保育や子育てが広がる“遊び”と“学び”のプラットフォーム [ほいくる]

HoiClue

コロナ世代の子どもたちにこそ「共育て」を。汐見稔幸先生講演レポート〜「保育をどうしよう未来会議」より〜【Sponsored】

掲載日:2021/10/22
コロナ世代の子どもたちにこそ「共育て」を。汐見稔幸先生講演レポート〜「保育をどうしよう未来会議」より〜【Sponsored】

予期せぬ新型コロナウイルスの猛威によって様々な問題、課題に直面した2020年。
保育の現場でも、多くの戸惑いや葛藤にぶつかる日々だったと思います。

そんな中、失われた学びの機会を取り戻していこうと昨年の秋から開催されているのが「保育をどうしよう未来会議」。
社会全体で保育・子どもを見守ろうと、保育にまつわる見識者、関係者などが集い語るオンラインイベントです。

★「保育をどうしよう未来会議2021年冬」は終了しました。
現在、録画配信をご覧いただけます。
お申込みはこちら


今回は、この夏に開催されたオンライン講演(テーマ「子どもと保育者がもっとワクワクするために必要なこと」)の中から、汐見稔幸先生のおはなしをレポートとしてご紹介します。

汐見 稔幸(しおみ としゆき)先生

1947年 大阪府生まれ。東京大学名誉教授、白梅学園大学学長、日本保育学会会長。
2017年告示保育所保育指針改訂の検討を行った厚生労働省社会保障審議会児童部会保育専門員会の委員長を務める。
専門は教育学、教育人間学、育児学。育児学や保育学を総合的な人間学と考えていて、ここに少しでも学問の光を注ぎたいと願っている。保育者たちと臨床育児・保育研究会を立ち上げ定例の研究会を続けている一方、三人の子どもの育児にかかわった体験から父親の育児参加を呼びかける活動もしている。保育者と保護者の交流誌『エデュカーレ』編集長。

内容

コロナ世代の子どもたちにこそワクワクを~親と保育者が共に育てる「共育て」~
「コロナ世代の子どもたち」と言わせない決意
園と家庭の「共育て」が求められる理由
「共育て」実現のためにできること

「保育をどうしよう未来会議」2021冬 開催!

コロナ世代の子どもたちにこそワクワクを~親と保育者が共に育てる「共育て」~

今回、汐見先生が提案されたのは「共育て」。
園だけでなく、保護者、地域の住民、園に出入りする外部の関係者など、様々な立場の大人が手を取り合って子どもたちを一緒に育てていく、という考え方だそうです。

今、なぜ「共育て」が求められるのでしょう?
お話は、コロナ禍で子どもたちに見られるようになった“ある症状”から始まりました。


「コロナ世代の子どもたち」と言わせない決意

実は、コロナ禍の子どもたちについて、ちょっと心配なデータが出たんです。
国立成育医療研究センターの研究者があるネットメディアの取材記事で、新型コロナが長期化する中、小学生・中学生・高校生それぞれで「中等度以上のうつ症状」を確認できる子どもが増えていると語っています。2020年11月から12月にかけての調査では、全4,629人のうち小学校4〜6年生の15%、中学生の24%、高校生の30%が結果を示したと。死にたいと思う、実際に自分のことを傷つけてしまったと答える割合も高い。

イライラしている、「うるせーな!」など情動的な反応を示す、なにか不安がって心配な行動が増えてくる。ADHD、注意力が欠けるなど、今までなかったような症状が次々出てくるような時、医学的には「うつ」といいます。
子ども自身もそういう自分に付き合いきれなくなり、苦しくなっていきます。

こういった不安や嫌な感情を解消するためには、楽しい経験をすること。そうすると頭の中にオキシトシンというホルモンが出て、子どもたちの不安は解消するんです。
だけどオキシトシンがうまく出ない。楽しい経験が少ないからです。

理由はなにか、わかりますよね。
コロナ禍で保育園・幼稚園あるいは小学校・中学校で「ちゃんとマスクをしなさい」「大きな声出さない」「密にならないで」…。家でも「手洗った?」「ちゃんとうがいして」「外で遊んじゃだめよ」と言われ続けて。でも子どもたちは、なんか異常だな、心配だなという感情を、言葉にはしないんです。
こうしたストレスが溜まってしまうと、うつ症状的な不安が無意識の世界に残り、大きくなってからPTSD的な症状を示す。

10年後、20年後、幼児期にコロナを体験したこの世代は、「コロナ世代」なんて言われる可能性がある。なんかちょっと不安が強いよね…とか。

そんなことに絶対してはいけない。「コロナ世代といわせない!」この決意です。


園と家庭の「共育て」が求められる理由

そのために必要なのは、楽しい体験、愛されている実感、ストレス状態からの解放。
この経験を子どもたちとすればいいだけ、そんなに難しくないんです。
これを園と家庭が協力してやっていこう、という話をさせてください。

子どもの心の世界では、園と家庭が全く切れてはいない、つながっているんですね。
園での楽しい体験が家庭で語られ、家庭での嬉しい体験が園で語られる。そうして子どもが、園でも家庭でも僕は大事にされているんだと感じる時に、ストレスが解消していくわけです。

失業してしまうかもしれない…などいろんな事情があって、保護者自身もストレスで大変です。それを子どもにぶつけてしまい、家庭の中で自由にものを言えない、余計に不安になる。そういうことは今の時代、ものすごく起こります。

だから保護者は、園と“子どもを一緒に育てている”という実感と喜び、一生懸命私達を応援してくれているんだという感覚があると、救われていくんですよね。
園が保護者をどう応援していくのかが問われていて、今こそ努力しなきゃいけないんです。


「共育て」実現のためにできること

じゃあ「共育て」をどう具体化していったらいいのか。まずはあげてみたいと思います。

まず保育はできるだけ親と相談し、親に納得をもらって進めるべきという建前論を議論しましょう。
保護者は入園するということはOKしていても、そこでの保育をすべてそれでいいと言っているわけではないからです。知れば要望が増えます。

保護者は毎年変わるので、いちいち相談していられないようなことが多いと思います。
でも「保護者はお客さんなんだから、いいサービスを提供すればいい」という考え方は変えましょう。

保護者は、園が昼間どういう保育をしているのか、具体的には知りません。実際に知れば、もっとこういう保育をしてほしい、うちの子にはこうしてほしいという要望が増えてきます。
それを面倒くさいと考える園には子どもを入れたくない。「そうですよね、私達も考えてみますね」と言ってくれるような園に、やっぱり入れたいわけです。

保護者は保育の中身を知っていて、本音でいろいろ言ってくれる。
そういう関係を作り、上手に乗り越えていくことによって、本当の“いい園”ができるということを議論してほしいです。

昼間の保育の中で育っている子どもの具体的姿を、できるだけリアルに伝え続けましょう。

0歳、1歳、2歳くらいまでは、連絡帳を使っている園が多いと思います。連絡帳には、わが子のことの一部は書いてありますが、クラス全体のことまではわかりません。
できたら「クラスの雰囲気はこんな感じで、今日〇〇ちゃんが遊んでいるときに、こんな姿で遊んでいたんですよ」と昼間の子どもの具体的な姿を、リアルに伝えてほしいです。

写真を使った方が、はるかにたくさんの情報が伝わります。「今日〇〇ちゃんが跳べたときのこの顔見てください、この嬉しそうな顔〜!」と伝えると、保護者は「うちの子はこれができて、ものすごく嬉しかったのか。家庭でも話題にしよう!」とわかっていきますよね。

ドキュメンテーションというのは、「結果こういうことができた」ではなく、挑む中で子どもたちはどういうことをしていたのか、その「プロセス」を伝えること。
園の方から子どもの姿を伝え続けていくと、保護者は園や保育について、次第に関心を持ってくれます。

【そのほか「共育て」のためにできること】

・園の行事等に、 徐々に保護者に手伝ってもらうことを増やして いきましょう。
園庭改造、料理教室、生活発表、子育て講演会…

・ときどき家庭のアイデア募集などをしましょう。
これなら食べる、魚料理、野菜料理…

・ときどき「意見募集をします」をしましょう。
園長はこう考えますが、みなさんはどう思われますか?

・園だよりなどを、保護者も協力してつくるようにしましょう。


全体的な計画を冊子にて、その説明会を毎年保護者で実施する。

・園の運営員会に保護者、地域の人などに入ってもらう。

・保護者と一緒に休日、遊びに行く

部活をやっている園もあります。保護者も一緒に。

・保護者同士が気軽に語り合う場、時間を定期的、不定期にできれば、保護者会を組織する。

園内研に保護者にも参加してもらう。


私の体験で良かったなぁと思うものを思いつくままにあげたのですが、こういうことから「共育て」をやっていただきたい。

子どもたちが「なんかいろいろあるけどさ、やっぱり楽しいね」って思ってくれれば、先程お伝えした「うつ」症状は、解消していきます。

ぜひ「共育て文化」というものを園と保護者と一緒に作っていっていただければと思います。

*****

子どもを思う気持ちは、園も保護者も同じ。
お互い焦らず身構えることなく、これまでを振り返りながら議論し、歩み寄ることで、汐見先生のおっしゃるように“少しずつ”子どもを真ん中にした「共育て」がなじんでいくのでは、と感じました。

コロナだからと諦めることなく、むしろ逆手に取って、より前向きに保育や園運営の提案をしてくださる汐見稔幸先生のお話を、新たに聞くことができる機会がやってきます!

「保育をどうしよう未来会議」2021冬 開催!

累計視聴者数が10,000名を突破した「保育をどうしよう未来会議」、2021冬が開催されます。

4度目となる今回のテーマは「明日の保育を語る」
身近な未来の理想の姿(=明日の保育)を考える切り口として、ゆとり作り、保護者の巻き込み、日々の振り返り、学びの継続という4つのトピックが用意されています。

汐見 稔幸先⽣の講演「子どもを真ん中においた語り合い~保育の本質は語り合いの中に~」をはじめ、無藤 隆 先⽣、大豆生⽥ 啓友先⽣ほか、豪華講師陣が登壇する20以上のセッションを通じ、社会全体で「保育・子どもの未来を考える6日間」です。

参加は無料!
後日、録画配信もあるので、自分のペースで視聴し学びを深めることができるのも嬉しいイベントです。

現在、参加申込みを受付中ですので、ご興味ある方はこの機会にぜひ!

くわしくはこちら

※イベントは終了しました。現在、録画での配信をご覧いただけます。

▶「保育をどうしよう未来会議」参加を申し込む

▶開催概要と番組表のダウンロードはこちら


※保育関係者の方であれば、個人でご参加いただけます。
※施設/所属名の記載をお願いしております。