保育と遊びのプラットフォーム[ほいくる]by 小学館

コドモコトノハ「かんらんしゃ、ゆびよりちいさい」(ありむ6歳)

青山誠
掲載日:2014/02/21

観覧車を作るために、大工さんを探していたありむくんたち。



次の日、本物の観覧車を見にいくことにしました。

観覧車は、電車の駅で一つ向こうの、デパートの屋上にあります。

8人の子どもたちで、歩いていくことになりました。



電車の駅一つ分といっても、大人の足で20分はかかります。

北風の吹く寒い日でしたが、子どもたちはおかまいなく、勇んで歩き出しました。

駅前広場を抜け、遊歩道を通り、途中のお地蔵さんに挨拶し、川に立ち寄り、観覧車はまだまだ先。

ペットショップに入ってもみたり、寄り道、寄り道の道中です。



1時間ほどかかって、ようやくデパートにたどり着きました。

さっそく屋上にあがって間近でつくづく観覧車を見上げます。



「あ、ライトがついてる!」



「よるになったら、てらすんだよ」



「ねえ、タイヤもついてるよ」



確かに観覧車の巨大な輪をまわすところに、タイヤがついています。

タイヤは四方八方についていて、それでゆるゆると巨大な輪を回しています。

今まで何回も見て来たのに、このとき初めてこのタイヤのことに気がつきました。



「おっきいなぁ」



「これ、つくれるかなぁ」



子どもたちは首が痛くなるほど観覧車を見上げ続けていました。



帰りがけに、チケット売りのお姉さんのところに立ち寄りました。

まひろくんが聞きました。



「このかんらんしゃをつくったひと、なにけんにすんでますか」



お姉さんは笑いながら、「ちょっとわからないなぁ。」と言いました。

それから、「あ、そういえば、だいぶ前だけど、この観覧車は俺が作ったんだぞっていう、おじいさんが来たことあったよ」と教えてくれました。



「えー!」



子どもたちはいっせいに大声を上げました。



「このちかくにいるかもね」



お姉さんにお礼を言って、また歩いて帰ります。



「あるくのつかれたから、ハイハイしてかえろう」



と、四つん這いになってみたり、木に登ったり、また寄り道しながらの道中です。

でも、この近くに観覧車を作った人がいるんだということが、みんなの心を弾ませていました。



また1時間ほどかけて帰って来て、ふと振り向くと、ずっとむこうに観覧車が見えました。



「あー、かんらんしゃだ」



まひろくんが指差しました。

みんなも、ほんとだ!あそこ!と指を指しました。



「かんらんしゃ、ゆびよりちいさい。あんなにおおきかったのに。」



ありむくんが言いました。



近くまで行って、見上げた大きな観覧車。遠く離れて、指差した小さな観覧車。



どちらも同じ観覧車、ふしぎ、ふしぎ、です。



子どもがハイハイしているイラスト