【保健コラム】擦り傷ができた時の対処法は?
擦りむいたりしてケガをした時。
消毒しないで洗うだけで平気!という先生もいれば、しっかり消毒する先生もいるけれど、どっちが正しいの?
洗って乾かしておくだけで本当にOK?場合によっても異なる対処法についてご紹介。
消毒はする?しない?
お散歩バックやクラスの救急道具に含まれている消毒液。
でも、今では「洗うだけでOK」という考え方が広がってきました。
消毒液は悪い菌だけでなく、体に必要な良い菌も殺してしまうからです。
そして傷口に刺激を与え、治りを遅くしてしまうこともあります。
洗うだけで良いの?
一番大切なことは、傷口にばい菌を残さないことです。
なので、まずはしっかり水道で洗いましょう。
※保育園でのケガの多くは、汚いもので皮膚が傷つけられています。
園庭の砂や石、公園に落ちているガラスや金属など目に見えないものが傷口に残っている可能性があります。
湿潤療法(しつじゅんりょうほう)について
近年広がっているのが、“湿潤療法(しつじゅんりょうほう)”というもの。
傷パワーパッドのCMは有名ですね。
食品ラップをつかった湿潤療法として、ご存知の方もいるかもしれません。
湿潤療法は、自己免疫力を活かし、傷口から出る浸出液で皮膚を保護しながら傷口を乾かさずに皮膚の再生を促す療法のことです。
傷口の治りはとても早くかさぶたができないので、子どもに良くある、かさぶたをとって出血!ということも起こりません。
ただ…保育園で対応するには少し難しい面も。
なぜなら、保育園でのケガの多くは汚いもので皮膚が傷つけられており、それらが傷口に残っているまま湿潤療法の湿った環境でばい菌が増殖すると傷口を化膿させることもあるからです。
また、傷の深さや傷をつけられたものによって湿潤療法は適さないことがあります。
下記に、湿潤方法について記載しますが、看護師など判断ができる職員がいない場合はリスクも高い療法ということも覚えておきましょう。
湿潤療法のやり方
1、ケガをしたところを水道水で良く洗う。
2、虫めがねで傷口をよく観察。汚れ、ごみがついていないことを確認
3、ドレッシング材(覆うもの)を貼る。
※傷パワーパッドは一度貼ると傷を見ることができません。本来は3~4日そのままにしておくことが望ましいのですが、この処置が原因で「傷口が膿んでしまった!」というトラブルがおきることも。必ず帰宅後は一度はがして確認してもらいましょう。
そのためには傷パワーパッドよりもプラスモイストなどのすぐにはがせるドレッシング材の方が良いかと思います。
病院を受診した方が良い場合
以下のような傷であるときは受診しましょう。
1、えぐれるような傷・傷口の範囲が大きい
2、傷が深い(パカッと割れている)
3、釘やガラスが刺さった
4、噛まれて出血している、何でケガをしたか不明
5、顔に傷ができた
病院受診前にできること
1、えぐれるような傷・傷口の範囲が大きい
流水で洗い流すことは基本ですが、出血が多い場合…
・すぐに圧迫止血をする(傷口をガーゼで覆い、ぎゅっと抑えます)。
・傷口を心臓よりも高くする(下半身の場合は抱っこしたり、寝かせて傷のところを高くしましょう)。
※必ず手袋をつけましょう。
可愛いこどもですが、血液感染するウイルスを持っていないとは限りません。
(HIVウイルス、肝炎ウイルスなどは親から子に感染していることもあります…)保育士と、今後保育していくこどもたちみんなの為に感染予防はしっかりと!
2、傷が深い(パカッと割れている)
・傷口を閉じるようにして、絆創膏などで止める。
※傷がパカッと割れている場合、傷を閉じておくことで出血が止まりやすくなります。
また傷口の乾燥を防ぎ、早く治ることに繋がります。
3、釘やガラス、鋭利な石などが刺さった
・表面のとれるものは取り除く(無理そうなら抜かずに受診)。
・流水で傷口を洗い流す(目に見えないものが残っている可能性があるので受診しましょう)。
4、噛まれた傷口が深い・何が原因か不明の傷
・流水で傷口を洗い流し、受診。
※口の中にばい菌が多いことは以前お話ししましたが、何でケガをしたかわからないというのは最も怖いです。
特に屋外では、危険なものが多すぎて原因がわからないことも。不安なときは受診しましょう。
5、顔に傷ができた
流水で洗い流した後はガーゼなどで覆って受診。
※顔の傷は、浅くても痕に残ることを考え、早めの対処が必要です。
ケガの時、看護師がいる園はすぐに看護師を呼びましょう。
簡単な処置でも看護師の工夫や判断を見れるチャンスです。
今後のご自身のスキルアップの為にもどうしてそういう処置をするのかたずねてみましょう。
結局、擦り傷ができた時に大切なのは…
傷口にばい菌を残さないことです。
まずはしっかり水道で洗ことを心掛けましょう!