『自然』〜みんなが心地よい保育って?〜
先日、2歳児のAくんはカメムシを見つけました。
やさしく手に乗せて、「みて。」と本当に優しい顔をして見せてくれました。
実は私は「臭くなるんじゃないかなぁ」と思い、「触らない方がいいよ」と言った方がよいかどうか迷いました。
でも、臭くなるという体験をさせてもいいかな、と思って何も言いませんでした。
すると、他の子ども達が「みせて」と寄ってきて、「これたべるかな?」とみんなで枯れ草を集めてはカメムシの上に乗せたり、ふりかけたりしていました。
驚いたことに、カメムシはあの臭いにおいを出さないのです。
この出来事は、私に発見を与えてくれました。
きっと、子ども達は自然と共鳴しやすいのでしょう。
自然のなかで育った子は、自然で遊び、自然を大切にするのです。
それがカメムシにも伝わったのかなぁ・・なんて思ったりもします。
自然のなかで過ごす事での気づきや発見はたくさんあります。
もし、このカメムシが臭いにおいを出したとしても、それは子どもの気づきになり、発見になるのです。
その発見や気づきは体験することでしか得られないのです。
そして、大人も同じように様々なことを体験する中で、学びを得るのだと思います。
子ども達は、「今目の前にあること」を100%体験します。
「明日の事が心配で今思い切り遊べない」なんて言う乳幼児の子どもはいないですよね。
未来や過去を心配したり後悔したりするのは大人だけ。
子ども達には「今」しかありません。
「今目の前にあること」を楽しみ、そこからたくさんの刺激を受けて、成長していくのです。
“喜び”というポジティブな感情の時に覚えたものは脳に記憶されるという話を聞きました。
今を楽しんでいる子ども達の状態はきっと「喜び」なのでしょう。
大人も子ども達に見習って、「今」を全力で楽しむということをしてもいいんじゃないか?と思います。
何かを心配したり、不安になったりする前に「やりたいことをやってみる」ことです。
そこから何か上手く行かない事が起きるかもしれないし、失敗するかもしれない・・でもまずはワクワクしながらやってみるという事が大切なのでは?と思うのです。
「やりたいことをやる」ということは、もしかしたら大人にとってはとても難しく感じる事かもしれません。
「こんな保育してみたいな・・でもうちの園では無理だよなぁ。」
「うちの園は厳しいので、絶対に自然のなかで保育するなんてできないんです。」
こんな言葉を聞く事があります。
でも、本当にやりたいのなら、どうしたらきっかけを作ることができるかを考えるでしょう。
最初から100点満点は無理かもしれないけど、60点でもよしとなるのではないでしょうか。
大人も自分の中のワクワク・ドキドキを大切にし、その感覚に任せていて間違いないと思うのです。
それはひとつの計りとなるでしょう。
そのワクワク・ドキドキを無視して、頭で考えて「正しい」と思われる事に流されてしまうと、途端につまらなくなり、無理をすることになります。
このワクワク・ドキドキ感覚こそ、人間の持っている自然な感覚・本能だと思うのです。
その自然な感覚を大切にすることこそ、今の現代に必要なことで、その感覚を信じる事は自分を信じる事・・自信につながるのです。
自然の中ではこうした感覚的な部分が目覚めてくるように思います。
自然は人にとって、必要なもの・・という事は誰もがなんとなく感じていることでしょう。
自然から学ぶ事はたくさんありますから、もっともっと私たちの生活に自然が身近になっていったらいいなぁと思っています。
街路樹の木から新芽が徐々に育ってきました。
桜のつぼみが少しずつ膨らんできました。
道端にたんぽぽの花が咲き始めました。
私たちの周りには小さな自然がたくさんあります。
その小さな自然に気づくかどうかは、自然に対して心を開いているかどうかが関係すると思います。
外に出て、心を開いて、景色を眺めてみて下さい。
きっといろいろなものが飛び込んで来ることでしょう。
そしていろいろな感覚が生まれるでしょう。
自分が感じたことをありのままに、自然に生まれた感覚を大切にしていってください。
その感覚で子どもと向き合ってみてください。今までと違う関わりになるのではないでしょうか。
自分が、ありのままに自然(ナチュラル)に保育ができたら心地いいと思いませんか?