保育と遊びのプラットフォーム[ほいくる]

「子どもの“やってみたい”を、園庭に実現」ー西池袋そらいろ保育園(東京都 豊島区)

ほいくる編集部
掲載日:2014/02/07

今回訪れたのは…

豊島区にある「西池袋そらいろ保育園」(認可保育所)

「子どものやってみたいを、園庭に実現」ー西池袋そらいろ保育園(東京都 豊島区)

子どもたちの楽しそうな声が聞こえてくるお庭に、お庭を見守るようにあたたかくたたずんでいる保育園。

陽のあたるほっこり温かいお庭には、沢山のエピソードがつまっていました。

今回わたしがお話をお伺いしたのは、西池袋そらいろ保育園の小林園長先生。


西池袋そらいろ保育園の小林園長先生


子どもたちが育つ環境についてとことん向き合う強さと優しさが、とても印象的でした。

実は、西池袋そらいろ保育園にお伺いしたのは3回目。

「先生と保護者が、子どもたちのために園庭に大型遊具を手作りしている!」

という“園庭プロジェクト”のお話を聞いて、これまでに何度か足を運んでいたのでした。

園庭のようす

まだまだ、外に出るだけで汗がにじむくらいに暑かった、昨年の夏…

“そらいろのにわ”計画
保育園の門を入ったところにある掲示板に貼られていた、“そらいろのにわ”計画。

どんな遊具が出来上がっていくのでしょう
この土台の上に、どんな遊具が出来上がっていくのでしょう…?

大きな資材を組み立てていきます
子どもたちがおもいっきり楽しんでいる姿を想像しながら、大きな資材を組み立てていきます。

大人たちの姿をじーっと見つめる子どもの姿
子どものために、汗をかきながら遊具づくりに励む大人たちの姿をじーっと見つめる子どもの姿。

子どもたちにはどう見えているのかな?
青い空にたかーくそびえ立つ遊具の柱と、大人たち。子どもたちにはどう見えているのかな?

何度も話し合いを重ねた上で遊具制作がスタートし、この第1回目の遊具制作の後に更に、話し合いや保護者の方へのアンケート、制作を重ね、この年の年度末、卒園児が卒園する時には、みんなで楽しめる遊具が出来上がったのだそうです。

そして、また季節が巡った秋。
園庭はこんな形に姿を変えていました。

遊具の滑り台の下に集まる子どもたち。
遊具の滑り台の下に集まる子どもたち。

秘密基地のよう?子ども会議のはじまり…
秘密基地のよう?子ども会議のはじまり…

いろんな遊びが楽しめる!
いろんな遊びが楽しめる!

子どもたちの姿に合わせた新しい遊具も。
手づくり遊具の向かい側には、いろいろな遊び方が楽しめる、子どもたちの姿に合わせた新しい遊具も。

おもいっきり伸び伸びとあそびを楽しむ子どもたちの姿に、子どもたちの中にある園庭(そらいろのにわ)の存在の大きさを感じました。

とはいえ、保護者も巻き込んでみんなで環境を作っていくには、大変なことも色々とあったはず…。
後輩保育士としてズバリ!色々とお話を聞いてきました。

園庭プロジェクトを始められたきっかけは何ですか?

「今日何するの?」「次なにするの?」というように、指示を求める子どもたちの姿がきっかけだったそうです。
「園庭には、子どもたちが“やってみたい!”と思う遊具も仕掛けも何もなかった。その環境をどうにかしたいと思った」と園長先生。
 
元々、家庭支援センターの立ち上げに携わり、親を支援する立場にいらっしゃった小林先生。
時代に合わせて変化してく子育ての環境と、それに振り回される親と子どもをたくさん見てきたのだそう。
子育てに悩む親を支援する中で、「子どものメッセージを伝えるためには?」と考え続け、様々な活動を行ってきた末にたどり着いたのが、保育園を通して親と子どもに携わることだったのです。

そらいろ保育園の、“そらいろのにわ”。
「遊び」の中で育っていく子どもたちのために“保護者と保育士がワイワイと楽しむ園庭を作ろう!“と、園庭プロジェクトを始めました。そのメンバーを中心にワークを重ねながら園庭が少しずつ形を変えていき、今に至ります。

園庭プロジェクトを始めるにあたり、大変だったことはありますか?

今出来る事よりも少し難しいこと、頑張ればできそうなことに魅力を覚える子どもたちには、大人から見るとちょっと危なそうな環境が必要になります。
そんな子どもたちのためを考えた遊具が出来上がってく様子を見て、「危険なのでは?」と心配する保護者の声もありました。

そこにはじっくり時間をかけ、意見交換会や説明会、アンケートや体験会などを何度も重ねられたそうです。
「日々の保育にプラスして、休みの日まで話し合いや制作作業など、職員みんなも本当に頑張ってくれました。」と、小林先生。
あくまでも、「保護者も一緒に」という環境を大切に、丁寧に時間をかけて、進めてこられたのだそうです。

大変な状況を乗り切る力になったものは何ですか?

「子ども自身が“やってみたい!”と意欲を持つ遊びの中でしか子どもは育たない」という想い。

元々、「やる時は保護者と一緒にやる」という想いを職員にも伝えていたので、職員みんなが同じ方向を向いて取り組んでいく環境ができていきました。

でも、本当に職員みんな、よく頑張ってくれたと思います。
実は、園庭だけではなくて、室内環境プロジェクトも同時に行っていたのです。
ずっと「これでいい」という環境はないですらかね。

職員の中では、2年前から環境の話をし始めていました。
そしてそこから、その想いに共感し共にプロジェクトを運営してくれる保護者の方が集まり、進めていくことができました。

子どもたちと過ごす中で大切にしていることは何ですか?

「やってみたい!」を、どれだけ大切にした環境が作れるか。
そして、結果ではなく、それに取り組む子どもの気持ちや、そこで発揮されるかしこさや愛らしさに出会えること。保育者の喜びはそこですよね。

先生にとって保育(園)とは?

子どもたちには“自分を生きる”人になってほしいと思っています。
どんな子もそこに居て育つ場所、いっしょに暮らせる場所でありたいですね。

最後に…「夢」を聞かせてください

子どもと一緒に暮らすことを楽しいと思える社会になること。

“そらいろのにわ”も、色んな人がそれぞれの自分なりのモチベーションや位置付けで
楽しく参加できる場にしていきたいと考えています。

子どもと一緒に、親もいっぱいあそんでほしい。
保護者の方にも子どもがあそぶ楽しさを感じてもらい、育ちの場をみんなで作っていきたいと思っています。

子どもの育ちをいかに大切に守っていくか、実際に様々な取り組みを行いながらいろんな人と共に楽しく向き合っていく小林先生の、子どもへの想い溢れるお話をたくさん聞かせていただきました。

小林先生、西池袋そらいろ保育園のみなさん、どうもありがとうございました!

最後に、子どもたちが手作り遊具であそんでいる姿(西池袋そらいろ保育園さん撮影)をぜひ御覧ください♪

子どもたちが手作り遊具であそんでいる姿



子どもたちが手作り遊具であそんでいる姿



子どもたちが手作り遊具であそんでいる姿



子どもたちが手作り遊具であそんでいる姿



子どもたちが手作り遊具であそんでいる姿



子どもたちが手作り遊具であそんでいる姿



もっと話を聞いてみたい方、「西池袋そらいろ保育園」に関心を持たれた方は、ぜひこちらのリンク先をご覧ください。

社会福祉法人みつばち会 西池袋そらいろ保育園