保育と遊びのプラットフォーム[ほいくる]

「保育セミナー2019」に行ってきました!<イベントレポート>

雨宮みなみ
掲載日:2020/01/14
「保育セミナー2019」に行ってきました!<イベントレポート>
新 幼児と保育 & アスク・ミュージック運営の元、2014年から毎年開催されている保育セミナー。
数百名もの参加者が集まるほど盛況だった今回のイベントに、HoiClue編集部も参加してきました!

【Program1】「街をつくる子どもたち〜あんず幼稚園〜」記録映像上映 & 汐見稔幸先生 ✕ 羽田二郎あんず幼稚園園長 対談

前半は、『新 幼児と保育』(小学館)映像スタッフが約10か月にわたって撮影した、あんず幼稚園(埼玉・入間市)の記録映像(2017年制作 監督/神谷信行 約60分)の上映からスタート。

あんず幼稚園にて毎年秋口に行われるという「たんけんえんそく」のようすと、そこからつながる園庭での「まちづくり」のようすの2本立てです。

「たんけんえんそく」

「たんけんえんそく」では、子どもたちがチームごとにまちを探検するようすが映されています。

気になったことを直接駅員さんに質問したり、パネル式の自動販売機で飲み物を買ってみたり…

想像する「たんけんえんそく」と違っていたのは、「ここに入っていくの…?」と、おもわずその先の展開が気になるような場所を探検したり、大人が決めたコースに沿った探検ではなく、子どもの興味や関心から探検が展開したりしていたこと。

様々な出会いのなかで会話が生まれ、子どもたちの興味が広がっていくようすと、その子どもたちへの保育者の関わり方に、どんどん惹き込まれていきます。

「まちづくり」

「まちづくり」では、「たんけんえんそく」を通して子どもたちが出会い、出会いや人との触れ合いを楽しむことで興味につながったものが遊びに発展し、チームごとに実際に形にしていくようすが映されています。

自動販売機や、コンビニ、踏切…

イメージをどう形にするのか試行錯誤するようすや、木材を使って組み立てていく姿。
個別の学びから共同の学びに変わっていくようす、そしてそれぞれに興味を持ったものが形となり、園庭いっぱいにそれらがならんで「まち」が広がるまでの一連の流れなど、圧倒されっぱなしでした。


余韻が残るなか、上映に続いて、汐見先生とあんず幼稚園の羽田園長による対談へ…

汐見先生 ✕ あんず幼稚園羽田園長 対談

子どもの興味関心をもとに保育をつくりあげていく環境について。
好奇心が育む学びの世界について。
どうしてあのような保育ができるのか?というヒミツについて…

対談では、上映されたあんず幼稚園の保育のようすや子どもたちの姿を元に、汐見先生とあんず幼稚園園長羽田先生のお話が広がります。


羽田先生(あんず幼稚園園長)
「遊び込むことで子どもは感動に出会い、主体的に生きる存在となる」を理念とし、日常の活動から行事まで子どもと作り上げる保育を目指している。


汐見稔幸先生
東京大学名誉教授、日本保育学会会長。教育学を出産、育児を含んだ人間形成の学として位置づけたいと考え、その体系化を研究している。

印象的だったのは、あんず幼稚園も思考錯誤のなかから今の形ができてきたということ。
また、運営しているなかで出会う難しさや、その難しさをどう捉え、どういった考えの元にどのように向き合っているのかについて触れられていたこと。

「あんず幼稚園だからできる」のではなく、あんず幼稚園を元に、「参加者それぞれの現場に取り入れていくためのヒント」に繋がる時間だったように感じられました。



【Program2】新沢としひこ&長谷川義史 大人のための絵本コンサート

後半は、シンガーソングライター・新沢としひこさんと、絵本作家・長谷川義史さんによる、絵本コンサート。

絵本の朗読や、大きく映し出された絵本の絵に合わせての歌など…
歌や絵本ごとに変化する会場の雰囲気や自分の感情の変化を感じる、見ごたえ、聴きごたえたっぷりの濃い時間です。



新沢としひこさん
保育者を体験したのち、音楽活動に携わり、『世界中のこどもたちが』『にじ』などの作詞を手がける(作曲は中川ひろたか氏)。現在は、コンサート、保育講習会講師、CD制作、絵本の執筆など多彩な活動を行っている。2019年度は『新 幼児と保育』(小学館)で、中川ひろたか氏とともに毎号新曲を発表している。


長谷川義史さん
絵本作家。大阪府藤井寺市生まれ。絵筆を使った大胆なタッチとユーモアあふれる独特のストーリーが持ち味。『ぼくがラーメンたべてるとき』で小学館児童出版文化賞を受賞するなど、受賞作品は多数。MBSテレビ「ちちんぷいぷい」にリポーターとして出演中。

おもわずホロホロ涙を流していたり、ケラケラ笑ったり、気がつけば舞台上の二人といっしょに口ずさんでいて、会場中が歌につつまれていたり。

実は、絵本コンサートに参加するのは初めてだったのですが、こんなにも感情を揺さぶられるとは正直想像しておらず…自分でもちょっと驚いた経験でした。

日々子どもと関わる自分自身が、実際に“心が動く体験をする”ことの充実さを感じた豊かな時間。

みんなでうたう「にじ」と、今回のイベントの会場の雰囲気が込められた長谷川さんの絵と共に、コンサートは終了を迎えました。


内容盛りだくさんだった今回のイベント。
2020年もすでに開催の予定が決まっています。

保育セミナー2020のお知らせ

2020年の開催は、2020年10月18日(土)。
場所は渋谷区文化総合センターです。

『新 幼児と保育』6/7月号(2020年5月2日頃発売)にてお知らせする予定です。

随時ほいくるでもお知らせしますので、興味ある方はぜひウォッチしていてくださいね。