「ごはんを食べながら、」特別編 :うみのこのとって食ってつながる暮らしVol.8
この連載の舞台になる「うみのこ」は、神奈川県逗子市にある認可外保育施設。逗子の山と海に囲まれた小さな古民家で、3歳〜6歳までの28人の子どもたちが暮らしています。
そんなうみのこの暮らしに欠かせないのが、食べること。
海山の恵みをいただき、畑で野菜を育て、自分たちで料理する。
生産者、料理人、食べることに欠かせない人々とつながり、本物と出会う。
どんなふうにうみのこで“食べる”ことが起きているのか、一年を通してお届けしていければと思っています。
ごはんを食べながら・・・
たっぷり遊び、笑い、泣き、戸惑い、時にぶつかりあって、また遊ぶ。そんな子どもたちが一日のなかで一度立ちどまる、「お昼ごはん」の時間。
仲間と食卓を囲み、ごはんを食べながらおしゃべりをする。その時間で子どもたちは、お腹だけでなく心も満たす。
『ごはんを食べながら、』は、そんなお昼のおしゃべりに耳を澄ませる企画で、うみのこを舞台に4年前に連載をしていました。
今回、「うみのこのとって食ってつながる暮らし」にて、一日限りの特別復活です!
「いただきます」のその先に。どんなやりとりが広がっているのだろう?
「お泊まり保育」の日のお昼の時間。
9月26日(金)。
今日は年長・タコ組のお泊まり保育の日。(詳細はこちら:「せかいいちうまい!」年長組がお泊まり保育でつくったごはん。)
シュンゴ(年長):
「つぎ、タコじかん(うみのこでは、お昼ごはんのあとの年長組だけで過ごす時間を“タコ時間”と呼んでいる)で、つりするんだよな。」
キュウ(年長):
「おれ、ぜったいでっかいのつる!」
シュンゴ(年長):
「(壁に貼ってあるお泊まり保育の予定を見ながら)それから、“としさんやま”にいって、よるごはん、よるのおたのしみ、おやすみ、でしょ。」

イハ(年中):
「え、タコぐみさんここでねるのかとおもってた!」
ガク(年長):
「ちがうよ、“としさんやま”でねるんだよ!」
シュンゴ(年長):
「これはおふろ!ごえもんぶろ!」
イハ(年中):
「(予定の文字を読みながら)よ る の お た の し み。つぎは、た こ じ か ん。お や つだって!」
スミ(年長):
「おやつは、たいやきー!!」
イハ(年中):
「イハくんは、まーくんちでおやつたべる!」
アキト(年長):
「あっきー、ユウナ(姉)といっしょにねたことある!」
ガク(年長):
「おれは、ともだちいるからだいじょうぶ。」
シュンゴ(年長):
「おれも!おれ、まだうみのこで1かいしか、ないたことないし。なんでないたかというと、かいだんのいちばんたかいところから、おちたから。」
キュウ(年長):
「おれも1かいだけ!へなちょこなき(へなちょこ泣き)だったけど。くるまにひかれたらやばいよね。」
シュンゴ(年長):
「つぶれるよ、タイヤで。 (近くを通ったスタッフに向かって)オートマー!タコじかんたのしみだね!」
オートマ(スタッフ):
「そうだね!」
キュウ(年長):
「オートマ、もう(ごはん)いらない。」
オートマ(スタッフ):
「おかわりしたの? 」
キュウ(年長):
「ううん。1かいめだけど。」
オートマー(スタッフ):
「めずらしいね、いつもはいっぱいたべるのに。ドキドキしてるのかな。」
ガク(年長):
「おれ、きょうのあさ、おなかいたくなった!あさごはんたべたら。」
オートマ(スタッフ):
「そうなんだ。いまはもうだいじょうぶ?」
ガク(年長):
「30びょうかぞえたらよくなった。」
***
楽しみという気持ちのあいだに、見え隠れしたちょっぴりの不安。
ごはんを食べたからこそ湧いてくる勇気と、食べたからこそ言える本音。
夜を仲間と過ごすというのは、子どもたちにとって大きな冒険です。
暗闇のなかで眠ること、家族のいない夜を迎えること。
胸の奥の小さなドキドキを、今までうみのこで泣いた回数や、実は今朝お腹が痛かったということを出し合うことで、互いに確かめ合っているかのように聞こえました。
そして、それでも「だいじょうぶ」と言葉にしてみる。
「おれは、ともだちいるからだいじょうぶ。」「おれも!」
その言葉の端々には、“自分たちで自分たち自身を支える”ような力がにじみ、まるで自分に向けたおまじないのようでもあり、 仲間へのエールのようにも感じるおしゃべりでした。
【今日の献立】

- 鯖のそぼろごはん
- 厚揚げと玉ねぎとえのきの味噌汁
- さつまいもとひじき煮
あー、美味しかった。ごちそうさまでした。
うみのこのとって食ってつながる暮らし
この連載の舞台になる「うみのこ」は、神奈川県逗子市にある認可外保育施設。逗子の山と海に囲まれた小さな古民家で、3歳〜6歳までの28人の子どもたちが暮らしています。そんなうみのこの暮らしに欠かせないのが、食べること。海山の恵みをいただき、畑で野菜を育て、自分たちで料理する。生産者、料理人、食べることに欠かせない人々とつながり、本物と出会う。どんなふうにうみのこで“食べる”ことが起きているのか、一年を通してお届けしていければと思っています。
うみのこ
