製作からみる、感性の成長#01『おとなのまなざし』
様々なアート遊びを紹介してきた昨年を踏まえ、今年は美術表現をベースに「こどもたちに委ねた先の世界をのぞく」エピソードの紹介をしてきました。
今回から、シーズン2!
「製作からみる、感性の成長」と題し、こどもたちの作品や製作を見守るおとなのまなざしについて考えてみたいと思います。
おとなのまなざし
こどもたちの製作(お絵描きや工作など美術的な活動全般を、今回は製作と呼びたいと思います)は、できあがった作品にも、そのプロセスにも、こどもたちの成長が現れます。
例えば、「技術的な成長」。
身体的な発達に伴い、はさみやのりなどの道具を安全に使えるようになったり、細かい作業ができるようになります。
そして、「心や感性の成長」。
線をぐるぐる重ねた絵を指して「あ、ちょうちょだ!」と言ったり、カラフルな直線とセロハンテープで「電車」を表現したり。抽象的な形を具体的な何かに見立てられるのは、感性の成長です。
また、心の成長に伴い、活動自体に変化が見られることもあります。
集中した状態で活動できる時間が伸びたり、友達の作品に興味を持ち、何かを感じ取れるようになったりすることも、感性と心の大きな成長です。
道具の貸し借りや、片付けができるようになることもまた、自分の欲求だけでなく理性的な判断ができるようになるという心の成長の現れです。
このように、製作は昨日のその子より成長した姿にたくさん出会うことができる時間です。
一方で、こどもたちの心や感性の成長は、意識しないとなかなか感じにくいものでもありますよね。
そこでおすすめしたいのが、おとなのまなざしとして“それぞれの正解がある問いを立てる”こと。
具体的には、製作の導入で
「節分の鬼が赤色なのは、なぜだろう?」
「彦星と織姫は、どんな気持ちかな?」
とこどもたちに尋ねてみる。
製作の途中で
「絵の具は、何色を使いたい?」
「どの色画用紙を使いたい?」
と、選択肢を用意してみる、など。
頭で考えたことや心で感じたことが、色や形になって現れてくるのが美術の面白いところ。さらに、こどもたちの柔らかな感性によって、おとながびっくりするような表現にたどりつくことがあります。これがまさに、製作を通してこどもの成長に出会える醍醐味!
日々こどもたちと過ごしているみなさんだからこそ、こどもたちの小さな成長に気づいてあげられると思います。
こどもたちが自分で思考し、判断する瞬間をぜひ意識的に作ってみてくださいね。
次回以降、具体的なエピソードを紹介していきますので、お楽しみに!
この記事の連載
遊びから芸術は始まる!#01『新聞紙あそび』