第4回 春の保護者会・懇談会 ほかの園はどうしてる…?〜小学館アカデミー勝どきこども園の場合〜【新 幼児と保育】
テーマは、年度初めの保護者会・懇談会。
第1回では、渡邊 暢子先生(NPO法人「保育パラ・ピアカウンセラー協会」理事)に、その心構えやアイデアをうかがいました。
連載第4回では、渡邊先生も注目する小学館アカデミー勝どきこども園(東京都・中央区)に、実際の保護者会の内容や工夫についてお話を聞きます。
この企画は『新 幼児と保育』(2018年 4/5月号)に掲載された記事「ほかの園はどうしてる?幼稚園・保育園・認定こども園 春の保護者会 懇談会」より、4回連載で、保育現場で活かせる保護者会・懇談会のヒントをお届けしています。
取材した園
小学館アカデミー勝どきこども園(東京・中央区)
定員108名。子どもの「あったかい心」を育む。
今年度の保育計画や理念を保護者と全職員が共有
保護者会は保育園型も幼稚園型も一緒に
「小学館アカデミー勝どきこども園」では春の保護者会を、「子どもたちがこの1年でどんな育ちをしていくのか、保護者と職員で話し合い、情報共有をする場」と位置づけています。
認定こども園には「保育園型」と「幼稚園型」の子どもが通っていますが、保護者会は一緒に行います。ほかの保護者との接点が少ない「幼稚園型」の利用者が、ほかの保護者と親しくなれる機会でもあるからです。
全体会では、年間の保育計画などを報告します。
当日配布する資料には、定期的に行っている保護者へのアンケートの集計結果も掲載。保護者の意見をどのように取り入れ、生かしてしていくのか、今年度の保育の方針を保護者へ具体的にフィードバックしていきます。
また、保健に関しては看護師、食育に関しては栄養士が、専門職として保護者への説明を担当します。
クラス別懇談会では、担任のあいさつや保護者の自己紹介に加え、各クラス(年齢)の保育のねらいと育ちの道筋についての説明を行います。
それぞれのクラスで作成した資料をもとに、担任が「こんなふうに育っていきます」「こんなことを大切にしていきます」と丁寧に伝え、保護者の理解を求めていくそうです。
春の保護者会から始まる「丸くつながる」あったかい保育
「勝どきこども園」の理念は、「子どもを真ん中にするあったかい保育」。子どもの育ちをみんなで共有し、共感していくことを大切にしています。
保育者と各保護者だけでなく、保護者同士、保育者同士もつながって、保育にかかわる全員で子どもを見守り、喜び合うことができる「丸い関係」づくりを目指しています。
保護者会のスケジュール
【定期的に保護者へのアンケートを実施】
時間 | 内容 |
---|---|
2月 |
今年度のテーマ決定 (園長、主任、専門職) |
4月 | クラス別の資料作成 |
【4月第2〜3土曜日午前中 第1回保護者会 】
時間 | 内容 |
---|---|
9:30 |
全体会 |
10:10 |
各保育室へ移動 |
10:20 |
クラス別懇談会 |
11:30 |
終了 |
全体会の説明は主任、中堅保育者、専門職スタッフが行う
全体会では園の考え方や保育計画をきちんと伝える必要があるので、経験のある保育者や専門職が説明を担当。
アンケートや第三者評価の結果なども踏まえ、保護者と共有しておくべき情報を具体的に知らせます。園からの説明のあとには、質疑応答の時間も設けています。
全体会では全職員が自己紹介
園の役割は、「全職員で全園児を見守ること」。
日ごろ、保護者がかかわる職員は担任などに限られてしまいます。保護者に多くの職員を知ってもらうため、全体会では、保育者、専門職、事務職など、全職員が簡単な自己紹介を行っています。
保護者の自己紹介には、+1テーマ
話しやすい雰囲気をつくるため、保護者の自己紹介の際には、クラス全体でテーマを決めてひと言添えてもらいます。
特に初対面同士が集まる0歳児クラスは、保護者が話しやすいテーマを選ぶことが大切です。
昨年度は、あるクラスで「子どもの名前の由来」を話してもらったところ、大成功。楽しそうに話す人が多く、保護者自身の人となりを知ることもできたとか。
クラス別懇談会は席の工夫で話しやすい雰囲気に
0歳児クラスは1クラス18名で、担任は6人。保育者1人が3人の子どもを担当します。
0~1歳児のクラス別懇談会では、担当の保育者ごとに保護者をグループ分けしてすわってもらいます。身近な保育者、保護者と近くにすわることで、保護者同士が話しやすい雰囲気が生まれます。
若手保育者さんへアドバイス
若い保育者さんは、園にとって存在そのものに価値があります。失敗しても許されるし、がんばりは認められます。
臆することなく、やりたいことに挑戦してください。
文/野口 久美子 イラスト/上島 愛子
この記事の連載
第1回 春の保護者会・懇談会 専門家に聞く!心構え&アイデア【新 幼児と保育】
緊張するのは、もしかしたら保護者のみなさんも同じかもしれません。
『新 幼児と保育』2018年 4/5月号に掲載された記事「ほかの園はどうしてる?幼稚園・保育園・認定こども園 春の保護者会 懇談会」より4回連載で、保育現場で活かせるヒントをお届けするこの企画。
第一回目は、渡邊 暢子先生(NPO法人「保育パラ・ピアカウンセラー協会」理事)に、心構えやアイデアを語っていただきました。
第2回 春の保護者会・懇談会 ほかの園はどうしてる…?〜和光幼稚園の場合〜【新 幼児と保育】
前回は渡邊 暢子先生(NPO法人「保育パラ・ピアカウンセラー協会」理事)に、開催にあたっての心構えやアイデアをうかがいました。
第2回からは、実際の園の保護者会の内容や工夫をご紹介。
渡邉先生も注目する、和光幼稚園(東京都・世田谷区)にお話を聞きました。
第3回 春の保護者会・懇談会 ほかの園はどうしてる…?〜上田市長瀬保育園の場合〜【新 幼児と保育】
連載第3回では、上田市長瀬保育園(長野県・上田市)に、実際の保護者会の内容や工夫についてお話を聞きます。