保育と遊びのプラットフォーム[ほいくる]

リラックスタッピングと仕上げのマッサージ

青木博美
掲載日:2012/12/15
リラックスタッピングと仕上げのマッサージ


これまで触れ合いの大切さや良い効果をたくさんお話してきましたが、今回は触れ合いやスキンシップが足りないことによって起きる悪影響や問題点についてお伝えします。

マッサージ実技は「リラックスタッピングと仕上げのマッサージ」です♪



サイレントベビーについて

「サイレントベビー」って聞いたことがありますか?

抱っこや触れ合いによるスキンシップが足りない状態で育った赤ちゃんは成長するにつれて様々な症状が表れてきます。

「サイレントベビー」とは?

あまり泣かない、あやしても反応がない、視線が合わない、笑うことが少ない、など感情表現がうまく出来ない赤ちゃんのことです。
赤ちゃんへの語りかけやスキンシップの不足、親や養育者が赤ちゃんに対して無関心、などが原因と言われています。

赤ちゃんは泣いても泣いてもかまってもらえないと、泣くことを諦めてしまいます。
赤ちゃんにとって“泣かない”ということは感情を押し殺すことと同じなので、やがて自分の感情をうまく表現ができないサイレントベビーになってしまうのです。

「サイレントベビー」の子どもが大きくなると…

・感情の処理の仕方がわからないため、自分の気持ちをコントロールすることが困難な状態に。いきなりかんしゃくを起してキレてしまったり、攻撃的な行動に出てしまったりと情緒不安定な傾向がみられます。

・他者とのコミュニケーションを取ることが苦手な状態で育つので、社会的にも適応しづらく、引きこもりや不登校などになりやすくなります(みんなの輪の中に入れない)。

・愛情を受けて育ってきていないため、他者に対して愛情を注ぐ接し方がわからず、人と信頼関係を築くことが難しくなってしまいます。

こんな逸話も残されています!

700年以上前、神聖ローマ帝国の皇帝が、
「話し声や子守歌を聞かずに育った子供はどんな言葉を話すのか」
という実験を行った。
数人の赤ちゃんを乳母に預けて最低限の世話だけをさせ、抱っこや愛撫はさせなかった。
すると赤ちゃんは全員、言葉を話す前に死んでしまったという。
(参考文献:Newsweek日本版・0歳からの教育)


赤ちゃんにとって優しく触れられることは何よりも嬉しいことです。
「自分は愛されているんだな〜」「この世に生まれてきて良かったんだな〜」という安心感や満たされた気持ちを与えてあげられます。
それが赤ちゃんの生きていく土台になっていきます。

愛情をいっぱい受けて育った子はおとなになってからも、
相手を尊重し、やさしい思いやりを持てる人になるでしょう。

また、ママパパ以外の人からも触れられることは、
赤ちゃんにとって広い世界を感じさせ、社会性を育てていくことにもなります。

マッサージの触れ合いを通して、赤ちゃんと深い信頼関係を築いていってください。

今月のマッサージ♪

1、背中カプカプのマッサージ

背中カプカプのマッサージ


両手を丸めてカップ状にして(上図)、背中の上から下に向かって「カプカプカプ〜」と言いながらやさしくリズミカルにタッピングします。

背中カプカプのマッサージ


カップ状にした手のひらに空気を閉じ込めるようなイメージで、少し音がするぐらい軽くたたいていきましょう。

背中の緊張をとることができます。
規則的な心地よい刺激が自律神経を整えます。

★ここでポイント★
手は必ずカップ状に!
手のひら全体や握りこぶしでのタッピングより、やさしい感触になるので気持ちよさも増します。



2、背中全体&おしまいの合図のマッサージ

背中全体&おしまいの合図のマッサージ


両手を使って首の付け根から背中、おしり、足先まで全身をまんべんなく撫でおろしていきます。
背骨を押さないで、手をすべらすようになめらかに撫でおろしましょう。

背中全体&おしまいの合図のマッサージ


赤ちゃんをあお向けにして、胸から足先まで撫で下ろしながら「マッサージ、終わったよ!よくがんばったね!」とおしまいの合図を伝えてください。

★ここでポイント★
マッサージを始める前に「はじまりの合図」をしたように、終了後は必ず「おしまいの合図」を伝え、赤ちゃんに気持ちの切り替えをさせてあげましょう。
合わせて、マッサージを受けてくれた感謝の気持ちを込めてたくさんほめてあげてください!


※しっかりマッサージをしたあとは「水分補給」をしてあげてください。
赤ちゃんにとってマッサージはいい運動になっていますので発汗作用も高まります。

保育現場でのポイント

・マッサージを始める前の合図は、第1回目に掲載しています(赤ちゃんが一番喜ぶ“足のマッサージpart1”)。まだ言葉が話せない赤ちゃんでも、始める前にはマッサージを始める合図を送ってあげましょう。

・コミュニケーションがとれるキッズには、「足、触っていい?」「お腹のマッサージしていい?」など尋ねながら、子どもの意思を尊重してやってあげてください。

・直接お肌に触れられるのを嫌がったり、抵抗がある赤ちゃん&キッズにはお洋服の上からでも構いません。マッサージの効果は同じようにあります!

・楽しい雰囲気を作って、笑顔で声をかけながらやってあげてくださいね!