新しい「あたりまえ」を次々と創りだす!フローレンス駒崎さんの考え方<前編>
知らなかったからこそ踏み込めた。マイナーだった「病児保育」
フローレンスを始めようとした13年前に、駒崎さんはすでに病児保育の知識や保育の経験があったんですか?
いえ、まったく。
え、そうなんですか!そうしたら、大変なことも多かったんじゃないですか?
うん、そうですね。
当時、病児保育って本当にマイナーだったんですよ。
全然知られていなかったし、「病児保育を始める」と言ってもほとんど理解されなかったです。
その上ぼくが、保育士でもなければ看護師でもない、医者でもないし、子どももいないという全くの部外者だったので、かなり怪しまれました(笑)。
結構辛かったですね。
想像しただけでもすごく大変そう。
自分の経験と全く異なるところに飛び込んでいくって、すごいですね。
でもそういう存在だったからこそ、気づけたことや、踏み出せたこともあったと思います。
今は病児保育がどれだけリスクが高くて、大変なことなのかすごくよく分かるので、13年前みたいに「えいっ!」って簡単に踏みこめないと思うんですよ、正直(笑)。
でも当時は、知らなかったからこそ「やってみよう」と思えたところもあって。
部外者ならではの良さ、みたいなのもあったかなぁと思っていますね。
なるほど。知らなかったからこそ「えいっ!」と飛び込んだという点では、私もキッズカラーの始まりは、共通している部分が大きいです(笑)。
想像していたより遥に大変なんだけど、やってみたら見えてきたことがありました。
病児保育の内容とは?
具体的に、フローレンスさんが行っている病児保育はどのようなものなんですか?
そうですね、2004年に日本で初めて「訪問型・共済型」の病児保育をスタートしました。
基本的に行政がやっているのは、クリニックの横に施設があって、そこに親御さんが具合が悪くて保育園に行けない子どもを連れて来る「施設型病児保育」と言われるものなのですが、フローレンスではその子の家に保育スタッフを派遣する「訪問型病児保育」のかたちをとっています。
ベビーシッターに近い感じ、というとわかりやすいかもしれませんね。
ただベビーシッターは短時間なのに対して、病児保育は基本的に長時間なんです。
子どもを保育する時間は、朝から夕方まで親御さんの出勤時間とかぶるので、働く時間は保育園に近い部分があると思います。
その中で保育者、我々は「こどもレスキュー隊員」と呼んでいるのですが、こどもレスキュー隊員は基本的に、遊んで、お昼ごはんを食べて、お昼寝をして、また遊んで…というリズムのなかで子どもと時間を過ごします。
その点も保育園に近いかもしれないですね。
そうですね。
ただ子どもは熱があったり、体調の優れない状態です。
そのため、病状に合わせたあそびや対応というものが必要になるので、こどもレスキュー隊員の引き出しの多さやスキルがとても重要になります。
たしかに。普通の保育園で働く保育士とは違うスキルも必要とされるということでしょうか?
そのとおりです。
そのため、「認定病児保育スペシャリスト」という資格もつくり、質の高い病児保育ができるようにしています。