第3回 春の保護者会・懇談会 ほかの園はどうしてる…?〜上田市長瀬保育園の場合〜【新 幼児と保育】
テーマは、年度初めの保護者会・懇談会。
第1回では、渡邊 暢子先生(NPO法人「保育パラ・ピアカウンセラー協会」理事)に、その心構えやアイデアをうかがいました。
連載第3回では、渡邊先生も注目する上田市長瀬保育園(長野県・上田市)に、実際の保護者会の内容や工夫についてお話を聞きます。
この企画は『新 幼児と保育』(2018年 4/5月号)に掲載された記事「ほかの園はどうしてる?幼稚園・保育園・認定こども園 春の保護者会 懇談会」より、4回連載で、保育現場で活かせる保護者会・懇談会のヒントをお届けしています。
取材した園
上田市長瀬保育園(長野・上田市)
定員110名。園と家庭で協力し合い、「心豊かな子ども」を育てる。
懇談会+家庭訪問で保護者をきめ細かくフォロー
全園児の家庭訪問を終えた5月以降に懇談会を実施
長瀬保育園が大切にしているのは、「園と家庭で一緒に子育てをする」スタンス。
家庭訪問など、じっくり話せる機会を生かして保護者の思いや悩みを聞き、園での様子も伝えながら、子どもたちの成長を一緒に見守っています。
保育者と保護者の顔合わせは、4月の入園式。
式のあとの「保護者総会」は、園の主催ではなく、保護者会役員からの連絡などを行うものです。総会終了後、保護者も保育室へ移動。担任の自己紹介や家庭訪問のスケジュール確認などを行います。保護者の自己紹介や懇談会などはなく、そのまま解散となります。
入園式の翌日から4日間は、全クラスが「慣らし保育」となります。
子どもたちは午前中の保育を終えると、昼食を食べて帰宅(在園児たちは通常保育)。午後は、担任が家庭訪問を行います。
最初の保護者懇談会は、5月以降に保育参観を兼ねて実施します。
長瀬保育園では原則として、園の行事の準備などに保護者の手伝いを求めないため、懇談会は保護者同士に親しくなってもらう大切な機会です。保護者の自己紹介のあと、テーマを決めて意見交換をしますが、このときは対保育者ではなく、保護者同士で話してもらうように心がけているといいます。
入園直後の家庭訪問で保育者と保護者の信頼関係を築く
上田市では、4月にすべての園児に対して家庭訪問を実施します。
入園後、まずは1対1で話す機会を設けることで、担任と保護者の信頼関係を築くことを重視しています。
自宅は保護者にとって話しやすい環境であるため、送り迎えの際や、多くの人が集まる懇談会では話しにくい悩みなども相談してもらえることが少なくありません。
上田市長瀬保育園 家庭訪問+懇談会のスケジュール
【4月初め 入園式 】
時間 | 内容 |
---|---|
10:00 | 入園式 |
10:20 | 子どもが保育室へ移動 |
10:45 | 保護者総会(保護者会が主催) |
11:00 |
保護者が保育室へ移動 ・担任あいさつ ・各学年の幹事選出 ・家庭訪問の予定をお知らせ |
【入園式後4日間】
時間 | 内容 |
---|---|
12:30 | 新入園児保育終了・帰宅 |
13:00 |
家庭訪問 |
【5月以降 第1回保育参観&懇談会 】
・0〜2歳児クラス 平日の午後
時間 | 内容 |
---|---|
13:30 |
クラス懇談会 |
14:30 |
保育参観 |
・3〜5歳児クラス 平日の午前
時間 | 内容 |
---|---|
8:30 | 保育参観 |
10:00 |
クラス懇談会 |
10:45 | 終了 |
家庭訪問では保護者の思いをくみとる
家庭訪問の際は、保護者の話をじっくり聞き、「子どもにどのように育ってほしいと思っているか」をくみとることを大切にしています。保護者からの意見や相談などは職員会で報告し合い、「どの職員がどの子のことでもわかる」ように情報を共有します。家庭訪問期間中は保育時間の調整も可能
家庭訪問を行う4日間は、原則として保育は午前中で終了します(保護者の仕事の都合などでやむを得ない場合は、午後の保育に対応するケースもあり)。1学年1クラスですが、進級すると担任がかわるため、家庭訪問は毎年行います。
懇談会では保護者同士が話せるように
保護者同士が親しくなれると、トラブルなどがあった場合の対応がよい方向にかわっていきます。懇談会では、話しやすい雰囲気や共通の話題づくりのため、自己紹介の際に保護者自身のことについても話してもらうようにしています。
3~5歳児クラスの懇談会は45分交代で
3~5歳児クラスは保育参観のあと、45分間の懇談会を交代制で行います(2日間に分けることもある)。
1学年1クラスで、担任は各クラスひとり。そのため、3歳児クラスの懇談会が行われている間は、4歳児・5歳児クラスの担任が3歳児クラスをケア、という体制で保育を行います。
若手保育者さんへアドバイス
まずは「自分にとって聞きやすい先輩」を見つけ、何でも相談しましょう。保育園はみんなで子育てするところ。保育者の悩みにもみんなで一緒に取り組みましょう。
文/野口 久美子 イラスト/上島 愛子
この記事の連載
第1回 春の保護者会・懇談会 専門家に聞く!心構え&アイデア【新 幼児と保育】
緊張するのは、もしかしたら保護者のみなさんも同じかもしれません。
『新 幼児と保育』2018年 4/5月号に掲載された記事「ほかの園はどうしてる?幼稚園・保育園・認定こども園 春の保護者会 懇談会」より4回連載で、保育現場で活かせるヒントをお届けするこの企画。
第一回目は、渡邊 暢子先生(NPO法人「保育パラ・ピアカウンセラー協会」理事)に、心構えやアイデアを語っていただきました。
第2回 春の保護者会・懇談会 ほかの園はどうしてる…?〜和光幼稚園の場合〜【新 幼児と保育】
前回は渡邊 暢子先生(NPO法人「保育パラ・ピアカウンセラー協会」理事)に、開催にあたっての心構えやアイデアをうかがいました。
第2回からは、実際の園の保護者会の内容や工夫をご紹介。
渡邉先生も注目する、和光幼稚園(東京都・世田谷区)にお話を聞きました。
第4回 春の保護者会・懇談会 ほかの園はどうしてる…?〜小学館アカデミー勝どきこども園の場合〜【新 幼児と保育】
連載第4回では、小学館アカデミー勝どきこども園(東京都・中央区)に、実際の保護者会の内容や工夫についてお話を聞きます。