「おにさん、かなしそうだった」ーごはんを食べながら、6日目。
たっぷり遊び、笑い、泣き、戸惑い、時にぶつかりあって、また遊ぶ。そんな子どもたちが一日のなかで一度立ちどまる、「お昼ごはん」の時間。
仲間と食卓を囲み、ごはんを食べながらおしゃべりをする。その時間で子どもたちは、お腹だけでなく心も満たす。
『ごはんを食べながら』は、そんなお昼のおしゃべりに耳を澄ませる企画です。
「いただきます」のその先に。どんなやりとりが広がっているのだろう?
「おにさん、かなしそうだった」
2月2日(火)。
第6回目の「ごはんを食べながら」。
この日は、節分。
先週の金曜日鬼から子どもたちに届いた手紙には、こうありました。
「つたえたいことがある うみでまってるぞ 2.2 」
そこで今日は、海に鬼がいるかどうかを確かめに行きました。おそるおそる砂浜へ向かい、一応、襲われた時のための豆と、何人かの子が鬼宛てに書いた手紙を手にして。
「どんなおにがいるのかな?」
「おにさん、ともだちになってくれるかなー?」
「おれが、おにをたおす!!」
と鬼に会うのを楽しみにしてどんどん歩いていく子、
「こわい~」
「わたしはいかない!」
と遠くから見ている子と、それぞれです。
そこへ、テトラポットから、たくさんのゴミを持った鬼が現れます。
なにやら怒っている様子の鬼。プラスチックのゴミを投げてくる。でも、襲ってはきません。どうやら...優しい鬼らしい...?
鬼から手紙を渡され、そこにはこう書かれていました。
『ぼくはうみのむこうのしまにいた。
しずかにさかなをとって、きれいなうみを愛していた。
だがいまは、さかなはいなくなって、ごみばっかり。
うみは、ごみばこのようになってしまった。
かなしくて、くるしくて、ぼくはおにになったんだよ。
きれいなうみ、たくさんのさかなやいろんないきものをだいじにしてくれ!』
これを読んだ子どもたちは、鬼が帰ったあと、「ゴミ拾いしたい!」と自主的にビーチクリーンをしていました。
***
サト「ひかちゃんのも、おに?」
私「うん、私のも鬼だった」
ケイタ「これ、おけしょうかな?」
私「わぁ、本当だ!ほっぺたお化粧してるのかもしれないね」
ユナ「ツノもはえてるよ!」
ライ「これツノじゃなくて、かんむり。プリンセスみたい」
ハヤト「さっきあったおにさんも、ツノはえてたよ!」
ユナ「でもあれ、おめんだったよねぇ!」
ケイタ「そうそう。あれはおめんだったよ」
サト「ちがうよ!ツノちゃんとあったもん」
ハヤト「うん、ツノみえたよね!」
ユナ「おにとタッチしたひと、てーあげて!」
ライ・ハヤト「はーい!」
サト「さっちゃんもしたよ!!」
ユナ「ソラだけ、けっこんしてるみたいにぎゅーってしてたよね」
ケイタ「ぼくはこわくてできなかった」
私「ひかちゃんもしなかったなあ」
(鬼役をやったスタッフ(たくちゃん)登場)
ユウ「ねぇ、たくちゃん!!きょう、おにやった?」
たくちゃん「え、やってないよ。お客さん来てたから、ずっとじどうかんにいたよ」
みんな「・・・えええ!!!!」
ケイタ「でもあれ、おめんだったよ?」
ライ「うん、ぜったいにんげんだったよ!」
ケイタ「そうだよ。てにしもんとかついてたし」
サト「でもトラのパンツだったよ。トラにかしてもらったんだよ」
ユナ「ねぇさっちゃんは、おにへのてがみなんてかいたの?」
サト「おに、だいすきだよって」
ケイタ「おにさん、よめるのかな?にほんご」
私「ああー、どうかなあ。でも鬼さんからきた手紙はひらがなで書いてあったよね」
ユナ「ねぇ、おにさんにてがみのおへんじかこうよ」
ライ「それで、ポストにいれようよ」
ユナ「ケタロウ(山につくった秘密基地)にまえいたから、そこがいいんじゃない?」
ケイタ「きょう、ごみいっぱいあったよね」
私「ね、びっくりしちゃった」
サト「おにさんも、プラスチックいっぱいでくるしそうだったよね」
ハヤト「かなしそうだった」
ユナ「おかあさんとおとうさんにも、てがみとゴミみせてあげよう」
私「そうだね。色んな人に知ってもらえるといいもんね」
この日子どもたちが海岸で拾ったゴミ
***
子どもにとって、節分の日は鬼がきてこわい日、大人が子どもを怖がらせる日にはしたくないよね、とスタッフで話し合いをし、今回のような節分のカタチを取ることにしました。
「ほんもののおに?」「ううん、にんげんだったよ!」という間で揺れながらも、私たちが思っていた以上に、それぞれに感じていたこともあったようで、翌日以降も海や山でゴミを拾ったり、鬼の気持ちを想像しては話をしています。
【今日の献立】
・鬼ごはん
・ブロッコリー
・キャベツとじゃがいもの味噌汁
・フルーツポンチ
あー、美味しかった。
ごちそうさまでした。
ごはんを食べながら、の舞台:「うみのこ」
http://sokka.world/projects_list/uminoko/
「今日は、どこで何をして過ごしたい?」そんな問いから、一日の生活をはじめる、認可外保育施設。神奈川県逗子市の森里川海と海のじどうかんを生活のフィールドに、暮らし、遊び、日々を重ねています。
連載「ごはんを食べながら」
「おなかすいたね!たのしかったね!」ーごはんを食べながら、4日目。
第4回目の「ごはんを食べながら」。
朝の集いで、各学年ごとにわかれて運動会について話をしたこの日。
年少児は「運動会って知ってる?」という問いと絵本の世界をきっかけにイメージを膨らませ、年中・年長児は「今年はどんなことをしたい?」「どんなことにチャレンジしたい?」と会議をしました。
「まあね!」ーごはんを食べながら、5日目。
第5回目の「ごはんを食べながら」。
『うみのこレストラン』でおでんをつくる予定の子どもたち。今日はその修行で「ふろふき大根」を料理しました。
さて、どんな「ふろふき大根」ができたかな?