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「親と子が泣いていたら、まず子を抱きしめてほしい。」母として、保育者のみなさんに伝えたいこと

「親と子が泣いていたら、まず子を抱きしめてほしい。」母として、保育者のみなさんに伝えたいこと
大切な友人で、プロの保育者のお二人。
生後2ヶ月の娘を抱っこしてくれています。
撮影場所:こそだてビレッジ


少し、大胆な表現をしましょう。

「親と子どもが泣いていたら、まず保育士のみなさんには、子どもを抱きしめてやってほしい。」

何も聞かずに、ただただ子どもの側にいて欲しいのです。あなたには当たり前に聞こえるでしょうか?

「親」の戸惑い

数年前、渋谷駅で母親が泣きじゃくる子どもを引きずっていた様子を動画におさめ拡散された結果、母親が警察に出頭するという出来事がありました。

そのときわたしは、この母親に、同情に似た気持ちを感じました。もちろん、虐待や虐待未遂を擁護するわけではまったくありません。

ただ「親」として、この母親の気持ちが容易に想像できてしまったのです。

仕事でクタクタ、その日の出来事が何もかもうまくいかなくて、自分も疲れきっているとき。とどめを刺すように、子どもが帰りの電車の中や人ごみでぐずってしまったら…

もしかしたら人前であるにも関わらず、カッとなってしまうことがあるかもしれない。
そして、同じような経験をしている親は、少なくないはずだ、と思いました。

自分自身を弁護するつもりではないですが、親って、結構いっぱいいっぱいなのです。

親は当然ながら、最初から親ではありません

子どもが産まれてから初めて、子育ては仕事のように「時間がきたら終わり」ではなく、「切れ目がない」ことを知るのです。

そんな生活の中で、子どもの希望を叶えてやりたい一方、様々な事情で必ずしも100パーセント優先してあげられないこともありますし、子どもの寝顔を見ながら、自分の不甲斐なさを感じることさえあります。

親になってからわたしは、自分の行動に戸惑うばかりです。

息子が1歳の頃。「自分よりも大きい傘をさしたい!」と言う彼に、
当時は、さて、どうしたものか?と、困り果てました。


保育士から学んだ、新しい視点

わたしは息子が2歳になるころまで、「子育てが楽しい」と思えませんでした。

息子が11ヶ月のときに実母を看取ってから、子育てはもちろん、自分の生き方そのものについて深く悩むようになっていたからです。子育てサークルや児童館にも行く勇気が持てず、あまり友人もいませんでした。

そんなとき、親と保育士が一緒に子どもをみる「おやこ保育園」という場に出会い、「保育士さんから、何か子育てのヒントが得られるかもしれない!」と、息子とともに通うことにしました。

初日、なかなか入り口から中に入れなかった息子。

どうすればいいんだろうと途方に暮れていると、保育士のお二人は息子に、「あなたのペースでいいよ」と声をかけてくれました。そして母であるわたしに対しても、「少しずつ、少しずつ、進んでいるはずだから!」と言ってくれたのです。

その言葉のおかげで、息子の歩みと一緒に、その場に入っていくことができました。

「お子さんを、よ〜く観察してみてください。目はどこをみている?手はどう動いている?表情はどう変化している?普段と同じところ、違うところは何だろう?気付いたことをメモしてくださいね。」
おやこ保育園を主宰する保育士さんは、そう親1人1人に話しかけてくれます。

子どもを「観察」する
保育士のみなさんにとっては当たり前のことかもしれませんが、わたしにとって、それはとても新しい視点でした。

「観察」することで、息子の小さな変化に気付く。
不安だらけだった子育てに、「子どもの成長を発見する」楽しみが出来、こんなわたしでも子を育てていくことができるんだという気持ちにさせてくれたのは、保育士の方の存在がとても大きかった、と心から思います。

2歳、おやこ保育園での様子。
日を追うごとにどんどん積極的になり、
満面の笑みで鉄棒にぶらさがっています。


保育者こそ子どもを抱きしめてほしい

「少しだけ、前よりも入り口から進めたね。」
「小さな瓶に、砂を入れられるようになったね。」
「足が、はやくなったね。」

親としては一見何気ない子どもの行動を、一挙一動に喜び、感心し、可能性を信じてくれる保育者の方々に、わたしはどれだけ救われてきたかわかりません。

自分と同じように、子どもを共に育ててくれる人がいるだけで、親はとても勇気づけられるものなのです。

こうした出会いがなければ、わたしは子育ての楽しみ方、息の抜き方、そして深さを知らずに、なんとなく過ごしていたかもしれません。

ここで最初のお話に戻りましょう。

人ごみの中で泣いている子どもがいたら、保育者のあなたにこそ、子どもをぎゅっと抱きしめてやってほしい、と思うのです。

私たち親は、親になる過程でたくさんの戸惑いや葛藤を抱え、必ずしもすぐに子どもを抱きしめられないときがあるかもしれません。

だからこそ、さっと側に駆け寄り、何があっても無条件に子どもを抱きしめてくれる、あなたのような存在が、何より必要なのです。
その姿を見て、また親も自分自身と向き合い、そして子どもと向き合っていくのですから。

4歳、信頼するシッターの方が撮ってくれました。
雨の中思いきり遊んだ、とびきりの笑顔です。


(編集:三輪ひかり)

  • 藤岡聡子
  • 藤岡聡子

1985年生まれ、徳島県生まれ三重県育ち。夜間定時制高校出身。自身の経験から、「人の育ち」「学び直し」「生きて老いる本質」をキーワードに、人材教育会社を経て24才で介護ベンチャー創業メンバーとして住宅型有料老人ホームを立ち上げる。2014年より非営利団体「親の思考が出会う場」KURASOU.代表として、国内外のべ180名以上の親が政治や人権について学び対話する場を運営。2015年デンマークに留学し、幼児教育・高齢者住宅の視察、民主主義形成について国会議員らと意見交換を重ね帰国。同年11月 福祉の再構築をミッションに、株式会社ReDoを起業。豊島区にて介護予防事業を展開している。2児の母。

・あきゅらいず・大人すはだ連載|母さんとよばないで(1)〜(3)
・灯台もと暮らし【子育てと仕事を学ぶ #1】藤岡聡子|「いろんなことを手放すと、生死と向き合う勇気と覚悟がわいてきた」

サイト :
KURASOU
株式会社ReDo
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