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コドモコトノハ「そりゃぁ、あんまりだとおもったから」(けんじ5歳)

青山誠
コドモコトノハ「そりゃぁ、あんまりだとおもったから」(けんじ5歳)

 子どもたちが木登りしながら、なんだかもめています。

「のぼってきちゃだめ!」
「ここはスズメごっこに、はいっているひとだけだよ」

木の上で、ちっちゃんと、じゅなちゃんが叫んでいます。その下では、おんちゃんがむくれっつらをして見上げています。

「ぼくだって、のぼりたいのに」

ちっちゃんと、じゅなちゃんは、朝から木の上でスズメごっこをしていました。スズメの家族だから、木がお家です。それぞれ、自分の部屋もあります。自分の部屋には、しるしとして、自分の水筒が置いてあります。

「みんなの木なのに!」

 スズメごっこに入っていない子どもたちは、不満です。ちっちゃんと、じゅなちゃんがそう言うから、登るのをやめておく子もいます。いいや、のぼっちゃえ!と、どんどん登っていく子もいます。

 登ってくる子たちに、ちっちゃんと、じゅなちゃんは、言います。

「のぼらないで!すいとう、おちちゃう。」
「のぼるなら、スズメごっこに、はいってよ。おきゃくさんやくで、いいからさ。」
「おきゃくさんだから、なんかしゃべるんだよ。」

 そう、なにも意地悪しているわけでは、ないのです。子どもの遊びのイメージは本物。想うだけで、もう本当のスズメになっているのです。木は今、お家なのです。他人に、ずかずか入って来られてはたまりません。「おきゃくさんで」というのは、なかなかすてきな折り合いの付けかたではあります。

 木に登りかけていた、けんじ君。そそくさと、木から降りると、どこかへ行ってしまいました。後からその理由を聞くと、けんじ君はちょっと肩をすくめながら、言いました。

「スズメごっこに、はいるならのぼっていいよってさ、そりゃ、あんまりだとおもったから、ほかのとこで、べつのことしようって、おもった。」

 子どもたちの遊びの中で、イメージの食い違いはよくあります。食い違った時に、どう出るかは、人それぞれです。ケンカになることもあれば、どちらかが引くこともあります。相手の反応を見て、引きどころ押しどころも心得ていくようです。押し合い、へし合い、みんなで育ちあっています。

 しばらくして木のところにいってみると、スズメたちの字で、張り紙がしてありました。

「しゃべりたいひとだけ そのひといがいわ たちいりきんし すずめごっこ お やるひとだけね」

言ってダメなら字で書くぞ、というところでしょうか。

木の写真




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