【書籍紹介】 おおわだ保育園のアレルギー除去「なかよし給食」
ほいくる編集部がお届けする一冊、今回は『身近な食材で作れる安心レシピ集 おおわだ保育園のアレルギー除去「なかよし給食」』。
食物アレルギーを持つ子だけではなく、持たない子もいっしょに小麦や卵・乳製品を使わない給食を食べている大阪府門真市のおおわだ保育園。
手に入りやすい食材にひと工夫を加えるだけの献立には、子どもたちが喜ぶ食のヒントやアイデアがいっぱいです。
この書籍について
書籍名:身近な食材で作れる安心レシピ集 おおわだ保育園のアレルギー除去「なかよし給食」
監修:友愛福祉会 おおわだ保育園
出版社:小学館
こんな人におすすめ
・アレルギーをもつ子に向けて除去食を提供している園関係者や栄養士
・食物アレルギーや除去食について知識を深めたいと思っている保育者
・わが子に食物アレルギーがある保護者
ほいくる編集部のおすすめポイント
アレルギーを持つ子も持たない子も。みんないっしょに「なかよし給食」
お子さんがお米も食べれないほどの“超”がつくほどの食物アレルギーだったというおおわだ保育園理事長・馬場耕一郎さん&園長・馬場睦代さん夫妻。
わが子に徹底して作っていた除去食を、家庭の延長ととらえる保育園で提供することに、大きなハードルは感じなかったといいます。
保育園ではアレルギーを持つ子だけが負い目を感じることがないようにと、みんな一緒に‘同じ釜の飯を食べる”なかよし給食を実践。
身近な代替食材を工夫して使う献立は作る人の負担も少なく、子どもたちにも人気で、その実践を学びたいと、全国の保育関係者が視察に訪れるそうです。
難しくしない献立づくり、5つの工夫
おおわだ保育園の除去食の献立づくりには、5つのルールがあるといいます。
1)栄養価について、2)代替食品を探す、3)調理法や味付け、4)食べやすさ、5)食育を兼ねる。
なかでも悩むことが多いのは、代替食品の探し方や使い方。
「おおわだ保育園の代替食材リスト」には、アレルギー材料が除去されていること以外に、コスト的な負担もなくスーパーなどでよく目にする身近な食材が紹介されていて、すぐに活用できます。
卵を除去した「マヨドレ」はマヨネーズやチーズの代わりにコクと旨味をプラスしたり、豆乳は牛乳の代用としてクリーム系の料理やおやつにしたり。
特に参考になるのはトウモロコシ製品。
粒コーン缶はペースト状にして米粉と合わせればホワイトソースに。パン粉の代わりには挽き方や加工方法が異なるコーンミール、コーングリッツ、コーンフレークを使い分ければ、食感や風味の違いを楽しむことができるそう!
「この食材が使えない」とマイナスにとらえるのではなく、子どもが喜ぶ顔を思い浮かべながらさまざまな代替食材の組み合わせや調理法をあれこれ考えながら生み出す献立は、作り手も学びがあり、料理を純粋に楽しむことができそうです。
気軽につくれて子どもも大好きな主食、おかず、おやつなど32のレシピ!
カレーやグラタン、ピザに焼きそば、プリン、ドーナツ、クリスマスケーキも…!
子どもたちが大好きなメニュー、季節の具材を取り入れたり口当たりを良くしたりする工夫が加えられたおおわだ保育園オリジナルの献立は、見た目も色あざやかで食欲をそそるものばかり。
たとえば「カラフル野菜の米粉ピザ」は、米粉と片栗粉を代用することで、小麦粉よりもサクサク&もっちりした生地に仕上がるそうです。
レシピ内の「栄養memo」には調理や栄養のポイントが。この米粉ピザの生地は発酵要らずで、小麦粉で作るよりも手間がかからない…というのも、目からウロコ。
代替食材が写真や色付き文字でわかりやすく紹介されているのも、レシピを確認するときにとても便利です。
出版社からの内容紹介&目次
卵・乳製品・小麦粉不使用のレシピ32
おおわだ保育園(大阪・門真市)で実践している「なかよし給食」のレシピ集。
いずれも卵・乳製品・小麦粉を除去し、身近な代替食材で作ったものばかり。
ご家庭でもかんたんに作れます。
おおわだ保育園で実際に使っているアレルギー代替食材リストつき。
主食
・カラフル野菜の米粉ピザ
・鮭のクリームパスタ
・かぼちゃときのこのオリジナルカレー
・じゃがいもと玉ねぎのグラタン
・パリパリお好み焼き
…ほか、5種
おかず
・魚バーグ
・ひよこ豆のコロッケ
・クリスマスの3種チキン
・じゃがいもカップのミートローフ&春雨じゃが揚げ
・マセドアンサラダ
…ほか、4種
おやつ
・いちごのブランマンジェ
・蒸しパン
・パーティ・ドーナツ
・クリスマスケーキ
・米粉のチュロス
・アメリカンドッグ
…ほか、7種
身近な食材で作れる安心レシピ集 おおわだ保育園のアレルギー除去「なかよし給食」
監修:友愛福祉会 おおわだ保育園
定価:本体1,200円+税
判型・ページ:A5判/82ページ
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実はこの記事を書いている私(編集部タケハラ)も、長男と次男の卵、乳アレルギーに悩まされた一人です。子どもが小さかった頃は、母乳のために自分も大好きな卵や牛乳を制限しなくてはならないし、ほかの子が美味しそうに食べている洋風メニューやスイーツを控えなくてはならないわが子を不憫に思って、涙したことがありました。
「お子さんがアレルギーをもっていることで、食に対して真剣に向き合うことができます。食事という一食、一食を本当に大切に考える。愛情をかけて対応する。…(中略)…
アレルギーは、親子の絆を深める「大切な気づき」というのが我々の考え方です。」
(本文より/園長・馬場睦美さんのことば)
アレルギーを防ぐためとマイナスに考えるのではなく、前向きな愛情表現としてつくられる「なかよし給食」。
みんなで食べるその味は、子どもたちにとっても、きっと忘れられないものになるのではないでしょうか。
保育関係のみなさん、またアレルギーをもつお子さんの保護者にもおすすめしたい一冊です。