保育と遊びのプラットフォーム[ほいくる]

「おにさん、かなしそうだった」ーごはんを食べながら、6日目。

三輪ひかり
掲載日:2021/02/12
「おにさん、かなしそうだった」ーごはんを食べながら、6日目。

たっぷり遊び、笑い、泣き、戸惑い、時にぶつかりあって、また遊ぶ。そんな子どもたちが一日のなかで一度立ちどまる、「お昼ごはん」の時間。

仲間と食卓を囲み、ごはんを食べながらおしゃべりをする。その時間で子どもたちは、お腹だけでなく心も満たす。

『ごはんを食べながら』は、そんなお昼のおしゃべりに耳を澄ませる企画です。

「いただきます」のその先に。どんなやりとりが広がっているのだろう?


「おにさん、かなしそうだった」

2月2日(火)。
第6回目の「ごはんを食べながら」。

この日は、節分。
先週の金曜日鬼から子どもたちに届いた手紙には、こうありました。

「つたえたいことがある うみでまってるぞ  2.2 」

そこで今日は、海に鬼がいるかどうかを確かめに行きました。おそるおそる砂浜へ向かい、一応、襲われた時のための豆と、何人かの子が鬼宛てに書いた手紙を手にして。

「どんなおにがいるのかな?」
「おにさん、ともだちになってくれるかなー?」
「おれが、おにをたおす!!」

と鬼に会うのを楽しみにしてどんどん歩いていく子、

「こわい~」
「わたしはいかない!」

と遠くから見ている子と、それぞれです。

そこへ、テトラポットから、たくさんのゴミを持った鬼が現れます。

なにやら怒っている様子の鬼。プラスチックのゴミを投げてくる。でも、襲ってはきません。どうやら...優しい鬼らしい...?

鬼から手紙を渡され、そこにはこう書かれていました。

『ぼくはうみのむこうのしまにいた。
しずかにさかなをとって、きれいなうみを愛していた。
だがいまは、さかなはいなくなって、ごみばっかり。
うみは、ごみばこのようになってしまった。
かなしくて、くるしくて、ぼくはおにになったんだよ。
きれいなうみ、たくさんのさかなやいろんないきものをだいじにしてくれ!』

これを読んだ子どもたちは、鬼が帰ったあと、「ゴミ拾いしたい!」と自主的にビーチクリーンをしていました。


***

サト「ひかちゃんのも、おに?」

私「うん、私のも鬼だった」

ケイタ「これ、おけしょうかな?」

私「わぁ、本当だ!ほっぺたお化粧してるのかもしれないね」

ユナ「ツノもはえてるよ!」

ライ「これツノじゃなくて、かんむり。プリンセスみたい」

ハヤト「さっきあったおにさんも、ツノはえてたよ!」

ユナ「でもあれ、おめんだったよねぇ!」

ケイタ「そうそう。あれはおめんだったよ」

サト「ちがうよ!ツノちゃんとあったもん」

ハヤト「うん、ツノみえたよね!」

ユナ「おにとタッチしたひと、てーあげて!」

ライ・ハヤト「はーい!」

サト「さっちゃんもしたよ!!」

ユナ「ソラだけ、けっこんしてるみたいにぎゅーってしてたよね」

ケイタ「ぼくはこわくてできなかった」

私「ひかちゃんもしなかったなあ」

(鬼役をやったスタッフ(たくちゃん)登場)

ユウ「ねぇ、たくちゃん!!きょう、おにやった?」

たくちゃん「え、やってないよ。お客さん来てたから、ずっとじどうかんにいたよ」

みんな「・・・えええ!!!!」

ケイタ「でもあれ、おめんだったよ?」

ライ「うん、ぜったいにんげんだったよ!」

ケイタ「そうだよ。てにしもんとかついてたし」

サト「でもトラのパンツだったよ。トラにかしてもらったんだよ」

ユナ「ねぇさっちゃんは、おにへのてがみなんてかいたの?」

サト「おに、だいすきだよって」

ケイタ「おにさん、よめるのかな?にほんご」

私「ああー、どうかなあ。でも鬼さんからきた手紙はひらがなで書いてあったよね」

ユナ「ねぇ、おにさんにてがみのおへんじかこうよ」

ライ「それで、ポストにいれようよ」

ユナ「ケタロウ(山につくった秘密基地)にまえいたから、そこがいいんじゃない?」

ケイタ「きょう、ごみいっぱいあったよね」

私「ね、びっくりしちゃった」

サト「おにさんも、プラスチックいっぱいでくるしそうだったよね」

ハヤト「かなしそうだった」

ユナ「おかあさんとおとうさんにも、てがみとゴミみせてあげよう」

私「そうだね。色んな人に知ってもらえるといいもんね」


この日子どもたちが海岸で拾ったゴミ

***

子どもにとって、節分の日は鬼がきてこわい日、大人が子どもを怖がらせる日にはしたくないよね、とスタッフで話し合いをし、今回のような節分のカタチを取ることにしました。

「ほんもののおに?」「ううん、にんげんだったよ!」という間で揺れながらも、私たちが思っていた以上に、それぞれに感じていたこともあったようで、翌日以降も海や山でゴミを拾ったり、鬼の気持ちを想像しては話をしています。


【今日の献立】

・鬼ごはん
・ブロッコリー
・キャベツとじゃがいもの味噌汁
・フルーツポンチ


あー、美味しかった。
ごちそうさまでした。

ごはんを食べながら、の舞台:「うみのこ」
http://sokka.world/projects_list/uminoko/

「今日は、どこで何をして過ごしたい?」そんな問いから、一日の生活をはじめる、認可外保育施設。神奈川県逗子市の森里川海と海のじどうかんを生活のフィールドに、暮らし、遊び、日々を重ねています。


連載「ごはんを食べながら」

「おなかすいたね!たのしかったね!」ーごはんを食べながら、4日目。

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10月19日(月)。
第4回目の「ごはんを食べながら」。

朝の集いで、各学年ごとにわかれて運動会について話をしたこの日。
年少児は「運動会って知ってる?」という問いと絵本の世界をきっかけにイメージを膨らませ、年中・年長児は「今年はどんなことをしたい?」「どんなことにチャレンジしたい?」と会議をしました。

「まあね!」ーごはんを食べながら、5日目。

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12月14日(月)。
第5回目の「ごはんを食べながら」。

『うみのこレストラン』でおでんをつくる予定の子どもたち。今日はその修行で「ふろふき大根」を料理しました。
さて、どんな「ふろふき大根」ができたかな?