葉が掲載されていますが、「らいおんの“ら”だよ!」の声が上がると、触発された子どもたちが思いついた言葉を口にします。「ちぎらけいちゃんの、『ち』と『ら』だ!」と、友達の名前を言う子、保育室の壁の掲示物から該当の文字を見つけた子もいました。
読み方がわかったら、手でなぞりながら書き順を確認します。
最後に鉛筆を持って、なぞり書きです。鉛筆を使うワークは、鉛筆の持ち方や姿勢にも気をつけます。
なかよしこども園では年少から「まなぼうワークブック」に取り組んでいます。
「『10の姿』は年長で急に育つのではなく、年少のうちから意識して積み上げていくことが大事だと思っています。年齡にあった興味を育て、ひとつの題材を反復していくことで小学校へとつながっていきます」
と年少児担任の本郷さん。小さいうちは個人差が大きいので、一斉活動ではなく自由遊びの中で、子ども一人一人の興味や意欲に応じて「まなぼうワークブック」を取り入れているのだそうです。
主体性重視の保育を支える、全員共通の学習素材
この園では、子どもの主体性をより重視する保育環境や活動へと見直しを図る中で、2020年からこのワークブックを導入したのだそうです。
「主体性を尊重する保育では、子どもの興味や先生の得意からスタートする活動が多いのですが、偏りが生じてしまわないか心配もありました。でも「まなぼうワークブック」を開けば文字や数はもちろん、自然分野や生活のマナーなど、保育のあらゆる分野が網羅されていて、さまざまな活動のきっかけになります。」
と主幹の杉山さんが話してくれました。
「まなぼうワークブック」の巻末には「はぐくみたい10の姿チェック表」があります。
「はぐくみたい10の姿チェック表」の例
「まなぼうワークブック」を通して、それぞれの項目別にどのくらい取り組んできたのかが個人ごとに一覧できます。それを元に、「○○くんには、『10の姿』の△△の力を育てたい」というような話し合いの場にも活用しているそうです。他にも、保護者面談や、指導計画・要録作成にチェック表を活用しているという声が聞かれました。
取材協力/社会福祉法人 光輪会 なかよしこども園&第二なかよしこども園(埼玉県所沢市) 喜多濃定人さん(総園長)、喜多濃恵美子さん(園長)、森下有紀さん(副園長)、山本亜以梨さん、杉山捺美さん、本郷沙紀さん
文/佐藤暢子 撮影/丸橋ユキ
好評発売中! 知育ドリル まなびWith BOOKSシリーズ
まなぼうワークブックシリーズ
「まなぼうワークブック 5・6歳」
「まなぼうワークブック 4・5歳」
「まなぼうワークブック 3・4歳」
「まなぼうワークブック5・6歳」
「まなぼうワークブック4・5歳」
「まなぼうワークブック3・4歳」
幼児期の終わりまでに育ってほしい姿をめざしてお子さんを見守り、はぐくむワークブックとして販売中。園長先生・経験豊かな保育者のアイデアがギッシリで、春夏秋冬、1年を通してバランスよく学べるのが「まなぼうワークブック」の特長です。
著・監修者のことば
家庭で、園で、小学校入学までに求められる力がいつのまにか身についていく!
2018年4月に施行された法令により、小学校就学を見据えた幼児教育における共通の方向性10項目が初めて示されました。「まなぼうワークブック」には、すべての問題にその10項目のどれがあてはまるのか、どんな子どもの姿を期待しているのかが具体的に書かれています。
園でこのワークを使っていただければ、お子さんたちの資質・能力を伸ばすことにつながり、保育者の方にとっては保育記録・要録の作成を含めた就学支援の力強いサポートになります。
家庭でこのワークブックを使うことは、園における幼児教育を理解し、園と同じ方向を見て歩むことにつながります。
お子さんが自信をもって、小学校に入学した後も伸び続けていくために、『まなぼうワークブック』をぜひご活用ください。
百瀬ユカリ(日本女子体育大学子ども運動学科教授)
「入学準備ワーク」
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小学校入学前に身に着けたい力と、小学校入学後役立つ力をつける、年長さんのためのワークブックです。
これで春からピッカピカの一年生!