保育と遊びのプラットフォーム[ほいくる]

“北風” と子どもの、エピソード集。

雨宮みなみ
掲載日:2024/01/18
“北風” と子どもの、エピソード集。
ピューッと吹いてきて、おもわず目をつむったり首をすくめてしまうような、冷たい北風。

そんな北風と、子どもとのちょっとしたエピソードを、私たちHoiClueメンバーが出会った子どもの姿からお届けします。

北風とバーベキュー

北風が吹く、寒〜い日の子どもとの外遊びのできごと。

しばらく遊ぶうちに体の芯から冷え切ってしまった私は、「寒いからそろそろ帰らない?」と、おもわず大人都合の相談をしてしまいました。
すると、

「あ、じゃあ、バーベキューしたらいいんじゃない?」
と、子ども。

そして木枝や落ち葉を拾い集めることに。でも、集めてもすぐに北風で飛ばされてしまいます。
集めては飛ばされ、また集めては飛ばされ、飛ばされる前に集めようと試行錯誤し・・・。

帰るどころか、寒い日の外遊びはさらに広がって、その後もしばらく続いたのでした。

(エピソード・文章:雨宮みなみ)

サヤちゃんと北風

冬の、風が強い日のお散歩。
出発してまもなく泣き出した、1歳児のサヤちゃん。 なんとか自力で歩いて公園へ到着しましたが、なかなか泣き止みません。時折「イヤー!」と大きな声で怒っています。 まだうまく気持ちを言葉にしきれないので、泣いている理由は分かりません。しばらくそばにいてようやく、強風のタイミングで「イヤー!」と怒っていることに気が付きました。

「サヤちゃん。風がいやだったのかな?ビューってくるよね。」
「かぜ、いや…。」

そんなやりとりをしているうちに、また強風が顔に…。「かぜー!!やめてー!!」と大泣きするサヤちゃん。心配で集まってきた子どもたちに、「サヤちゃん、風が嫌なんだって。」と保育者が伝えると、子どもたちは「かぜさーーーん!やめてーーー!!」「ストーーーーップ!!」と、空を見上げて大きな声で言い始めました。 でも、それで風が止むことはなく…。

このようす、なにか遊びに変えられないかな?と思い、「かぜさん、あっちかな?」「こっちかな?」「あのうしろかな?」と公園の色々な場所を指さしてみました。すると、「まてまてー!」と子どもたちが保育者が指さした方へ走り出します。サヤちゃんは泣き止み、ちょっと怒ったまま、みんなと一緒に走り出しました。

「かぜさんいないね〜?」と言いながら、風さがしを楽しんだ子どもたち。サヤちゃんも泣き止み、保育者がホッとしたのもつかの間…。帰り際にまたものすごい強風が吹き始め、サヤちゃんは「ギャー!!もぉー!!!かぜさんダメーーー!」と、とても怒って、そのまま友だちに手を引かれて大泣きしながら保育園に戻ったのでした。

その日の午睡中、お散歩でのできごとを保育者数人で微笑ましく振り返りました。3月生まれのサヤちゃん、もしかして色々なことが分かるようになってから、初めてあんな強風の北風と出会ったのかな?明日の天気予報を調べてみると、強風注意報…。がんばれ、サヤちゃん…!

それから冬の間、サヤちゃんは北風に怒りながら散歩をしていました。




(エピソード・文章:水岡香 / 編集:雨宮みなみ)