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【書籍紹介】心を育てる保育環境

掲載日:2020/09/04
【書籍紹介】心を育てる保育環境

ほいくる編集部がお届けする、学べる一冊。
今回ご紹介するのは『心を育てる保育環境』。

著者の佐藤将之さんは、大学時代から建築の間取りを利用者の視点から考え、保育環境について研究してきました。
園や保育者の「思い」を子どもたちの育ちにつなげていくには、どんなふうに「環境」に落とし込んでいけばよいのか。
全国、海外の園のたくさんの実例紹介を通して大切なポイントがわかりやすく解説され、気軽に挑戦できる環境づくりについてのヒントやアドバイスがいっぱいです。

この書籍について

書籍名:『思いと環境をつなぐ保育の空間デザイン 心を育てる保育環境』
著者:佐藤 将之
出版社:小学館



こんな人におすすめ

・園の保育環境を変えてみたい、見直してみたいと考えている人
・気になる子どもの行動や反応があるとき、環境面から保育を見直してみたいと思った人
・保育者みんなで新しい保育環境を考え、デザインしていこうとしている人


ほいくる編集部のおすすめポイント

子どもたちへの「思い」を保育環境につなげるには…?

子どもたちが落ち着いて遊び込める保育室は、広さではなく“狭さ”がポイント。

そんな目からウロコの切り口から始まる第1章「園の一日を支える環境」では、保育室や食事・昼寝環境、トイレ・オムツ替えなどの水回り、延長・預かり保育の空間など、園児たちが一日を過ごす環境について、保育者の思いが活かされている環境の事例とともに、環境づくりのポイントが解説されています。
俯瞰めだったりこどもの目線だったりさまざまな角度から撮影されたたくさんの写真で構成されているので、読者は環境づくりのポイントを視覚的にも捉えやすそうです。

“子どものやる気を引き出す”“子どもが落ち着く”“多様な子どもを受け入れる”など、子どもの気持に寄り添う視点から環境を考える「環境で気持を調整する」(第2章)。

豊かな育ちを育むための環境の力について改めて感じつつ、気負わずに実践ができそうなヒントにも出会うことができそうです。

海外の事例もたくさん紹介されています。日本の保育者にとっては新鮮だったり刺激になったり、これまでにない意識や視点を提供してくれるのではないでしょうか。



保育者や保護者にとっての居心地の良さも大切なポイント

第3章「大人も心地よい保育の環境」では、職業病とも捉えられている腰痛や膝痛を防止するための配慮や、保育者が楽しく快適に過ごす居場所づくりの工夫が、事例といっしょに紹介されています。

仲間とのコミュニケーションをとる場所、子どもと離れて作業に集中したりゆっくりと休憩することができる場所…。
保育者が心地よく働ける環境も、保育環境にとって欠かせない要素のひとつであることに気づきます。

子どもファーストを保障するためにも、保育者が無理せずリラックスして働くことができる保育環境の整備の大切さについて、見つめ直すきっかけになりそうです。

「とりあえず」を重ねながら、理想の環境へ

この本を読み進め、いざ「保育環境を見直してみよう!」となったら…。

家具や遊具の配置換えなど大掛かりな変更には、失敗しないだろうかという不安や心配はよぎるものですが、著者がおすすめするのは「とりあえずやってみる」。
第4章では、ミニマムに挑戦しやすいスパイラルアップによる環境改善の工夫が紹介されています。

なぜ変更する(したい)のかというポイント・意図をもち、それを踏まえて変更後に子どもたちの様子を観察し、そこで見つけた問題・課題を整理する。
大切なのは一度で完成させようとせず、これらを繰り返して理想の環境に近づけていくことなのだそう。

「子どもが主体的に生活できる環境」をテーマに数年間にわたってままごとコーナーの環境改善に取り組んだ園の、年ごとの改善の過程を表に整理した実践例などは、「とりあえずやってみる」ときの参考になりそうです。

また園全体、保育者同士が協力して自分たちの思いを保育環境に落とし込んでいけるように、著者が実践してきたワークショップの行い方やプロセスデザインをわかりやすく解説。

仲間と環境づくりの目的や思い、具体的なイメージへの意識を合わせていくことにも、気軽に取り組めそうです。


出版社からの内容紹介

園の環境を変えてみようと思ったときの技集

「自分の園の環境を変えてみようかな」「ほかの園は、どんな環境の工夫をしているんだろう」と思ったときに、役に立つ1冊です。
園の1日の中で、「遊ぶ」「食べる」「寝る」などを快適にする環境、子どもが気持ちの調整をしやすい環境、保育者が働きやすい環境、保護者と保育者の関係作りを助ける環境など、いずれも保育が楽しくなる環境作りを実例の写真もりだくさんで紹介。
筆者は、大学時代に建築学を専攻、在学中に建築の間取りを利用者の視点から考える研究のため、保育園に通い詰めたことから保育環境の研究をスタート。現在も全国、海外の園を精力的に訪れて研究を続けている専門家だからこその視点で園の環境の実例、環境改善のビフォア&アフター、環境作りのために大切にしたいプロセスなどを解説しています。
保育環境をテーマにした園内研修や講座にも講師として参加している筆者の解説は、わかりやすく、説得力があります。

書籍名:『思いと環境をつなぐ保育の空間デザイン 心を育てる保育環境

著者:佐藤 将之
定価:本体1,900円+税
判型/ページ:A5判/160ページ

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「保育者の思いと環境をつなげることを意識しながら、子どもたちのさまざまな気持ちを育める資料になること」を本書の目的としたという佐藤さん。

ちょっと環境について振り返ってみよう、配置やレイアウトを見直してみたい、という現場の思いの背中を押してくれる、心強い一冊です。




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